人間のコミュニケーションのはじめは、目が合い何か言いたそうな雰囲気を感じると聞く状態になります。目を合わさないと会話がなかなか始まりません。
盲学校で相手に伝える場合、名前の呼びかけがないと誰に言っているのかわかりません。「先生それ誰に言っているの?」と尋ねてきます。聾学校では、後ろを向いていると呼びかけだけではわかりにくいため相手の肩をたたいて話があることを伝えます。
小さい子どもや障害のある子どもの場合、特にアイコンタクトやことばが発達していないためコミュニケーションをすることが苦手になります。相手の感情や意図は顔の表情や身振り、動作で表れます。ことばではありませんが、相手のコミュニケーション情報が多く含まれています。これがノンバーバルコミュニケーションです。ことばは情報を伝達することが主な役割ですが、顔の表情や声の調子、体の動作は相手の感情や意図を得るのに大切な情報です。この部分が理解できないと情報が正確に伝わりません。
ことばではしたくないと言っていてもしたそうに感じてしまうのは子どもから出ている感情を雰囲気として読み取れるからです。額面通りに受け取ってしまう大人が増えています。言葉は理解できるが、相手の身になったり、気持ちや感情を理解できない。相手を意識せずに、一方的に自分のことだけ言う人も増えています。自分勝手な会話になってしまっています。
しっかり子どもを意識する、意識されていることを伝えるためには音声言語だけにたよらないで、アイコンタクトをしっかりして、感情豊かに表情を持ち、さらに必要に応じてボディタッチやスキンシップを使って心を伝えていきます。
幼児期は日常の中で知恵を育てる事が大切です。服の着替えも親がしているとどこから頭は入れたらいいのか、ひどい場合はズボンを頭からかぶって困っている子どもがいます。服の形や裏表を意識して自分で手早く着替えが済ませることが知恵を育てます。
生活態度は学習態度と同じです。食事中じっとして食べれない子どもは学習時間も落ち着きなく人の話が聞けません。好き嫌いの多い子どもは、苦手意識が強く新しいことや困難そうなことに挑戦できません。物をなかなか片づけられない子どもは落ち着いて順序立てて考えられるようになりません。生活の中のルールを守り生活そのものを楽しめる子どもは集中力もつき情緒も安定して知恵も育っていきます。基本的生活習慣をしっかりつけましょう。
毎日の生活は同じで単調のように思いますが、この繰り返しがしっかりできるようになると自立心が育ち、精神的に安定してきます。体も毎日手足を同じように動かすから運動機能が発達していろいろなことができるようになります。毎日の繰り返しは心と体に刻み込まれます。毎日するから服の着替えも早くなります。毎日同じ言葉を聞くから言葉もしっかりと覚えていきます。怒る言葉ではなく言葉を意識して使います。省略せずに名詞や動詞等を使います。子どもにわかる範囲で説明することも大切です。急にいなくなると不安になる子どもがいます。言葉でわからない場合は写真や絵を見せて納得させるのも方法です。
感受性を育てるために親も新鮮な気持ちで周りを見るようにしましょう。季節の変化は、なかなか気がつきにくいものですが、しっかり親子で周りを意識していると小さな変化にも気がつくようになります。「わあ、お花きれい」と子どもが感じられるようになるのは、親の感受性に比例します。小さい頃からの親の自然に対する表現の仕方が影響してきます。町の変化もあります。季節に合わせてお店のディスプレイが変わったり、見慣れない乗り物を見たりと必ず毎日町の様子も違っていると思います。小さい時から、また日頃から周りことに興味を持たせるように親が話す必要があります。賢い親は自然と子どもと話しかけて何気ない日常のことにも関心を持たせながら賢く育てているのです。
子どもは周りの大人を見ながら考え方や行動の仕方を学習して成長します。躾や知恵の発達を促します。ほっておいて成長するわけではありません。大人自身が子どもたちに見られて恥ずかしくない態度や行動がとれているでしょうか?。ずいぶんだらしなくなっていませんか?子どもたちの模範となるような行動、態度、言葉使いができるようにしましょう。また子どもたちに意識させるために態度や行動を教えることも大切です。
交通ルールを教えるためには、大人がきちんと赤信号で止まるのを毎回見させ、言葉でも説明することで身に付いていきます。子どもにとって模範とならない大人が増えています。めんどくさがらずに子どもとやりとりをしながら子どもの気持ちや考え方を楽しみましょう。子どもの遊びはすべて大人の真似をすることが多いのです。ままごともお母さんの家事を見て上手に演じます。乗り物ごっこも公共の交通機関を知らない間に見て覚えます。大人が携帯やパソコンを使っているのみると自分も同じようにしたくなります。大人の真似をすることで、家庭や社会の仕組みを理解し、社会性や言語が発達していきます。
脳の中で手の機能を司る部位は広いのです。手先の器用さは運動能力や知的発達に影響を与えます。小さいときに使えば使うほど器用になります。箸やはさみも上手に使えるためには、シャツや上着のボタンをかける等日頃の手先の使い方によります。
・キャッチボールで相手がボールを投げることを感じます。準備ができていない場合、「いくよ」と言葉で言ったり、投げるまねをして相手の行動を喚起させます。小さい子どもや障害のある子どもは苦手です。足を広げて、ボールを転がす遊びは簡単でアイコンタクトや相手の意図をくみ取る練習になります。
・にらっめっこ 相手の顔を注目しておもしろい顔を競います。
・手をたたきましょう(うた) わらう、怒る、なくと感情をお遊戯で簡単に表現します。
・鏡の前で親子でにらめっこ 相手だけでなく自分も意識することができます。相手に見られている 自分を意識することができます。
・牛乳のふたでどっちかな? しっかり見る力は、しっかり聞く力に繋がります。なかなか興味が持 てなかったり、最後まできない子どもは集中力や予測する推察力が弱いです。
・グーチョキパー(うた) 手先の機能を発達します。しっかり見ないと真似ができません。上手に なると予想して考えたり、自分で作るようになります。あーでもないこうでもないと考えることが大切 です。答えが当たりかはずれかは二の次です。考えを巡らすことがこの時期とても大切です。
対人関係や社会性はまずは親子関係から作られています。年齢に応じて、言葉や物事の理解に違いがあります。どうして言ってもわからない、こんな簡単な事ができないのではなく、お子さんのことをしっかり見ることが大切です。