レザークラフトの工具の手入れや調整法などについての説明を中心に紹介するページです。
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スイヴェルナイフ


 レザーカービングの時の、切り込みを入れる専用のナイフです。研ぎ方は簡単です。専用の角度調整器具を使って、正確に研ぐことができます。

 セラミック製のブレードは、自分で研ぐことができないと思われている人が多いようですが、そんなことはありません。少し時間は掛かりますが、鉄製のブレードと同じ方法で研ぐことができます。



「スイヴェルナイフの構造」


 スイヴェルナイフを部品ごとに分けたところです。いくつかの部品が単純な構造で組み合わされています。

 自分の手の大きさに合わせて、長さなども手軽に調整することができます。

 左端の指をかける部品をヨークと言いますが、ヨークに対して回転軸は差し込まれているだけです。リングで軽く固定されるようになっていますが、強く引っ張れば簡単に抜くことができます。

 このヨークの中の回転部の油が切れると、動きが悪くなりキュルキュルと音がします。油を差すと回転がスムーズになり、音も静まり快適になります。




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「ブレードの研ぎ方」


 購入したばかりのスイヴェルナイフのブレードは、切れ刃の角度や研磨の状態が整っていません。まずは、自分で研ぐことが必要です。

 ブレードの研ぎには、角度調整器具を使用します。この器具により角度を一定に保つことができます。初めての人でも、精度の高い研ぎをすることができます。

 ブレードの切れ刃の角度は、一般には60度くらいだと思います。60度に研ぐことができるように、角度調整器具のブレードを差し込む軸の位置を調整します。

 60度と言ってもいちいち角度を測る必要はありません。必要な角度にするための、刃先の位置までの寸法を決めておけばいいのです。

 私の場合は、写真のように刃先までの位置を測った時に、33.5ミリに合わせます。実際のところ、33〜34ミリの範囲で合わせておけば、ほぼ60度の切れ刃角に研ぎあがるはずです。(ブレードにより刃の長さは異なります。それぞれのブレードを研ぐ時には、必ず寸法の確認が必要です。)

 角度調整器具は仕様がずっと変わっていないはずなので、同じような寸法調整でいいと思いますが、念のため角度の確認はしてくださいね。



 研ぎ方は、両手でブレードと角度調整器具をしっかりと保持して行います。ブレードはただ差し込まれているだけで不安定です。指で引きつけて、ブレードが遊ばないように気を付けてください。

 カタログの小さなイラストで紹介されているような、片手で操作する方法は、不安定でブレードの片減りの原因にもなるので、難しいような気がします。

 菱ギリの研ぎの項目で紹介している、ガラス板に耐水ペーパーを貼り付けた研ぎ台を使って、必要な番手で研いでいきます。カタログで紹介されているオイルストーンは今ひとつです。(あのオイルストーンだけでは、私には研ぎはできません。)

 最初に角度を作る時や、欠けてしまったブレードを研ぐ時は120〜240番くらいから。ふだんの研ぎでは400〜600番と1000番でいいと思います。

 切れ刃の部分だけではなく、ブレードの側面も研磨した方が良い時があります。ブレードを見て、切れ刃に接する側面が荒れている時には、研磨した方がいいと思います。

 最終仕上げは、青棒をすり込んだ革砥で行います。




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「セラミックブレード」


 この写真は、セラミック製のブレードです。鉄製の物よりも硬く摩耗しにくいので、広く使われていると思います。

 このセラミックブレードも、上の方法で研ぐことができます。鉄製の物よりも時間が掛かりますが、普通に研ぐことができるんですよ。(ダイヤモンド砥石でも削ることができると思いますが、私はペーパーで研ぎます。)

 私がセラミックブレードを使ってみての感想を、少し書かせて頂きます。

 この製品は、市販の状態では切れ刃の角度がかなり鋭くできています。これは、使用されているセラミック素材の性質と加工の都合によると思われます。

 まず、この素材を自分で研いでみると、鉄製と同様に研いだ場合は、鉄製のブレードよりも革の切れ味が渋いように感じます。これは、素材の摩擦抵抗が鉄製よりも大きいのかもしれません。(初めて研いだ時の感想なので、ちょっと当てになりません。間違っていたらごめんなさい。)

 そして、製品の研ぎの状態を見てみると、研磨の程度は決して高い物ではありません。素材の性質や研磨の程度から考えると、そのマイナス分を切れ刃角を鋭くすることによって、補っているのだと思われます。
 製造元と話をしたことがないので、以上はあくまでも私なりの感想です。

 私は、セラミックブレードも他の鉄製のブレードと同じ角度に研ぎ直しています。市販の状態の角度は、私には鋭すぎて使いにくいので。

 仕上げの革砥の研磨をていねいに行うと、切れ味は十分なものになります。革砥の研磨剤は青棒を使います。セラミックに対して、赤棒は研磨力が足りませんので。(白棒は研磨力はありますが、私には扱いにくく使っておりません。)

 青棒は研磨力があります。より平面性を求める人は、革砥ではなく薄く硬い紙などに青棒をすり込んで使っても良いかもしれません。




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【ベアリング入りスイヴェルナイフボディー】

 スゥィベルナイフのボディには、いろいろなグレードの製品があります。C社から国産では初めてとなるベアリング入りボディーが発売(2003年)されたので、試用してみました。


 いままで一般の普及品しか使ったことがなかったのですが、さすがにベアリング入りは滑らかに回りますね。

 普及品でも、手入れをしていれば十分に回りますが、長時間使っていると、ベアリングの滑らかさが手への負担をやわらげてくれそうな気がします。

 太さが2種類あります。外軸の直径が、9.5ミリと11ミリです。普及品が12.8ミリくらいですから、細めの設定です。

 長さの調整と、刃の固定は六角のアーレンキーで回すネジによります。構造はシンプルで、外軸の中に中軸を入れてスライドさせて長さを決めます。中軸とベアリング部とヨークが、がたつき無く組み込まれており、加工の正確さを感じます。

 分解したところです。ベアリング部の剛性さえ十分であれば、壊れそうなところはないですね。(指を乗せるヨークのベアリング部分も引っ張るとはずれます。そのベアリングの中までは分解したことがありません。)

 ところで、私はとても手が小さいのですが、このボディーは、最短に設定しても少し長く感じました。

 そこで、画像中央の外軸の上下を約2.5ミリずつの合計5ミリくらい削り短くしました。それから右側の中軸を1センチ短く切りました。ネジの当たる位置の関係で、中軸のベアリングに近い付近の形も少し変えました。

 中軸を外軸よりも5ミリ多く詰めたのは、購入した状態のこの製品に刃を取り付けると、中軸が刃に押し出されて5ミリほど外に出る寸法になっているからです。
(※その後改良され、中軸は短くなりました。)

 この加工で1センチ短くするつもりだったのですが、外軸の削り方が少し甘かったのか、実際に詰まったのは8ミリでした。外軸はネジ穴の位置の関係で、あまり短く削るわけにも行かないのです。(ネジ穴を開け直すのは面倒だし・・・。)

 これで、私の手にほぼぴったりとなりました。材質は黄銅といった感じで、加工は簡単でした。

 従来の海外製品は、たいへん高価な商品でした。この国産ベアリング入りのボディーは、その数分の一という手頃な価格です。商品名がなぜか「プロ用」となっていますが、スイヴェルナイフの操作に慣れていない人、また手入れの苦手な一般の人にこそ、ぴったりの工具のような気がします。

 「プロ用」とするとよく売れる法則があるのでしょうか? このようなネーミングをよく見かけます。でも私は、「プロ用」とついていると、気恥ずかしくて購入するのをためらってしまうことがあります。みなさまはいかがなものなのでしょうか?

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