ヨーロッパチュウヒ aeruginosus,チュウヒ spilonotus,マダラチュウヒ melanoleucos の識別方法

 ヨーロッパチュウヒおよびチュウヒは5サイクル,マダラチュウヒは4サイクルで風切羽が成鳥羽になります. 別な言い方をすると,幼鳥から成鳥までにヨーロッパチュウヒ,チュウヒは4回,マダラチュウヒは3回風切羽の模様が変化します.
  普通幼鳥は♂♀区別がつきませんので,ヨーロッパチュウヒ♂♀,チュウヒ♂♀合わせて最大18の違う羽衣(風切羽)を持った個体がいることになります. さらにマダラチュウヒ♂♀の7を加えると25の違う羽衣を持った個体がいます.
  文献,図鑑はほとんどが幼鳥と成鳥♂♀の図,解説しか記載されていず.これだけでは25のうち9しか識別できません. ただ,文献2にヨーロッパチュウヒ♂2cy,文献10にはヨーロッパチュウヒ♂,チュウヒ♂の亜成鳥の図が描かれています.また,文献6,10にはチュウヒ♂♀若鳥,マダラチュウヒ♂♀若鳥 の記述があります.これらを参考に干拓地で撮影した写真を使って識別を試みました. 幼鳥から成鳥まで数回換羽しますので成鳥♂,♀の羽衣に変わっていく過程を判断することになります.
 野鳥の羽毛の数は体の大きさ,季節によって違います.マガモAnas platyhynchosはおよそ1万2千本,コハクチョウ Cygnus columbianus はおよそ2万5千本あるそうです(*3).
  チュウヒ属の種/亜種の羽毛はマガモと同じくらいとすると,1万本以上の羽毛が幼鳥から成鳥まで数年かかって換羽していきます.従って羽衣の模様は日々変化していると考えられます. 手掛かりは風切羽の模様です.12月から3月まで風切羽の模様は変化しませんから風切羽の模様が同じであれば他の羽衣が違っていても同じ年齢の種/亜種と判断できます. 初列と次列風切の二つの上下面,4面の模様の違いで判断できます.写真を整理すると風切羽の模様は一様な色と暗色斑の2種です.4箇所に二つの違いですから16の組み合わせがあります. 手持ちの写真の調査結果は9でした.この結果と上記文献の記述,図を基に分析しました.

*3:Steve N. G. Howell, Molt in North American Birds, 2010, Houghton Mifflin Harcourt, Boston New York
ISBN: 978-0-547-15235-6

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