レザークラフトの工具の手入れや調整法などについての説明を中心に紹介するページです。
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面取りの調整
(へりおとしの調整)


 手入れの仕方がわかりにくい工具の一つが、面取りではないでしょうか。私も面取りの手入れの方法は、よく尋ねられます。難しいことはないのですが、何度かやってみないとわからないコツはあるかもしれません。

 面取りには、鉋もありますし、ヤスリなどで削ることもできます。その中でも、このタイプの面取りは小回りがききますし、作業の視認性も優れています。 



「最も簡単な研ぎ方」


 まずはじめに、道具をほとんど必要としない研ぎ方を紹介します。

 写真のように、缶のふたなどを利用します。縁が丸く加工されているので、その上に耐水ペーパーを載せて研ぐことができます。

 缶の縁の丸みは、簡単につぶして細くすることができますので、面取りのサイズに合わせて調整できます。

 研ぎにはちょっとしたコツがいりますが、簡単な方法の割には、うまく研ぐことができると思いますよ。ペーパーは400〜1000番くらいの物を、必要に応じて使うといいと思います。


 缶の縁で刃裏を研いだあと、刃表側を仕上げます。ごく軽くペーパーを当てる感覚です。でも、このときのペーパーの当て方で切れ味はかなり変わります。

 角度によって、食い込みの感覚がだいぶ変化しますので、角度を変えてやってみてください。

 革包丁などと同じで、刃先を整えることがたいせつです。



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「ルーターを使って刃を整える」


 これは、私のふだんの刃の調整の仕方です。ハンドルーターを使います。

 写真のように、刃表そして刃裏から研磨します。写真のポイントはシリコンポイントの研磨力の弱い物です。

 シリコンポイントは研ぐと言うよりも、刃先を整える感覚で使います。

 ふだんの切れ味回復には、シリコンポイントで十分です。面取りに対しては最も合理的で簡単な、そして効果のある方法ではないかと思います。

 ほぼ、満足のいく切れ味になると思います。



 以上の他にもいくつか手入れ法は考えられます。革を始めたころに教わった方法には、ピアノ線の上で磨く・砥石の角で研ぐ、と言った方法もありました。ピアノ線は刃先が整って切れ味が回復します。砥石の角は研ぎやすいのですが、面取りの刃の形状の維持という面では、少し不利なところもあるかもしれません。

 いろいろな手入れ法が考えられると思いますので、実際に試してみてお気に入りの手入れ法を見つけてください。


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「改造する」


 研磨力のある軸付き砥石を使うと、ルーターで面取りを自由に加工できます。

 写真の左右の面取りは、もともとは同じサイズの物ですが、かなり違ったサイズに加工しています。

 削り方のコツは説明が難しいのですが、基になっている日本製は、工具の造りとして、表の溝も裏の溝も加工の度合いが足りないことが多いようです。裏の形状を整え、表の溝を長く削ります。刃を薄く仕立てる感覚といえばいいのでしょうか。

 注意することは、回転工具を使う場合、削りかすや砥石のかけらが飛散することがあると言うことです。特に小さい物を削るときは、目の近くで作業します。必ず防塵用のメガネをかけて作業してください。安易な気持ちで作業するとケガをすることがあるので、くれぐれも気を付けてください。ネット上によく見受けられる言葉ですが、「自己責任」で作業するべし!です。


*軸付き砥石について。
 改造に使用する軸付き砥石は、カーボン砥粒などで出来ている、研削力の強いものです。扱いに慣れが必要かもしれません。

 ふだんの刃先の調整に使っているシリコンポイントは、仕上げ研磨用のもので、研削力は強くはありません。改造の時の仕上げ研磨にも使います。




 以上の説明にはC社の工具を使いました。ただし、工具の仕上がりがその時々で違っているようです。必ずしも改造がしやすいとは限りませんので、お手持ちの工具と相談しながら検討してください。

 刃が薄く仕上がっているものは、加工するための削り代がない場合があります。時期により、この道具の仕上がりの程度には変化があります。昔は刃が厚いものが多かったように思います。一時期、仕上がりが異様に悪い時もありました。ですから、お手持ちの工具をじっくりと観察してください。

 いきなりルーターで加工を始めるよりも、刃裏側は金工用の丸棒ヤスリで加工していくなど、どんな刃を作りたいのか、自分のイメージが出来るように手工具で少しずつ加工を始めた方が良いかもしれません。

 詳細な解説は出来ませんが、ルーターの他に金工ヤスリ・耐水ペーパーなどを使いながら、使いやすい形に切削・研磨していきます。失敗もあるかもしれませんが、うまくいって自分で加工した面取りがなめらかな切れ味を発揮した時には、なかなか気持ちが良いものです。

 慣れると、たいして時間の掛からない作業です。一度刃を作ってしまうと、あとはふだん刃先を整えるだけで、しばらく使うことができると思います。

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「C社のKSへりおとし」


 2003年11月にC社から発売された面取り工具です。商品名は上記の工具と同じ「へりおとし」となっておりますが、精度や作りはまったく別の物に仕上がっています。良い仕上がりです。

 従来の「へりおとし」は、正直言って、購入したままの状態で使うには、苦しい面がありましたが、この「KSへりおとし」は、購入した時点ですでに仕上がっています。幅はNo.1〜No.3の3種類です。

 手入れ法は、上記の従来の方法と同じく、ルーターなどを使用すると簡単だと思います。最も簡単な方法として紹介している缶のフタを利用した研磨や、あるいは適当な丸棒を利用した研磨も有効だと思われます。

 完成度・コストパフォーマンスともに優れている製品ですので、別個に紹介ページを設けました。


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「外国製面取りー1」


 左の面取りは、カタツムリの角のように(もしかして目でしたっけ)工具の先端が付きだしています。

 おそらく馬の鞍などのごつい物を作る分には合理的な形なのだと思います。でも、小物にも使うとなると、角が邪魔になります。

 それで、右のように削ってしまいましょう。この製品に限らず、溝の両側の部分が広いと、作業しにくい時があります。薄物用は特にそうですね。


「外国製の面取りー2」


 この面取りは、道具として完成度が高いですね。すごくきれいに仕上がっていますし、とても良い工具です。

 刃先を整えるためのスチール棒が付いてきます。刃先の荒れを整えるための棒です。

 ほかの面取りでも、スチールの棒などでタッチアップすると切れ味が回復します。間に合わせようと思えば、ボール紙の側面に青棒をすり込んで、それで磨いても刃先が整って切れ味が回復します。あくまでも一時的なものではありますが、刃先を整えながら使うのが、刃物の使い方の基本です。

 研ぎ方は、面取りの場合はほとんど共通の方法でいいと思います。

 難点がまったくないわけではありませんが、ほれぼれするきれいな道具です。


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「市販の雑貨の利用その1:ツメの甘皮切り」


 この写真は、ツメのお手入れ用に販売されている、「甘皮きり」です。左側が販売されている製品そのままの形です。

 右側の先端の形が左側のものと違っているのがわかると思います。先端の角のような部分を、裏側に反らせています。

 形状をよく見ていただくとわかりますが、左側のものは製品の表側を上にして置いていますし、右側のものは製品の裏側を上にして置いています。

 このように先端の形状を変えると、普通の面取りのように使うことができます。もともと丈夫に作られている製品ではないので、使用感はどこか頼りない感じがしますが、小さい面取りとして十分に機能しました。


 左の写真のように、面取りをすることができて、手入れも普通の面取りと同じようにできます。

 先端の角だけでなく、金属部分を全体的に裏側に反らせると、使いやすい角度になるようです。

 この、ツメの甘皮きりを面取りに使用するというアイデアは、福岡県にお住まいで、福祉関係の仕事をされているFさんからメールで教えていただいたものです。



「市販の雑貨の利用その2:リッパー(糸切り)」


 手芸店などで、糸切り道具として販売されている、リッパーという名称の道具を、面取りとして使うことができます。

 左の写真のように、先端が2本に分かれていて、それぞれ長さも形状も違う、非対称のユニークな形をしています。

 このままでも、一応は面取りは可能なのですが、やはり使いやすい形ではありません。

 多少は手を加えた方が、使いやすくなります。

 この写真は、面取りとして使いやすいように、先端を加工したものです。ぱっと見ると、面取り専用に最初から作られた道具のように見えますね。

 まず、先端の角をペンチで適当な長さに切ります。それから金工用のヤスリで長さや形を微調整しました。仕上げは耐水ペーパーです。

 写真ではわかりませんが、真っ直ぐだった軸も、少し曲げました。すぐにポキッと折れそうな鋼材だったので、火であぶりながら曲げました。

 実際に、面取りをしてみます。

 写真ではわかりにくいのですが、かなり広めの面取りとして使用することができます。力の入れ加減にもよりますが、通常の国内の市販品よりも、広い面を取ることが可能でした。

 作りがきゃしゃで、ハードに使うという向きの工具ではありませんが、もともとの刃が硬く薄いので、切れ味はなかなかのものがあります。

 お手入れも、普通の面取りと同様の方法で可能だと思われます。

 このリッパーを面取りに使うというアイデアは、私の工房のお客様のR.Mさんから教えていただいたものです。


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