カヤツリグサいろいろ

ヒメガヤツリ

 「野に伏せば 蚊帳吊り草も 頼むべし」・・・・一茶

カヤツリグサ(蚊帳吊り草)はその三角形の茎を両端から90度違えて裂くと四辺形が出来、これを蚊帳(かや)を吊ったのに見立てて名付けられた植物である。
もっとも、最近の子供達は蚊帳など知らないから、名前の由来を聞いても分からない時代になりつつあり、一茶の時代も遠くなった。
カヤツリグサに代表されるカヤツリグサ科はスゲ属、カヤツリグサ属、ホタルイ属等を含めて大変大きな科であり、カヤツリグサ属の中にもカヤツリグサ、ヒンジガヤツリ、クグガヤツリ、アゼガヤツリ、ヒメクグ、コゴメカヤツリ、タマガヤツリ、ヒメガヤツリ等々種々のカヤツリグサがある。 
いずれも目立った花は付けず、野の花として注目される事もないが、中には表題の写真のヒメガヤツリの様に線香花火の様な姿が水花火(ミズハナビ)と呼ばれ、水辺に映す姿はなかなか風情がある。
ヒメガヤツリ以外にも散歩道で注意して見ると種々のカヤツリグサが見つけられ、代表的な例をあげると下の写真の様にカヤツリグサ、ヒンジガヤツリ、クグガヤツリ、アゼガヤツリ、ヒメクグ、タマガヤツリ等があり、いずれも小さな花穂を付けるが、美しいとは言い難い。
 

 カヤツリグサ         ヒンジガヤツリ      クグガヤツリ

アゼガヤツリ         ヒメクグ          タマガヤツリ

ただ、背景によっては表題の写真や下の写真のヒメガヤツリのように、水辺で思わぬ表情を見せる事がある。
カヤツリグサに比べて小さいのでヒメガヤツリ(姫蚊帳吊り)の名が有るが、ミズハナビ(水花火)の方が言い得て妙である。
ちなみに、ヒンジガヤツリは花穂の形を品の字に、クグガヤツリは花穂の形をクグ(沙草)に、タマガヤツリは花穂の形を玉に見立て、アゼガヤツリは畦に多いカヤツリグサ、クグはカヤツリグサの古語で、ヒメクグは小さなカヤツリグサの意味である。

ヒメガヤツリ(水花火)

通常は雑草として省みられないが、カヤツリグサの仲間にも背景によってはヒメガヤツリやカンガレイのように開花期に少しだけその存在感を示す花がある。(「カンガレイとイグサ」 の項参照)

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