チョウジタデと水田雑草

チョウジタデはタデの名が付いているが、タデの仲間ではなく、アカバナ科の花である。
全体がタデに似て、花後の実がスパイスに使われるグローブ(チョウジ)の実に似ているのでチョウジタデ(丁子蓼)の名がある。 花は四花弁が基本であるが、五花弁の花も多く見られ、茎が赤味を帯び、秋には紅葉する。
水田雑草の一つで、田の畦や水湿地に群落を成し、ゴボウのような根を持つことからタゴボウとも呼ばれる。
稲作の伝来と共にもたらされた史前帰化植物と考えられ、日本全土に自生する。

花と実

近年の農業は除草剤を蒔く為、水田に咲く花も少なくなったが、それでも四季折々水田の中には種々の花が見られ、既に野の花として取り上げているミゾカクシ、タカサブロウ、コナギ、オモダカ、アゼナ以外にもホソバヒメミソハギ、イボクサ、クサネム、ホタルイ、アメリカセンダングサ、タマガヤツリ、等様々である。( 「ミゾカクシは溝をも隠す」 「タカサブロウの気になる名前」 「コナギと無農薬農業」 「ス−パ−雑草オモダカ」  「ウリクサとアゼナとトキワハゼ」 の項参照)

ホソバヒメミソハギ      イボクサ         クサネム    

   ホタルイ     アメリカセンダングサ     タマガヤツリ    

ホソバヒメミソハギ(細葉姫ミソハギ)は熱帯アメリカ原産のミソハギ科の帰化植物で、在来種のヒメミソハギに比べ葉が細いのでその名がある。 在来種のヒメミソハギはミソハギに似て小さいのでヒメミソハギとよばれたが、こちらはなかなか見られなくなったのに対し、外来種のホソバヒメミソハギはあちこちで繁茂している。(ミソハギの名の由来は 「ミソハギとお盆」 の項参照)
イボクサは葉や茎の汁をイボに付けると取れるとされた事から来た命名でツユクサ科の花である。( 「ツユクサとその仲間」 の項参照)

クサネムはネムの葉のように夜間に葉を閉じる事からその名があるマメ科の花で、ところどころで稲の高さを越えて茂っているのが見られる。
ホタルイは 「蛍の住むような所に生えるイグサ」 の名前を持ったカヤツリグサ科の植物で、カンガレイ等と共に水辺に生え、ホタルイとイヌホタルイがあるが、学者でもなければ区別は困難である。 水田にはびこっているのは大抵イヌホタルイとの事であり、写真もイヌホタルイと思われる。(「カンガレイとイグサ」 の項参照)

アメリカセンダングサは名の通り帰化種でコセンダングサの仲間である。 葉が栴檀の葉に似ているのでその名が有るが水辺を好んで生える。( 「センダングサいろいろ」 の項参照)
タマガヤツリは水田に多いカヤツリグサで、花穂の形を玉に見立てて名付けられた名前である。( 「カヤツリグサと水花火」 の項参照)
水田にはいろいろな水田雑草が咲き、農家にとってはやっかいな害草であるが、水田に花が咲かないと言う事は農薬まみれになっている事でもある。 雑草との共生が必要な時代となってきているようである。

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