Le News 2021年5月12日
スイスは食品添加物 E171のヨーロッパの禁止に従う
情報源:Le News 12/05/2021
Switzerland follows European ban on the food additive E171
https://lenews.ch/2021/05/12/switzerland-follows-european-ban-on-food-additive-e171/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2021年5月17日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/210512_Le_News_
Switzerland_follows_European_ban_on_the_food_additive_E171.html


食品、化粧品、塗料に添加される物質である二酸化チタンは、スイスで食品への使用が禁止される予定である。

(c) Dreamstime.com
 スイスのさまざまなメディアによると、スイスの連邦食品安全獣医局(FSVO)は、スイスの食品での二酸化チタン(E171)の使用を禁止する計画であると述べている。

 E171としても知られる明るい白色の物質は、食品の着色に使用される。また、練り歯磨き歯磨き、錠剤、日焼け止め、その他の化粧品にも使用されており、紛らわしいことに Ci77891として知られている。

 国連国際がん研究機関(IARC)は、長年にわたってこの物質を調査している。 2010年には、二酸化チタン(E171)がヒトに対する発がん性が疑われる(グループ2B)ことを説明する研究論文を発表したが、利用できる研究は比較的少ないと指摘した。

 先週、欧州食品安全機関(EFSA)は、二酸化チタン(E171)が食品に安全に使用できるとは考えていないと発表した。 EFSAの結論の重要な要素は遺伝子毒性であった。これは、細胞の DNAを損傷する物質の能力を指す。二酸化チタンにはナノ粒子が含まれており、これらは細胞に入り、蓄積し、細胞の DNAを混乱させる可能性がある。単一の遺伝子毒性細胞でさえ健康への長期的な損傷を引き起こす可能性があるため、どの様に微量であっても真に安全であると見なすことはできないと EFSA の広報担当者は述べた。

 食品中のこの物質を禁止するというスイスの決定は、先週ヨーロッパ当局によってなされた同様の発表に続くものである。

 二酸化チタンを含む可能性が最も高い食品には、スイーツ(砂糖菓子)、チョコレート、チューインガム、ビスケット、ケーキ、スープ、味付けしただし汁、ソース、サンドイッチスプレッドなどがある。ラベルでは通常、E171と表示される。あるウェブサイトには、チョコレート、スイーツ、チューインガム、ビスケット、ケーキ、飲み物、ソースなどの 10,000を超える E171を含むブランド食品が掲載されている。同じサイトには、スイスで販売されている 149の問題のある製品がリストされている。

 RTS(スイス放送協会)によると、スイスの 2つの最大のスーパーマーケットであるミグロス(Migros)とコープ(Coop)は、製品からこの物質を除去することに取り組んでいる。ミグロスは、しばらくの間レシピを改訂していたと言った。コープは、自社の製品(ジェネリック製品)から二酸化チタン(E171)を除去したと語った。ただし、これらのスーパーマーケットで販売されている製品はすべて E171を含まないことを意味するわけではない。彼らは他社の製品を置いている。

 2019年、シドニー大学の研究者らは、二酸化チタン(E171)と、炎症性腸疾患や結腸直腸がんなどの疾患との関連性を発見した。それはナノ粒子の毒性と関連するようである。二酸化チタンのナノ粒子は、腸内細菌を構成する細胞に入り、それを損傷しているように見える。

 ”ナノ粒子への継続的な暴露が腸内細菌叢(フローラ)の組成に影響を与えるという証拠が増えている。腸内細菌叢は私たちの健康の門番であるため、その機能の変化は全体的な健康に影響を及ぼす”とシドニー大学のナノ毒性学専門家ヴォイチェフ・シュルザノスキー(Chrzanowski)は述べた。

 シドニー大学の研究の著者らによると、二酸化チタン(E171)の消費量は、過去10年間で大幅に増加しており、いくつかの病状に関連している。認知症、自己免疫疾患、がん転移、湿疹、ぜん息、及び自閉症の増加率は、二酸化チタン(E171)に含まれるナノ粒子などへの暴露の急激な増加に関連する。

 2007年、ヨーロッパは肉を着色するために使用される別の食品添加物である Red 2G(E188)を禁止した。これは、 Red 2G が腸により、血中ヘモグロビンに影響を及ぼし、がんを引き起こす可能性のある化学物質アニリンに変換され得ることが発見された後のことである。

 何十年もの間、農民や食品メーカーは、農薬や抗生物質の形で、または食品添加物の形で食品に物質を追加してきた。研究はますます、一見無害な物質と病気との関連を発見している。そのような発見はきっと続くであろう。その間、添加物や抗生物質や残留農薬を含む食品を避けることがおそらく良い策であろう。


訳注:研究機関・消費者団体などによる二酸化チタンナノ粒子有害影響関連情報
訳注:当研究会が紹介した二酸化チタンナノ粒子有害影響関連情報


化学物質問題市民研究会
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