ミゾカクシ

ミゾカクシは田の畦や溝などの湿った場所に生える多年草で、茎が地面を這い節から根をおろして増え、溝を隠してしまうほど繁殖力の強い植物としてミゾカクシ(溝隠)の名が有る。 
別名アゼムシロとも呼ばれ、やはり田の畦に蓆(むしろ)を敷きつめたように広がるのでアゼムシロ(畦蓆)の名が付いたようにミゾカクシにしろアゼムシロにしろ、その繁殖力の強さから来た命名で、かっては田の畦や水路の脇に繁茂していた水田雑草の代表種であったと推測される。( 「チョウジタデと水田雑草」 の項参照)
ただ、現代では農薬その他により田の畦などで見かける事も少なくはなったが、それでもしぶとく生き残り、時々、放棄水田の中に群生が見られたりする。


花の形が特異で、この仲間にはサワギキョウや、近年、花壇の花として人気の出ているロベリア(ベニバナサワギキョウ)等が有る。 いずれもキキョウ科ミゾカクシ属の花で、花の形は同じであるが、サワギキョウやベニバナサワギキョウはずっと大柄である。( 「サワギキョウの容貌」 の項参照)

サワギキョウ

ベニバナサワギキョウ

ミゾカクシの花が下方にだけ広がる形から中国では半辺蓮(半分のハスの花)と呼び、半辺蓮は名の有る漢方薬でもある。 腎炎や肝炎の薬となり、他の生薬と配合して抗がん剤となる。
ミゾカクシは上唇が二裂し、下唇が三裂する変わった形と共にその繁殖力の強さで名を馳せた花である。

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