R2
上の区間塊の面積を定義する集合関数μ( )の性質6の証明
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[
準備]
・舞台設定
R2 : 2つの「実数の全体の集合」Rの直積。すなわち、
R×R={ (x ,y ) |x ∈ R かつ y ∈ R }={ (x ,y ) | −∞<x<+∞かつ −∞<y<+∞ }
集合系(族)E : R2上の区間塊として考えられ得るものすべてを集めてきた集合系(族)。
※区間塊Eは、R2の部分集合だから、Eは R2の部分集合系(族)となっている。
Ψ(I) : R2上の区間の面積を定義する集合関数Ψ。
すなわち、
type 1: 左半開区間(a, b] ={ x | a<x≦b } (ただし−∞< a< b<+∞),
type 2: (−∞, b] ={ x | x≦b } (ただし−∞< b<+∞)、
type 3: (a , ∞) ={ x | a<x } (ただし−∞< a <+∞)、
type 4: (−∞, ∞)=実数の全体の集合R
type 5: 空集合φ
のいずれかのかたちのR上区間の直積となるR2上区間Iに対して、
(i) I=(a, b]×(a', b'] (−∞< a< b<+∞, −∞< a'< b'<+∞)ならば、Ψ(I) =( b−a ) (b'−a' )
(ii) I=φならば、 Ψ(φ) = 0
(iii) Iが上記以外〜つまり、(−∞, b]×(a' , ∞)など非有界の矩形〜ならば、
Ψ(I) =+∞
※値域は、広義の実数R*上の区間[0, +∞]となる。
「広義の実数」では、実数における演算が拡張されているので(特に+∞について)注意。
・集合関数μの定義
Eに属す、すべてのEは、R2上の区間塊であるから、
type 1: 左半開区間(a, b]={ x | a<x≦b } (ただし−∞< a< b<+∞),
type 2: (−∞, b]={ x | x≦b } (ただし−∞< b<+∞)、
type 3: (a , ∞)={ x | a<x } (ただし−∞< a <+∞)、
type 4: (−∞, ∞)=実数全体の集合R
type 5: 空集合φ
のいずれかのかたちの区間の直積の有限個の直和として表す
(=互いに素な有限個の「上記5タイプの区間の直積」へ分割する)
ことができる。
すなわち、
Eに属す、すべてのEには常に、
1以上の或る自然数nが存在して、
E= I1+…+In (ただし、I1,…,Inは、上記5タイプいずれかの区間の直積で、互いに素)
と表せる。※自然数nは1以上とわざわざことわったのは、E= I1というケースも当然ありうるという意味。
そこで、面積を定義する集合関数Ψを用いて、
μ(E)=Ψ(I1)+Ψ(I2)+…+Ψ(In)
と、 R2上の区間塊Eの面積を定義する集合関数μを定義する。
[μ( )の性質6]
R
2上の任意の区間塊E と、この区間塊Eを覆う任意の「矩形の可算被覆」{In}に対して、
μ( )は、次の不等式を満たす。

つまり、 μ(E)≦μ(I1)+μ(I2)+μ(I3)+… が成り立つ。
※R2上の任意の区間塊E が、非有界である場合
となるが、この、等号「=」は、広義の実数R*で定義された演算規則「∞=a+∞」の意味での等号「=」であって、
実数の枠内で普通にいう等号「=」の意味でではない。
ただし、ここでいう、
Eを覆う「矩形の可算被覆」とは、
次の2条件を満たす可算無限個の「2次元ユークリッド空間R2上の矩形の列」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}を指す。
(条件1) 矩形の列の要素I1 , I 2 , I 3 ,…はすべて、以下のいずれかのかたちのR上区間の直積であること。
type 1: 左半開区間(a, b] ={ x | a<x≦b } (ただし−∞< a< b<+∞),
type 2: (−∞, b] ={ x | x≦b } (ただし−∞< b<+∞)、
type 3: (a , ∞) ={ x | a<x } (ただし−∞< a <+∞)、
type 4: (−∞, ∞)=実数全体の集合R
type 5: 空集合φ
(条件2) Eを被覆すること、つまり、
を満たすこと。
※
Eを覆う「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}の例1
I1=(−∞, ∞)×(−∞, ∞)⊃E
I2, I3, I4,…=φ
となる{ I1 , I 2 , I 3 ,…}。この可算無限個の「R2上区間の列」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}も、条件1,2を満たすので、
Eを覆う「区間の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のひとつである。
※Eを覆う「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}の例2
下図は、
I1=(a, b]×(a', b']⊃E (ただし−∞< a< b<+∞)
I2 , I3 , I4 ,…=φ
となるケース。この可算無限個の「R上矩形の列」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}も、条件1,2を満たすので、
Eを覆う「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のひとつである。
※Eを覆う「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}の例3
下図は、
I1=(a1, b1]×(a'1, b'1] (−∞< a1< b1<+∞,−∞< a'1< b'1<+∞)
I2=(a2, b2]×(a'2, b'2] (−∞< a2< b2<+∞,−∞< a'2< b'2<+∞)
:
I26=(a26, b26]×(a'26, b'26] (−∞< a26< b26<+∞,−∞< a'26< b'26<+∞)
I1∪I2∪…∪I26⊃E
I7, I8, I9,…=φ
となるケース。この可算無限個の「R上矩形の列」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}も、条件1,2を満たすので、
Eを覆う「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のひとつである。

※Eを覆う「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}の例
下図は、
I1=(a1, b1]×(a'1, b'1] (−∞< a1< b1<+∞,−∞< a'1< b'1<+∞)
I2=(a2, b2]×(a'2, b'2] (−∞< a2< b2<+∞,−∞< a'2< b'2<+∞)
:
I1∪I2∪…⊃E
となるケースのイメージ図。もちろん、うまく書けるはずはないのだけど。

※この最後の例から、各矩形I1 , I 2 , I 3 ,…が極めて小さくなった例をイメージせよ(これは描けない)。
an-bn, a'n-b'nが、今あなたの見ているディスプレイのドット幅よりも小さなI n、
無数のこのようなInが、Eの上に隙間なく、重複もほとんどなく、びっしり敷き詰められている、
そんなイメージ。
[μ( )の性質6の証明] [伊藤『ルベーグ積分』I-§4有限加法的測度:定理4.2証明内(p. 20);]
※
以下の証明のポイント:
一見すると、「μ( )の性質6」は、あたりまえっぽい。
なぜなら、
μ()は、性質3より、単調性・劣加法性をみたすから、
ならば、μ( )の単調性より
μ()の劣加法性より、
よって、
ならば、
しかし、これは、いえない。
なぜなら、μ( )が有限加法的測度だからという根拠から、μ()が満たすといえる劣加法性は、
有限劣加法性
に過ぎないから。
だから、これが有限の集合列の和のみならず、無限列の和についても成立することを示すには、
無限列の和を、ボレル・ルベーグの被覆定理→コンパクト性を利用して、有限列の話に持ち込み、
そこで、有限劣加法性を適用し、示す、
という回り道をしなければならなくなる。
Step
0:
任意の正の実数をεとする。
Step1: Inの端をちょっぴり拡げた左半開区間Jnの定義。Inの端をちょっぴり拡げた開区間Gnの定義。
以下の手続きに従って、「矩形の可算被覆」{In}の各In(n=1,2,3,…)からJn(n=1,2,3,…),Gn(n=1,2,3,…)を定めてゆく。
これによって、R2上の矩形列{ Jn },R2上の開区間列{ Gn }が定義される。
このように{ Jn }を定義すると、
すべての自然数nを通して、μ( Jn )≦μ( In ) +ε/2n が成立する。…(1-1)→ step8で利用。
このように{ Gn }を定義すると、
すべての自然数nを通して、Gn は開区間となり、
In⊂Gn …(1-2)
Gn⊂Jn …(1-3)
が成立する。
Step1-0:{In}の各項の型の分類
・「矩形の可算被覆」{ I1 , I 2 , I 3 ,…}の各項には、さまざまな形の矩形が混じっている。
そこでまず、矩形の型で、{ I1 , I 2 , I 3 ,…}の各項を5分類する。
(type1) (an, bn]×(a'n, b'n]の型をしたIn
(type2) (an, bn]×(−∞, b'n]、(−∞, bn]×(a'n, b'n]、(−∞, bn]×(−∞, b'n]の型をしたIn
(type3) (an, bn]×(a'n , ∞)、(an, bn]×(−∞, ∞)、 (−∞, bn]×(a'n , ∞)、 (−∞, bn]×(−∞, ∞)の型をしたIn
(type4) (an , ∞)×(a'n, b'n]、(an , ∞)×(−∞, b'n]、(−∞, ∞)×(a'n, b'n]、(−∞, ∞)×(−∞, b'n]の型をしたIn
(type5) (an , ∞)×(a' n, ∞)、(an , ∞)×(−∞, ∞)、(−∞, ∞)×(a'n , ∞)、(−∞, ∞)×(−∞, ∞)の型をしたIn
Step1-1: Inが(type1) である場合、
Inの上端・右端をちょっぴり広げた左半開区間をJnと定め、
Inの上端・右端をちょっぴり広げた開区間をGnと定める
{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のうち、Inが(type1):(an, bn]×(a'n, b'n]のかたちをしている n, Inのみをとりだして考える。
まず、ここでとりだした各Inの上端・右端をδ'n(ただし正の実数)だけ広げた左半開区間をI'nとおく。
つまり、
(an, bn]×(a'n, b'n]のかたちをしているInについて、I'n=(an, bn+δ'n ]×(a'n, b'n+δ'n]
とおく。
このままだと、正の実数δ'nのとりかた次第で、I'nの面積は、Inから、いくらでも大きくすることができるが、
正の実数δ'nのとりかた次第で、I'nの面積が、Inの面積からε/2nを超えては大きくならないようにすることもできる。
(ただし、ここでのεは、step0で決めたε、nは{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のなかでInが何番目かを示すn)
このようなδ'nをδnとおく。
つまり、
μ(I'n)≦μ(In)+ε/2n
すなわち、 μ((an, bn+δ'n ]×(a'n, b'n+δ'n])≦μ((an, bn]×(a'n, b'n])+ε/2n
すなわち、 (bn+δ'n−an)(b'n+δ'n−a'n)≦(bn−an)(b'n−a'n)+ε/2n ∵μの定義、Ψの定義
すなわち、 δ'n(bn−an)+δ'n(b'n−a'n)+δ'nδ'n≦ε/2n
を満たすδ'nをδnとおく。

そのうえで、
各Inの上端・右端をδnだけ広げた左半開区間をJn、各Inの上端・右端をδnだけ広げた開区間をGnと定義する。
つまり、
Jn=(an, bn+δn ]×(a'n, b'n+δn] 、Gn=(an, bn+δn )×(a'n, b'n+δn )
と定める。
以上のように、δn, Jn=(an, bn+δn ]×(a'n, b'n+δn],Gn=(an, bn+δn )×(a'n, b'n+δn )を定義すれば、
Inが(type1):(an, bn]×(a'n, b'n]のかたちである限りで任意の nに関して、
μ( Jn )≦μ( In ) +ε/2n …(1-1)
In⊂Gn …(1-2)
Gn⊂Jn …(1-3)
が成立する。
Step1-2:Inが(type2) である場合、
Inの上端・右端を広げた左半開区間をJnと定め、
Inの上端・右端をちょっぴり広げた開区間をGnと定める
{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のうち、Inが(type2)のかたちをしている n, Inのみをとりだして考える。
ここでとりだした各Inの上端・右端をδn(ただし正の実数)だけ広げた左半開区間をJnとおき、
ここでとりだした各Inの上端・右端をδn(ただし正の実数)だけ広げた開区間をGnとおく。 。
つまり、
・(an, bn]×(−∞, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(an, bn+δn ]×(−∞, b'n+δn] 、Gn=(an, bn+δn )×(−∞, b'n+δn ) と定める。
・(−∞, bn]×(a'n, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, bn+δn ]×(a'n, b'n+δn] 、Gn=(−∞, bn+δn )×(a'n, b'n+δn ) と定める。
・(−∞, bn]×(−∞, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, bn+δn ]×(−∞, b'n+δn] 、Gn=(−∞, bn+δn )×(−∞, b'n+δn ) と定める。
これらの、(an, bn]×(−∞, b'n]、(−∞, bn]×(a'n, b'n]、(−∞, bn]×(−∞, b'n]のかたちをしたInについては、
正の実数δnをどう決めようが、
μ(Jn)≦μ(In)+ε/2n …(1-1)
が成立する。
なぜなら、
Inがこれら非有界の矩形であるならば、μ(In)=+∞、μ(Jn)=+∞ ∵μの定義、Ψの定義
だから、
μ( Jn )=+∞
μ( In)+ε/2n=+∞+(実数)
広義の実数R*で定義された演算規則(∀a∈R) ( (+∞)+a =+∞) より、
μ( Jn )=μ( In)+ε/2n。
また、
In⊂Gn …(1-2)
Gn⊂Jn …(1-3)
が成立していることは、一目瞭然である。
Step1-3: Inが(type3) である場合、
Inの右端をちょっぴり広げた矩形をJn、Inの右端をちょっぴり広げた開区間をGn定める
{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のうち、Inが(type3)のかたちをしている n, Inのみをとりだして考える。
ここでとりだした各Inの右端をδn(ただし正の実数)だけ広げた、Inと同じかたちの矩形を、Jnとおき、
ここでとりだした各Inの右端をδn(ただし正の実数)だけ広げた開区間をGnとおく。 。
つまり、
・(an, bn]×(a'n , ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(an, bn+δn]×(a'n , ∞) 、Gn=(an, bn+δn )×(a'n , ∞ ) と定める。
・(an, bn]×(−∞, ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(an, bn+δn ]×(−∞, ∞) 、Gn=(an, bn+δn )×(−∞ , ∞ ) と定める。
・(−∞, bn]×(a'n , ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, bn+δn ]×(a'n , ∞) 、Gn=(−∞, bn+δn )×(a'n, ∞ ) と定める。
・(−∞, bn]×(−∞, ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, bn+δn ]×(−∞, ∞) 、Gn=(−∞, bn+δn )×(−∞, ∞ ) と定める。
とおく。
これらの、(an, bn]×(a'n , ∞)、(an, bn]×(−∞, ∞)、 (−∞, bn]×(a'n , ∞)、 (−∞, bn]×(−∞, ∞)の形のInについては、
正の実数δnをどう決めようが、
μ(Jn)≦μ(In)+ε/2n …(1)
が成立する。
なぜなら、
Inがこれら非有界の矩形であるならば、μ(In)=+∞、μ(Jn)=+∞ ∵μの定義、Ψの定義
だから、
μ( Jn )=+∞
μ( In)+ε/2n=+∞+(実数)
広義の実数R*で定義された演算規則(∀a∈R) ( (+∞)+a =+∞) より、
μ( Jn )=μ( In)+ε/2n。
また、
In⊂Gn …(1-2)
Gn⊂Jn …(1-3)
が成立していることは、一目瞭然である。
Step1-4: Inが(type4) である場合、
Inの上端をちょっぴり広げた矩形をJn、Inの上端をちょっぴり広げた開区間をGnと定める
{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のうち、Inが(type4)のかたちをしている n, Inのみをとりだして考える。
ここでとりだした各Inの上端をδn(ただし正の実数)だけ広げた、Inと同じかたちの矩形を、Jnとおき、
ここでとりだした各Inの上端をδn(ただし正の実数)だけ広げた開区間をGnとおく。
つまり、
・(an , ∞)×(a'n, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(an , ∞)×(a'n, b'n] 、Gn=(an,∞ )×(a'n, b'n) と定める。
・(an , ∞)×(−∞, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(an , ∞)×(−∞, b'n] 、Gn=(an,∞ )×(−∞, b'n) と定める。
・(−∞, ∞)×(a'n, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, ∞)×(a'n, b'n] 、Gn=(−∞,∞ )×(a'n, b'n) と定める。
・(−∞, ∞)×(−∞, b'n]のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, ∞)×(−∞, b'n] 、Gn=(−∞,∞ )×(−∞, b'n) と定める。
これらの、(an , ∞)×(a'n, b'n]、(an , ∞)×(−∞, b'n]、(−∞, ∞)×(a'n, b'n]、(−∞, ∞)×(−∞, b'n]の形のInについては、
正の実数δnをどう決めようが、
μ(Jn)≦μ(In)+ε/2n …(1)
が成立する。
なぜなら、
Inがこれら非有界の矩形であるならば、μ(In)=+∞、μ(Jn)=+∞ ∵μの定義、Ψの定義
だから、
μ( Jn )=+∞
μ( In)+ε/2n=+∞+(実数)
広義の実数R*で定義された演算規則(∀a∈R) ( (+∞)+a =+∞) より、
μ( Jn )=μ( In)+ε/2n。
また、
In⊂Gn …(1-2)
Gn⊂Jn …(1-3)
が成立していることは、一目瞭然である。
Step1-5:Inが(type5) である場合、InをそのままJn,Gnと定める
{ I1 , I 2 , I 3 ,…}のうち、Inが(type5)のかたちをしている n, Inのみをとりだして考える。
ここでとりだした各InをそのままJn,Gnとおく。
つまり、
・(an , ∞)×(a' n, ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(an , ∞)×(a' n, ∞) , Gn=(an , ∞)×(a' n, ∞)
・(an , ∞)×(−∞, ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(an , ∞)×(−∞, ∞) , Gn=(an , ∞)×(−∞, ∞)
・(−∞, ∞)×(a'n , ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, ∞)×(a'n , ∞) , Gn=(−∞, ∞)×(a'n , ∞)
・(−∞, ∞)×(−∞, ∞)のかたちをしているInについては、
Jn=(−∞, ∞)×(−∞, ∞) , Gn=(−∞, ∞)×(−∞, ∞)
とおく。
これらの、(an , ∞)×(a' n, ∞)、(an , ∞)×(−∞, ∞)、(−∞, ∞)×(a'n , ∞)、(−∞, ∞)×(−∞, ∞)の形のInについては、
正の実数δnをどう決めようが、
μ(Jn)≦μ(In)+ε/2n …(1)
が成立する。
なぜなら、
Inがこれら非有界の矩形であるならば、μ(In)=+∞、μ(Jn)=+∞ ∵μの定義、Ψの定義
だから、
μ( Jn )=+∞
μ( In)+ε/2n=+∞+(実数)
広義の実数R*で定義された演算規則(∀a∈R) ( (+∞)+a =+∞) より、
μ( Jn )=μ( In)+ε/2n。
また、In=Jn=Gnだから、
In⊂Gn …(1-2)
Gn⊂Jn …(1-3)
も成立する。
・Inがtype 5: 空集合φ →?
Step2: Eの内側から、Eに限りなく近い区間塊をFと定義
「μ( )の性質5」より、
任意の実数α<μ(E) にたいして、ある有界区間塊Fが存在し、
以下の条件を満たす。
条件1:Fの閉包がEに含まれること。[F]⊂E
条件2:μ(F)>α
すなわち、
( ∀α<μ(E) ) ( ∃F∈E ) ( [F]⊂E かつ α<μ(F) )
Step3: GnとFの関係(1)
R2上の開区間列{Gn}は、Fの閉包[F]の開被覆となる。
なぜなら、
・step1(Jn,Gn定義)の(1-2)より、∀nについて、In⊂Gnだから、

・仮定:{In}の定義の条件2:
・step2(Fの定義)より Fの閉包[F]⊂E
の3点より、
Fの閉包[F]⊂E⊂(I1∪I2∪I3∪…) ⊂ (G1∪G2∪G3∪…)
つまり、R2上の開区間列{Gn}は、Fの閉包[F]の開被覆となる。
Step4: GnとFの関係(2)
・Fの閉包[F]は有界閉集合だから、
ボレル・ルベーグの被覆定理より、[F]はR2上のコンパクト集合だといえる。…(4-1)
・Step3より、R2上の開区間列{Gn}は、Fの閉包[F]の開被覆。
(4-1)より、[F]の開被覆{Gn}は、有限部分被覆をもつ。
すなわち、
R2上の開区間列{Gn}から取り出した有限k個の開区間列{Gn(1) , G n(2) , …, G n(k ) }で、
[F]⊂(Gn(1) ∪G n(2) ∪…∪G n(k ))
を満たすものが存在する。
Step5: JnとFの関係
{Gn(1) , G n(2) , …, G n(k ) }と同じ添数のものだけ{ Jn }から選び出した{ Jn }の有限部分列は、
Fを被覆する。
・step2より、というか、閉包の定義より、F⊂[F]、
・step4より、[F]⊂(Gn(1) ∪G n(2) ∪…∪G n(k ))
・(1-3)より、{ Gn },{ Jn }は、任意のnに対して、Gn⊂Jnとなるので、
step4で{Gn}から取り出した{Gn(1) , G n(2) , …, G n(k ) }についても、
任意のn(・)に対して、Gn(・) ⊂ Jn(・)となる、
ゆえに、(Gn(1) ∪G n(2) ∪…∪G n(k )) ⊂ (Jn(1) ∪J n(2) ∪…∪J n(k ))
の3点から、
F⊂[F]⊂ (Gn(1) ∪G n(2) ∪…∪G n(k )) ⊂ (Jn(1) ∪J n(2) ∪…∪J n(k ))
つまり、F⊂ (Jn(1) ∪J n(2) ∪…∪J n(k ))
Step6
・μ()は有限加法的測度であるから(∵μの性質3)、有限加法的測度の単調性を満たす。
Step5の結果とμ()の単調性より、
μ(F)≦μ( Jn(1) ∪J n(2) ∪…∪J n(k ))
Step7:
・μ()は有限加法的測度であるから(∵μの性質3)、有限加法的測度の有限劣加法性を満たす。
したがって、μ( Jn(1) ∪J n(2) ∪…∪J n(k ))≦μ( J n(1) )+μ( J n(2) )+…+μ( J n(k ) )
これと、Step6の結果より、
μ(F)≦μ( J n(1) )+μ( J n(2) )+…+μ( J n(k ) )
Step8:
step1の(1-1)でみたように、
{ Jn }は、すべての自然数nを通して、 μ(Jn)≦μ(In)+ε/2n が成立するように定義されていた。
したがって、{Jn}の部分列である{Jn(1) , J n(2) , …, J n(k ) }も、
任意のn(・)にたいして、 μ(J n(・) )≦μ(I n(・))+ε/2 n(・) を満たす。
ゆえに、
μ( J n(1) )+μ( J n(2) )+…+μ( J n(k ) ) ≦μ( I n(1) )+ε/2 n(1)+μ( I n(2) )+ε/2 n(2)+…+μ( I n(k) )+ε/2 n(k)
=μ( I n(1) )+μ( I n(2) )+…+μ( I n(k ) )+ε/2 n(1)+ε/2 n(2) +…+ε/2 n(k)
Step9:
μ( I n(1) )+μ( I n(2) )+…+μ( I n(k ) )+ε/2 n(1)+ε/2 n(2) +…+ε/2 n(k)≦μ( I 1 )+μ( I 2 )+…+ε
つまり、

なぜなら、
・μ( I n(1) )+μ( I n(2) )+…+μ( I n(k ) )は、無限和μ( I 1 )+μ( I 2 )+…から有限個の項を抜き出した有限和で、全項非負だから、
μ( I n(1) )+μ( I n(2) )+…+μ( I n(k ) ) ≦μ( I 1 )+μ( I 2 )+… …(9-1)
・{ε/2, ε/22, ε/23, …,ε/2n,…}は、初項ε/2、項比1/2の等比級数。
等比級数の和の公式より、
ε/2+ε/22+ε/23+…+ε/2n+…=ε …(9-2)
・{ε/2 n(1), ε/2 n(2), …,ε/ n(k)}は、{ε/2, ε/22, ε/23, …,ε/2n,…}の有限部分列であり、
すべての項は正だから、
ε/2 n(1)+ε/2 n(2) +…+ε/2 n(k)≦ε/2+ε/22+ε/23+…+ε/2n+… …(9-3)
・(9-2)(9-3)より、ε/2 n(1)+ε/2 n(2) +…+ε/2 n(k)≦ε …(9-4)
・(9-1) (9-4)より、

Step10:
step2でのFの定義より、α<μ(F)
これと、step6- step9の検討の結果をすべてあわせると、
α<μ(F) ≦μ( J n(1) )+μ( J n(2) )+…+μ( J n(k ) )
≦μ( I n(1) )+μ( I n(2) )+…+μ( I n(k ) )+{ε/2 n(1)+ε/2 n(2) +…+ε/2 n(k)}
≦{μ( I 1 )+μ( I 2 )+μ(I3)+…}+ε
要するに、α<{μ( I 1 )+μ( I 2 )+μ(I3)+…}+ε
εは任意の正数で、αは、α<μ(E) を満たす限りで、μ(E) にどれだけでも近くとれるので、
μ(E)≦μ(I1)+μ(I2)+μ(I3)+…
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