実2次元数ベクトル空間R2における線形従属・線形独立:トピック一覧 |
---|
・定義:一次独立・線形独立/一次従属・線形従属 ・定理:一次独立/従属の判定の簡便法 ―1個の実2次元数ベクトルについて ―3個以上の実2次元数ベクトルについて ―2個の実2次元数ベクトルについて ・定理:ベクトル1個の一次独立/単位ベクトルは一次独立/線型結合を用いた一次独立の言い換え/正則行列の各列・各行はベクトルとして一次独立 一次独立なベクトルは非零ベクトル/一次独立なベクトルの一部 ・定理:線型結合を用いた一次従属の言い換え |
※実2次元数ベクトル空間関連ページ:実2次元数ベクトル空間の定義/線形結合/線形結合と線形独立・従属の関係/基底/次元/部分ベクトル空間 ※上位概念:一般のベクトル空間における一次独立・従属/体上の数ベクトル空間における一次独立・従属/実n次元数ベクトル空間における一次独立・従属 →線形代数目次・総目次 |
定義:実2次元数ベクトルの一次独立・線形独立/一次従属・線形従属 linearly independent/dependent | ||
---|---|---|
→実2次元数ベクトルの一次独立・線型独立の定義/一次従属・線型従属の定義 →1個の実2次元数ベクトルについての、一次独立/従属の判定 →2個の実2次元数ベクトルについての、一次独立/従属の判定 →3個以上の実2次元数ベクトルについての、一次独立/従属の判定 |
※一般化:実n次元数ベクトルのケース |
|
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 +:実2次元数ベクトル空間Rnに定義されているベクトルの加法 スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの: 実2次元数ベクトル空間R2に定められているスカラー乗法 v1,v2,…,vl:l個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 v1= ( x1, y1 ) ただし、x1, y1 ∈R v2= ( x2, y2 ) ただし、x2, y2 ∈R : : vl= ( xl, yl ) ただし、xl, yl ∈R したがって、v1 , v2 , …, vl ∈R2 。 なお、個数lが有限個であることに注意。 a1, a2, …, al :スカラー。a1, a2, …, al ∈R |
[文献―R2限定] *神谷『経済学のための数学入門 』例3.1.1(pp.108-9):2個のベクトル ・砂田『行列と行列式』§5.1-e(p.21):2個のベクトル ・志賀『線形代数30講』8講(pp.49-50); ・川久保『線形代数学』定理6.4.2(p.128) ・戸田山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.4.2(pp.76-7) ・グリーン『計量経済分析I』2.4.3(pp.25-6); ・佐和『回帰分析』2.1.2(p.17); 以下は、R2限定かどうか確かめてない。 [文献3] ・柳井竹内『射影行列・一般逆行列・特異値分解』 §1.2(pp.5-6); ・草場『線形代数』定義2.2(pp.54-5); ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』1.2V定義1.2.2(p.10); ・ Chiang,Fundamental Methods of Mathematical Economics 4.3 (pp.70-71) . ・ 矢野田代『社会科学者のための基礎数学』2章§6(p.43). ; |
[長い解説] |
||
背景 問1 |
l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlを取り上げる。 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl=0 を満たすl個の実数a1, a2, …, al は存在するだろうか? 存在するとしたら、それは、どのような実数l個の組合せになるのだろうか? つまり、 実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlの一次結合を零ベクトル(0,0)にするような 係数の組み合わせa1, a2, …, al は存在するのだろうか? |
|
回答 1-1 |
・どのようにl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlを選んだとしても、 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl=0 を満たすl個の実数a1, a2, …, alは少なくとも一組は存在する。 このことを論理記号であらわせば、 (∀ v1,v2,…,vl ∈R2 )(∃a1, a2, …, al∈R)( a1v1+a2v2+…+alvl=0 ) ・なぜ、そうなるのかといえば、 どのようにl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlを選んだとしても、 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 l個の実数a1=a2=…=al=0が、 a1v1+a2v2+…+alvl=0 を満たすからである。 ∵実2次元数ベクトルのスカラー0倍は零ベクトル、 零ベクトルとのベクトル和の性質 | |
回答 1-2 |
・つまり、 どのようにl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlを選んだとしても、 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl=0 を満たすl個の実数a1, a2, …, alとして、 a1=a2=…=al=0が、いつでも存在する。 これは、見方をかえれば、 どのようにl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlを選んだとしても、 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl=0かつa1=a2=…=al=0 を満すl個の実数a1, a2, …, al が、いつでも存在するということ。 このことを論理記号であらわすと、 (∀v1,v2,…,vl∈R2) (∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ(a1=a2=…=al=0)) | |
背景 問2 |
・l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlを取り上げる。 ・このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 一次結合a1v1+a2v2+…+alvlを、零ベクトル(0,0)にするl個の実数a1, a2, …, alの組合せ すなわち、 a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たすl個の実数a1, a2, …, alの組合せ としては、 まず、a1=a2=…=al=0をあげることができる。 (∵前段)。 ・では、 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 一次結合a1v1+a2v2+…+alvlを、零ベクトル(0,0)にするl個の実数a1, a2, …, alの組合せ すなわち、a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たすl個の実数a1, a2, …, alの組合せ は、 (i) a1=a2=…=al=0だけであって、 a1=a2=…=al=0以外の組合せは存在しないのだろうか? それとも、 (ii) a1=a2=…=al=0に加えて、a1=a2=…=al=0以外の組合せも存在するのだろうか? ・つまり、 このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 「a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たし、 かつ、a1=a2=…=al=0を満たさない l個の実数a1, a2, …, al 」 は (i) 存在しないのか、 (ii) 存在するのか。 ・この問いを論理記号であらわせば、 与えられたl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 (i) ¬((∃a1, a2, …, al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0))) であるのか、それとも、 (ii) (∃a1, a2, …, al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0)) であるのか。 |
|
回答 2 |
・問2については、一概には、どちらともいえない。 l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlの選び方によって、 「a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たし、 かつ、a1=a2=…=al=0を満たさない l個の実数a1, a2, …, al 」 が (i) 存在しない こともあれば、 (ii) 存在する こともある。 ・(i) (ii) の2つのケースに重複はないので、 l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlは、(i) か(ii) のいずれかである。 ・ということは、 (i) (ii) は、あらゆるl個の実2次元数ベクトルを、2つのケースに二分する分類軸として機能する。 (i)を一次独立ないし線形独立と呼び、 (ii) 一次従属ないし線形従属をとよぶ。 |
|
[定義] |
||
線形独立 の 定義 |
(1) l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立・線形独立であるとは、 ・「このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 一次結合a1v1+a2v2+…+alvlを、零ベクトル(0,0)にするl個の実数a1, a2, …, alの組合せ すなわち、a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たすl個の実数a1, a2, …, alの組合せ は、 a1=a2=…=al=0だけであって、a1=a2=…=al=0以外の組合せは存在しない」ということ ・つまり、 「この実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たし、かつ、a1=a2=…=al=0を満たさない l個の実数a1, a2, …, al は存在しない」ということ ・論理記号であらわせば、与えられたv1,v2,…,vl ∈R2にたいして、 ¬((∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0))) をいう。 (2) この定義は、次のように述べてもよい。 l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立・線形独立であるとは、 ・「この実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、どのようにl個の実数a1, a2, …, al をとっても、 a1v1+a2v2+…+alvl≠0となるか、あるいは、a1=a2=…=al=0となるか、しかない」 ということ。 ・論理記号であらわせば、与えられたv1,v2,…,vl ∈R2にたいして、 (∀a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl≠0)または(a1=a2=…=al=0)) ということ。 (3) この定義は、次のようにも述べてもよい。 l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立・線形独立であるとは、 ・「この実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、どのようにl個の実数a1, a2, …, al をとっても、 a1v1+a2v2+…+alvl=0ならば、a1=a2=…=al=0」 ということ。 ・論理記号であらわせば、与えられたv1,v2,…,vl ∈R2にたいして、 (∀a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0) ⇒ (a1=a2=…=al=0)) ということ。 (4) この3つの線形独立の定義が同じモノであることは、次のようにして確かめられる。 ¬((∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0))) ⇔ (∀a1,a2,…,al∈R)¬((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0)) ∵存在命題の否定は否定命題の全称命題に言いかえられる ⇔ (∀a1,a2,…,al∈R)(¬(a1v1+a2v2+…+alvl=0)または¬¬(a1=a2=…=al=0)) ∵連言の否定は、否定命題の選言に言いかえられる ⇔ (∀a1,a2,…,al∈R)(¬(a1v1+a2v2+…+alvl=0)または(a1=a2=…=al=0)) ∵命題の2重否定はもとの命題 ⇔ (∀a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)⇒(a1=a2=…=al=0)) ∵ならば⇒の定義 :「A⇒B」とは、「(¬A)またはB」のこと |
|
※ |
[次のステップへ] 線型独立linearly independentの定義は、分かった。 では、どういう風に、実2次元数ベクトルをあつめると、 それらは、線型独立になるのだろうか? 端的なメルクマールはないのだろうか? →答えは、判定の簡便法を参照。 |
|
線形従属 の 定義 |
(1) l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属・線形従属であるとは、 ・「このl個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 一次結合a1v1+a2v2+…+alvlを、零ベクトル(0,0)にするl個の実数a1, a2, …, alの組合せ すなわち、a1v1+a2v2+…+alvl=0を満たすl個の実数a1, a2, …, alの組合せ には、 a1=a2=…=al=0に加えて、a1=a2=…=al=0以外の組合せもある」 ということ ・つまり、 「a1v1+a2v2+…+alvl=0 を満たし、かつ、a1=a2=…=al=0を満たさない l個の実数a1, a2, …, al が存在する」ということ ・論理記号であらわせば、 (∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0)) ということ をいう。 (2) この定義は、次のように述べてもよい。 l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属・線形従属であるとは、 ・「この実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 『a1v1+a2v2+…+alvl≠0 または a1=a2=…=al=0』 を満たさないl個の実数a1, a2, …, al が存在する」 ということ ・論理記号であらわせば、与えられたv1,v2,…,vl ∈Rnにたいして、 (∃a1,a2,…,al∈R)¬(¬(a1v1+a2v2+…+alvl=0)または(a1v1+a2v2+…+alvl=0)) ということ をいう。 (3) この定義は、次のようにも述べてもよい。 l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属・線形従属であるとは、 ・「この実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlにたいして、 『a1v1+a2v2+…+alvl=0ならば、a1v1+a2v2+…+alvl=0』 を満たさないl個の実数a1, a2, …, al が存在する」 ということ ・論理記号であらわせば、与えられたv1,v2,…,vl ∈Rnにたいして、 (∃a1,a2,…,al∈R)¬((a1v1+a2v2+…+alvl=0) ⇒ (a1=a2=…=al=0)) ということ をいう。 (4) この3つの線形従属の定義が同じモノであることは、次のようにして確かめられる。 (∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0)) ⇔(∃a1,a2,…,al∈R)¬(¬(a1v1+a2v2+…+alvl=0)または(a1=a2=…=al=0)) ∵命題の2重否定はもとの命題、選言の否定と否定命題の連言は言い換え可能 ⇔(∃a1,a2,…,al∈R)¬((a1v1+a2v2+…+alvl=0) ⇒ (a1=a2=…=al=0)) ∵ならば⇒の定義 :「A⇒B」とは、「(¬A)またはB」のこと |
|
※ | [次のステップへ] 線型従属linearly dependentの定義は、分かった。 では、どういう風に、実2次元数ベクトルをあつめると、 それらは、線型従属になるのだろうか? 端的なメルクマールはないのだろうか? →答えは、判定の簡便法を参照。 |
|
線形従属 /独立 の 関係 |
・「l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属・線形従属である」は、 「l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立・線形独立である」ことの否定命題。 ・「l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立・線形独立である」は、 「l個の実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属・線形従属である」ことの否定命題。 ・なぜなら、 「v1,v2,…,vlが一次独立・線形独立」は、 ¬((∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0))) として、 「v1,v2,…,vlが一次従属・線形従属」は、 ((∃a1,a2,…,al∈R)((a1v1+a2v2+…+alvl=0)かつ¬(a1=a2=…=al=0))) として、 定義されているのだから、明らか。 |
|
※ |
上位概念:一般のベクトル空間における一次独立、体上の数ベクトル空間における一次独立 一般のベクトル空間における一次従属、体上の数ベクトル空間における一次従属 実n次元数ベクトル空間における一次独立・従属 |
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
一次独立/従属の判定の簡便法 | ||
---|---|---|
実2次元数ベクトルの一次独立/従属の判定は、 ・1つの実2次元数ベクトルに関する一次独立/従属の判定 ・2つの実2次元数ベクトルに関する一次独立/従属の判定 ・3つ以上の実2次元数ベクトルに関する一次独立/従属の判定 に分けると、簡便である。 |
||
[1つの実2次元数ベクトルに関する一次独立/従属の判定] |
||
設定 | R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 v:1個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 v= ( x, y ) ただし、x, y ∈R したがって、v ∈R2。 a1:スカラー。a1∈R |
※一般化:一つの実n次元数ベクトルの一次独立性の判定 [文献] ・佐武『線形代数学』V§1(p.86); |
本題 |
次の二つの命題は同値。 命題P:実2次元数ベクトルvが一次独立。 命題Q:実2次元数ベクトルvは零ベクトル以外。 次の二つの命題も同値。 命題Pの否定命題:実2次元数ベクトルvが一次従属。 命題Qの否定命題:実2次元数ベクトルvは零ベクトル。 |
|
なぜ? |
step1:(¬命題Q)⇒(¬命題P)を示す。 ・v=0ならば、 任意のa∈Rにたいして、a0=0。 ・だから、 v=0ならば、(∃a1∈R)((a1v=0)かつ(a1≠0))。 ・つまり、 v=0ならば、vは、一次従属の定義「(∃a1∈R)((a1v=0)かつ(a1≠0))」を満たす。 step2:「(¬命題Q)⇒(¬命題P)」がstep1で示されたので、その対偶「命題P⇒命題Q」も成り立つ(∵)。 step3:命題Q⇒命題Pを示す ・v= ( x, y )≠0ならば、「x≠0またはy≠0 」 …(3-1) ・(3-1)より、 「v= ( x, y )≠0かつa1≠0」ならば、「『x≠0またはy≠0 』かつ a1≠0」…(3-2) ・(3-2)と分配則より、 「v= ( x, y )≠0かつa1≠0」ならば、「『x≠0かつa1≠0』または『y≠0かつa1≠0 』」…(3-3) ・実数の性質より、「( ∀x,y∈R ) ( x≠0かつy≠0 ⇒ xy≠0 )」だから、 (x≠0かつa1≠0)⇒ a1x≠0、(y≠0かつa1≠0)⇒ a1y≠0 したがって、(3-3)より、 「v= ( x, y )≠0かつa1≠0」ならば、「a1x≠0またはa1y≠0」 つまり、 「v≠0かつa1≠0」ならば、「a1v≠0」…(3-4) ・(3-4)は、 「v≠0 ならば、『a1≠0ならばa1v≠0』」…(3-5) と言い換えてよい(∵)。 ・(3-5)は、 「v≠0 ならば、『a1=0またはa1v≠0』」…(3-6) と言い換えてよい(∵「AならばB」の定義:(¬A)∨B)。 ・(3-6)より、 v≠0 ならば、 「vが一次独立」の定義「¬((∃a1∈R)((a1v=0)かつ(a1≠0)))」が満たされる。 step4:「命題Q⇒命題P」がstep3で示されたので、その対偶「(¬命題P)⇒(¬命題Q)」も成り立つ(∵)。 |
|
[2つの実2次元数ベクトルに関する一次独立/従属の判定] |
||
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 v1,v2:2個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 v1= ( x1, y1 ) ただし、x1, y1 ∈R v2= ( x2, y2 ) ただし、x2, y2 ∈R したがって、v1 , v2 ∈R2 。 a1, a2 :スカラー。a1, a2 ∈R |
[文献] ・砂田『行列と行列式』§5.1-e(p.21):2個のベクトル; ・志賀『線形代数30講』8講(p.49):2個の実2次元数ベクトル; ・ 神谷『経済学のための数学入門 』p.108!; ・西村『経済数学早わかり』p.39; ・戸田山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』pp.76-7 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』1.2V定義1.2.2(p.10); |
本題 | 次の三つの命題は同値。 命題P:実2次元数ベクトルv1,v2が一次独立。 命題Q:実2次元数ベクトルv1を、実2次元数ベクトルv2のスカラー倍として、表せない。 かつ、実2次元数ベクトルv2を、実2次元数ベクトルv1のスカラー倍として、表せない。 命題R:原点,v1,v2が、一直線上に並ばない(三点のうち、二点ないし三点が、同一点上に重なるということもない。)。 次の三つの命題も同値。 命題Pの否定命題:実2次元数ベクトルv1,v2が一次従属。 命題Qの否定命題:実2次元数ベクトルv1を、実2次元数ベクトルv2のスカラー倍として、表せる。 または、実2次元数ベクトルv2を、実2次元数ベクトルv1のスカラー倍として、表せる。 命題Rの否定命題:原点,v1,v2が、一直線上に並ぶ。(三点のうち、二点ないし三点が、同一点上に重なってもよい。) |
|
図解 |
左図をいじると、 原点,v1,v2が、一直線上に並ぶかどうかで、 v1,v2の一次独立/従属が決定されることがわかる。 |
|
証明 |
v1,v2の一次結合を零ベクトルにする係数は、は存在するか。] step1:「(¬命題P)⇒(¬命題Q)」の証明 ¬命題P「v1,v2が一次従属」とは、「(∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0))」のこと。 したがって、¬命題P 「v1,v2が一次従属」ならば、 (a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0)を満たすa1,a2∈Rのうち、 a1が0でない場合、v1=−(a2/a1)v2 と表せ、 a2が0でない場合、v2=−(a1/a2)v1 と表せる。 つまり、¬命題P 「v1,v2が一次従属」ならば、(¬命題Q)が成立する。 step2:「(¬命題P)⇒(¬命題Q)」が示されたので、その対偶「命題Q⇒命題P」も成り立つ(∵)。 step3:「(¬命題Q)⇒(¬命題P)」の証明 ¬命題Qとは、「(∃a2∈R)(v1=a2v2)または(∃a1∈R)(v2=a1v1)」。 ・(∃a2∈R)(v1=a2v2)⇔(∃a2∈R)(1v1−a2v2=0)だから、 (∃a2∈R)(v1=a2v2) ⇒ (∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0)) つまり、(∃a2∈R)(v1=a2v2)ならば、v1,v2について一次従属の定義が満たされる。 (たとえ、a2=0であっても、成り立つことに注意。) ・(∃a1∈R)(v2=a1v1)⇔(∃a1∈R)(a1v1−v2=0)だから、 (∃a1∈R)(v2=a1v1) ⇒ (∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0)) つまり、(∃a1∈R)(v2=a1v1)ならば、v1,v2について一次従属の定義が満たされる。 (たとえ、a1=0であっても、成り立つことに注意。) したがって、(¬命題Q)が成り立つならば、¬命題P 「v1,v2が一次従属」が成り立つ。 step4:「(¬命題Q)⇒(¬命題P)」が示されたので、その対偶「命題P⇒命題Q」も成り立つ(∵)。 step5:「(¬命題Q)⇒(¬命題R)」の証明 ¬命題Qとは、「(∃a2∈R)(v1=a2v2)または(∃a1∈R)(v2=a1v1)」。 ・(∃a2∈R)(v1=a2v2)が成り立つケースについて考える。 (∃a2∈R)(v1=a2v2)が成り立つケースは、以下の4ケースで、言い尽くされる。 [ケース1] v2=0 である場合 このとき、a2の値にかかわりなくv1=0。 だから、この場合、v1=v2=0。つまり、 v1、v2、原点は、同一点。 [ケース2] v2≠0 かつ a2=0である場合 このとき、v1=0。 だから、この場合、v1=0かつv2≠0。つまり、v1、原点は同一で、v2は、別の一点。 [ケース3] v2≠0 かつ a2≠0かつa2≠1である場合 この場合、v1≠0 かつ v2≠0 であって、v1=a2v2(a2≠0,1)が満たされている。 つまり、v1,v2,原点は別の3点であって、原点を通る同一直線上に並ぶ。 [ケース4] v2≠0 かつ a2≠1である場合 この場合、v1≠0 かつ v2≠0 であって、v1=v2が満たされている。 つまり、v1,v2、原点とは異なる同一点。 ※(∃a2∈R)(v1=a2v2)が成り立つとき、「v2=0かつv1≠0」のケースはありえないことに注意。 以上の検討から、 (∃a2∈R)(v1=a2v2)が成り立つ ならば、 ¬命題R「原点,v1,v2が、一直線上に並ぶ。(三点のうち、二点ないし三点が、同一点上に重なってもよい)」が成立する といえる。 ・(∃a1∈R)(v2=a1v1)が成り立つケースについて考える。 (∃a1∈R)(v2=a1v1)が成り立つケースは、以下の4ケースで、言い尽くされる。 [ケース1] v1=0 である場合 このとき、a1の値にかかわりなくv2=0。 だから、この場合、v1=v2=0。つまり、 v1、v2、原点は、同一点。 [ケース2] v1≠0 かつ a1=0である場合 このとき、v2=0。 だから、この場合、v1≠0かつv2=0。つまり、v2,原点は同一で、v1は別の一点。 [ケース3] v1≠0 かつ a1≠0かつa1≠1 である場合 この場合、v1≠0 かつ v2≠0 であって、v2=a1v1(a1≠0,1)が満たされている。 つまり、v1,v2は、原点とは異なる点であって、 原点を通る同一直線上に並ぶ別々の点。 [ケース4] v1≠0 かつ a1=1 である場合 この場合、v1≠0 かつ v2≠0 であって、v2=v1。 つまり、v1,v2は、原点とは異なる同一点。 ※(∃a1∈R)(v2=a1v1)が成り立つとき、「v1=0かつv2≠0」のケースはありえないことに注意。 以上の検討から、 (∃a2∈R)(v1=a2v2)が成り立つ ならば、 ¬命題R「原点,v1,v2が、一直線上に並ぶ。(三点のうち、二点ないし三点が、同一点上に重なってもよい)」が成立する といえる。 ・以上から、 (∃a2∈R)(v1=a2v2)であれ、(∃a1∈R)(v2=a1v1)であれ、 ¬命題Qが成り立つ ならば、 ¬命題R「原点,v1,v2が、一直線上に並ぶ。(三点のうち、二点ないし三点が、同一点上に重なってもよい)」が成立する といえる。 step6:「(¬命題Q)⇒(¬命題R)」が示されたので、その対偶「命題R⇒命題Q」も成り立つ(∵)。 step7:「(¬命題R)⇒(¬命題Q)(¬命題P)」の証明 ・¬命題R「原点,v1,v2が、一直線上に並ぶ(三点のうち、二点ないし三点が、同一点上に重なってもよい)」は、 以下の5ケースで、言い尽くされる。 [ケース1:原点,v1,v2が同一点である場合] これは、v1=v2=0 である場合だから、v1=0v2, v2=0v1 と表せ、(¬命題Q)が成り立つ。 また、v1=v2=0 である場合、 (¬命題P)」「(∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0))」の成立は、容易に確認できよう。 [ケース2:原点,v1が同一点であって、v2のみが原点とは異なる一点である場合] これは、v1=0かつv2≠0 である場合だから、 v2はv1のスカラー倍として表しようがないが、 v1=0v2というかたちで、v1はv2のスカラー倍として表せる。 また、v1=0かつv2≠0 である場合、 (¬命題P)」「(∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0))」の成立も、 0以外の適当な実数をa1、0をa2とすることで、 容易に確認できよう。 [ケース3:原点,v2が同一点であって、v1のみが原点とは異なる一点である場合] これは、v2=0かつv1≠0 である場合だから、 v1はv2のスカラー倍として表しようがないが、 v2=0v1というかたちで、v2はv1のスカラー倍として表せる。 また、v2=0かつv1≠0 である場合、 (¬命題P)」「(∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0))」の成立も、 0をa1、0以外の適当な実数をa2とすることで、容易に確認できよう。 [ケース4:v1,v2が、原点とは異なる同一点である場合] これは、v1=v2≠0 である場合だから、 v1=1v2というかたちで、v1はv2のスカラー倍として表せ、 v2=1v1というかたちで、v2はv1のスカラー倍として表せる。 また、v1=v2≠0 である場合は、 (¬命題P)」「(∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0))」の成立を、 1をa1、-1をa2とすることで、容易に確認できよう。 [ケース5:原点,v1,v2が、一直線上に並ぶ異なる三点である場合] これはv1≠0かつv2≠0かつv1≠v2であって、ある実数c≠0,1が存在して、v1=cv2が満たされる場合だから、 v1=cv2というかたちで、v1はv2のスカラー倍として表せ、 v2=(1/c)v1というかたちで、v2はv1のスカラー倍として表せる。 また、この場合は、a1v1+a2v2=a1v1+(a2/c)v1に注意して、 (¬命題P)「(∃a1,a2∈R)((a1v1+a2v2=0)かつ¬(a1=a2=0))」の成立を、 1をa1、−cをa2とすることで確認できよう。 step7:「(¬命題R)⇒(¬命題Q)(¬命題P)」が示されたので、その対偶「命題R⇒命題P,Q」も成り立つ(∵)。 |
|
[3つ以上の実2次元数ベクトルに関する一次独立/従属の判定] |
||
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 v1,v2,…,vl:l個(l≧3)の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 v1= ( xv1, yv1 ) ただし、xv1, yv1 ∈R v2= ( xv2, yv2 ) ただし、xv2, yv2 ∈R : : vl= ( xvl, yvl ) ただし、xvl, yvl ∈R したがって、v1 , v2 , …, vl ∈R2 。 なお、個数lが3以上の有限個数であることに注意。 a1, a2, …, al :スカラー。a1, a2, …, al ∈R |
|
本題 | 三つ以上の実2次元数ベクトルv1,v2, …, vl (個数lが3以上の有限個数)は、 無条件に、一次従属である。 |
|
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
定理:単位ベクトルは一次独立 | ||
---|---|---|
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) |
※一般化:実n次元数ベクトルのケース [文献] 佐武『線形代数学』V§1(p.86); 永田『理系のための線形代数の基礎』1.2(p.11) |
本題 |
実2次元数ベクトル空間R2の基本ベクトルは、一次独立。 |
|
※ | 基本ベクトルは基底をなす |
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
|
定理:一次結合を用いた一次独立の言い換え | |||
---|---|---|---|
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 v1,v2,…,vl:l個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 具体的に書くと、 v1= ( xv1, yv1 ) ただし、xv1, yv1 ∈R v2= ( xv2, yv2 ) ただし、xv2, yv2 ∈R : : vl= ( xvl, yvl ) ただし、xvl, yvl ∈R したがって、v1 , v2 , …, vl ∈R2 。 なお、個数lが有限個であることに注意。 a1, a2, …, al :スカラー。a1, a2, …, al ∈R |
※一般化:実n次元数ベクトルのケース [文献] 志賀『線形代数30講』14講(p.90) 高橋『経済学とファイナンスのための数学』1.2V定義1.2.2(p.10); |
|
本題 |
次の二つの命題は同値。 命題P:実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立。 命題Q:実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlのどの一つも、 残りの(l−1)個の実2次元数ベクトルの一次結合では表されない。 |
||
証明 | 志賀『線形代数30講』14講(p.90) | ||
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
定理:一次結合を用いた一次従属の言い換え | ||
---|---|---|
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 +:実2次元数ベクトル空間Rnに定義されているベクトルの加法 スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:実2次元数ベクトル空間R2に定められているスカラー乗法 |
|
v1,v2,…,vl:l個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 具体的に書くと、 v1= ( xv1, yv1 ) ただし、xv1, yv1 ∈R v2= ( xv2, yv2 ) ただし、xv2, yv2 ∈R : : vl= ( xvl, yvl ) ただし、xvl, yvl ∈R したがって、v1 , v2 , …, vl ∈R2 。 なお、個数lが有限個であることに注意。 a1, a2, …, al :スカラー。a1, a2, …, al ∈R |
※一般化:実n次元数ベクトルのケース [文献] 志賀『線形代数30講』14講(p.90); 永田『理系のための線形代数の基礎』1.2(p.10); 柳井竹内『射影行列・一般逆行列・特異値分解』 §1.2(pp.5-6); 草場『線形代数』2.9定義2.2(pp.54-5); 藤原『線形代数』4.2(p.94); 神谷浦井『経済学のための数学入門』定理3.1.2(p.109):証明付; 高橋『経済学とファイナンスのための数学』定義1.2.2(p.10); グリーン『計量経済分析I』定義2.4(p.25) |
|
本題 |
次の二つの命題は同値。 命題P:実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属。 命題Q:実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlの一つが、 残りの(l−1)個の実2次元数ベクトルの一次結合 として表される。 |
|
※ |
上記の命題Qは、 「実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlの一つは、 残りの(l−1)個の実2次元数ベクトルに一次従属である」 と言い表されることもある。 |
|
証明 | 神谷浦井『経済学のための数学入門』定理3.1.2(p.109):証明付; | |
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
定理:一次独立な実2次元数ベクトルはすべて非零ベクトル | ||
---|---|---|
設定 | R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 +:実2次元数ベクトル空間Rnに定義されているベクトルの加法 スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの: 実2次元数ベクトル空間R2に定められているスカラー乗法 |
|
v1,v2,…,vl:l個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 具体的に書くと、 v1= ( xv1, yv1 ) ただし、xv1, yv1 ∈R v2= ( xv2, yv2 ) ただし、xv2, yv2 ∈R : : vl= ( xvl, yvl ) ただし、xvl, yvl ∈R したがって、v1 , v2 , …, vl ∈R2 。 なお、個数lが有限個であることに注意。 a1, a2, …, al :スカラー。a1, a2, …, al ∈R |
※一般化:実n次元数ベクトルのケース [文献] 佐武『線形代数学』V§1(p.86); 志賀『線形代数30講』14講(p.90):証明付; 永田『理系のための線形代数の基礎』1.2問1(p.11) 佐和『回帰分析』2.1.2(p.17); |
|
本題 |
次の命題と、その対偶が成り立つ。 命題: 実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立ならば、 v1≠0かつv2≠0かつ…かつvl≠0 上記命題の対偶:「v1,v2,…,vlに一つでも零ベクトルが含まれるならば、v1,v2,…,vlは一次従属。 |
|
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
|
定理:一次独立な実2次元数ベクトルの部分集合、一次従属な実2次元ベクトルを含む集合 | ||
---|---|---|
設定 |
R:実数体(実数をすべて集めた集合) R2:実2次元数ベクトル空間 v1,v2,…,vl:l個の実2次元数ベクトル。 具体的に書くと、 v1= ( xv1, yv1 ) ただし、xv1, yv1 ∈R v2= ( xv2, yv2 ) ただし、xv2, yv2 ∈R : : vl= ( xvl, yvl ) ただし、xvl, yvl ∈R したがって、v1 , v2 , …, vl ∈R2 。 なお、個数lが有限個であることに注意。 a1, a2, …, al :スカラー。a1, a2, …, al ∈R |
※一般化:実n次元数ベクトルのケース [文献] 佐武『線形代数学』V§1(p.86); 神谷浦井『経済学のための数学入門』定理3.1.3(p.110); ホフマン『線形代数学I』2.3基底と次元(p.41); |
本題 |
次の命題とその対偶が成り立つ。 命題: 実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次独立ならば、 ここからm個(ただしm<l ) 除いた残りの(l−m)個の実2次元数ベクトルも一次独立。 上記命題の対偶:実2次元数ベクトルv1,v2,…,vlが一次従属(一次独立でない)ならば、 これにm個の任意の実2次元数ベクトルを付け加えた v1,v2,…,vl, vl+1, …, vl+mも一次従属(一次独立でない)。 |
|
証明 |
対偶「v1,v2,…,vlが一次従属⇒v1,v2,…,vl, vl+1, …, vl+mは一次従属」を示す。 v1,v2,…,vlが一次従属 ⇒全部は0ではないスカラーa1, a2, …, al が存在して、a1v1+a2v2+…+alvl=0 を満たす。 ∵一次従属の定義 ⇒全部は0ではないスカラーa1, a2, …, al が存在して、任意の実2次元数ベクトルvl+1, …, vl+m にたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl+0vl+1+0vl+2+…+0vl+m=0 を満たす。 すなわち、全部は0ではないスカラーa1, a2, …, al と、al+1=al+2=…=al+m=0と、 任意の実2次元数ベクトルvl+1, …, vl+mにたいして、 a1v1+a2v2+…+alvl+al+1vl+1+…+al+mvl+m=0 つまり、v1,v2,…,vl, vl+1, …, vl+mは一次従属。 |
|
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
|
→[トピック一覧:線形従属・線形独立] →線形代数目次・総目次 |
|