Food Ingredients First(FIF) 2021年10月20日
ANSES (フランス食品環境労働衛生安全庁)は 新たな安全性評価で TiO2 のようなナノ物質のスクリーニングに 一様なアプローチを求める ベンジャミン・ファー 情報源:Food Ingredients First, 20 Oct 2021 ANSES calls for uniform approach to screening nanomaterials like TiO2 in new safety assessment By Benjamin Ferrer https://www.foodingredientsfirst.com/news/anses-calls-for-uniformed-approach- to-screening-nanomaterials-like-tio2-in-new-safety-assessment.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2021年11月7日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ANSES/211020_FIF_ ANSES_calls_for_uniform_approach_to_screening_nanomaterials_like_TiO2.htmll 2021年10月20日---フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)によると、食品および栄養補助食品成分全体にわたる工学的ナノ材料の健康リスクを評価するための単一のアプローチでは不十分である。 当局は現在、食品添加物および栄養機能を備えた成分として使用される工学的ナノ材料のリスク評価の実施に関する科学的ガイドを公開している。 この動きは、食品添加物の二酸化チタン(E171 とも呼ばれる)に関する欧州食品安全機関(EFSA)の最新の安全性評価に続くもので、それは発がん性の可能性のある白色着色剤は安全でないと見なしている(訳注1)。 ”ナノ物質は、その複雑さ、特性、および挙動のために、「ナノ固有の」リスク評価アプローチを必要とする”と、ANSES の科学コーディネーターであるブルーノ・テステは説明する。 ”たとえば、ナノ物質は他の物質と容易に相互作用し、体内での安定性と運命を変える可能性がありる。”
ANSES の新しい方法論は、最初にさまざまな工学的ナノ材料でテストされる。 この方法論は、規制の定義、粒子サイズの測定、溶解特性、および危険性(ハザード)の特定に関連する具体的な適合を提案する。 工学的ナノ物質は現在、さまざまな目的で使用されている。たとえば、食品添加物として使用され、構造、色、または質感を変更することで、製品の外観とおいしさを向上させる。 食品接触材料の配合における技術的添加物として、それらはこれらの材料の特性を変更し、病原体の存在を示し、または食品の官能的品質と貯蔵寿命を改善する。 ナノ物質は、栄養機能のある成分にも使用されている。一例は、適切なカルシウム含有量を達成するために乳児用調製粉乳で使用される炭酸カルシウムである。 ANSESは、評価の最初の段階で、食品添加物または原材料として使用されている疑いのある 30の物質をすでに特定している。 したがって、電子顕微鏡アプローチを使用して、これらの物質の物理化学的特性評価をできるだけ早く実施する必要があることを繰り返し述べている。これは、サイズと粒子サイズ分布の測定が、これらナノ物質のリスクを評価する前の重要な準備段階であるためである。 二酸化チタンの評価 この段階では、二酸化チタンは、暴露と危険性(ハザード)のデータが最もよく文書化されているナノ物質であるように思われる。これにより、食品に使用されるナノ物質の完全なリスク評価を実施できるようになる。 フランスでのこの添加剤の使用は、2017年と2019年に ANSESによって発表された意見に従い、2020年1月から停止されている。 2021年5月の意見では、EFSAは、食品添加物として使用した場合、E171 はもはや安全であるとは見なされないことを示した(訳注1)。欧州レベルでの意思決定プロセスはちょうど新しい段階に達しており、2022年からこの化学物質が EU で禁止されることにつながるはずである。 ANSES がその方法論を発表する前に、EFSA は 2018年に、食品添加物、農薬、食品接触材料などの用途におけるナノ科学とナノ技術に関する書類一式を評価するためのガイドを公開した(訳注2)。
栄養補助食品の分野では、二酸化チタンは主にその成分マスキング機能に使用される 。日焼け止めや化粧品によく使用される白色顔料が精査されているため、クリーンラベル代替品(TiO2 を使用しない代替品)に対する需要が高まっている。 ANSES はまた、安全性が実証されるまで、労働者、消費者、および環境のナノ物質への暴露を制限することを業界に求めている。この目的のために、これらの物質を含まず、機能、有効性、およびコストの点で同等である安全な製品の使用を促進することを推奨している。 2月、カラコン社(Colorcon)は、栄養補助食品市場向けの「ラベルフレンドリー」および「TiO2フリー」コーティングを含むようにニュートラフィニッシュフィルムコーティングポートフォリオを拡大した(訳注3)。 ロンザ社(Lonza)の Vcaps Plus White Opal Capsule は、2019年にリリースされ、炭酸カルシウムを使用して TiO2 を回避している。 食品成分の発売では、ドーラ社(Dohler)の White Diamond が二酸化チタンの費用効果の高い天然代替品として販売されている。菓子、飴玉、アイシング、アルコール飲料に適用できるこの顔料は、容易に代謝され、ナノ粒子を含まず、追加の栄養上の利点がある。 一方、センシエント社(Sensient)は、アバランチ(Avalanche)という名前の二酸化チタンの代替品の包括的ラインアップを提供している。このオプションの品揃えは、二酸化チタンの能力に最適に一致するように設計されており、解決策は、顧客のニーズに応じて特別注文された特定用途向けである。 訳注1 EFSA ニュース 2021年5月6日 二酸化チタン(E171)は最早、食品添加物として安全であるとみなせない 訳注2 2018年7月4日 EFSA 科学委員会 食品・飼料連鎖中でのナノ科学及びナノ技術適用のリスク評価ガイダンス パート 1、人と動物の健康 (訳注:この2018年バージョンは、2021年バージョンに置き替えられた、当研究会の日本語訳紹介を参照ください。) 訳注3 ラベルフレンドリー(理解しやすい成分表示)について(Colorcon) 訳注:当研究会が紹介した二酸化チタンナノ粒子有害影響関連情報
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