服・・・Tシャツやトレーナーがいいでしょう。
このごろはおしゃれでかわいい服を着てくる子どもが多いですが、大人が見てわかりにくい服は子どもが見てもわかりずらいです。男のパパが手間取る服は子どもにとっては不向きです。小さなボタンや肩や後ろで止めるような服は子供が自分でできないので自立を促す服とはいえません。サスペンダー、オーバーオール、ぴちぴちのタイツは子供がすぐ大人をたより、何も考えずに着せ替え人形になって親がするまで待つようになります。簡単に着ることができるものが子どもたちが自信をつけ、自分でしようと思う心が育ってきます。難しいと子どもの着替えの時間はどんどん長くなって結局遊んでしまい、いらいらしてしまうお母さんが怒りながら全部着せてしまいます。いつまでたってもできるようになりません。ただ着るだけでなく身だしなみにも気をつけるようになれば、自立心と知的な発達が同時に育ちます。細かいところまで気がついて服を直せるということは、服の形を意識し、手先の器用さができてきたことです。認知力、知力、運動機能がバランスよく発達してきた証拠です。毎日毎日の日常の服の着替えだけでも子どもの認知力を高め、自立心を培い、落ち着いて生活を楽しめる子どもに育てていきます。こうした毎日の何気ない営みをしている親子とまったく意識せずにただ急がせてめんどくさがる親御さんの間にはずいぶん子どもに差が出てきます。親がやってしまった方が早いからといって毎日してしまうと、子どもは何も考えないようにようになります。襟がゆがんでいたり、シャツが出ていたりしていても平気な子どもはどこか落ち着きがなく、物事をきちんと理解して考えるようにはなりません。自分の脱いだ服をきちんと片づけ、整理して片づけるようになると、落ち着いた雰囲気になります。人の話を最後まで聞けるようになります。やさしい服は子どもができるものですから、声掛けだけで子供たちもがんばってします。難しくてなかなかうまくできなかった経験があると子どもは拒否的な態度をとり、依存心ばかりが強くなります。
おかあさんと言葉のやりとりをしながらの服の着替えは、着替えだけでなく親子の心の交流にもなります。難しいところは、服の端をひっぱたり手を添えることもはじめのうちは必要です。子供の様子を見ながら徐々に援助の手を少なくしていきます。その加減を時間を惜しまないで、子どもと向き合って、子どもの状態を把握しましょう。
ズボンやスカートはベルトやフック、ひもつき、ボタン等のない、すぐはけるゴムつきのものがいいでしょう。男の子の場合、前があいていない場合おしりを出しておしっこをしてしまいます。前があくボタンやチャック付きのズボンがかっこよくトイレができ、衣服を汚しません。盲学校の3歳児さえ入学して数ヶ月でお尻を出さないですることを身につけていました。これも毎日の繰り返しでできるようになります。
B 本格的な着替えです。子どもたちが簡単に着替えられるのは、Tシャツやトレーナーです。ボタンで留めるものはいきなりでは難しいです。まずはかぶって手を通したら終わりという簡単な服から始めます。短時間にスムーズに着替えが終わるようになると、ボタンやファスナー、フックなどのついた服等にも挑戦します。発達段階にあった服を選べば、子どももあきらめないでするようになります。ここでも初めのうちは着やすいように服の端を持って手が入れやすいように手を添え、まずは着れたという成就感、達成感を味合わせます。がんばっている時、上手に出来た時は、必ずほめることです。そばにいて見守ることで子供は安心して取り組みます。もう出来るからといって見ていないと、子どもはすぐ不安になってしまいます。最後まで付き合ってあげましょう。
A ここから自分で脱ぐ第1歩です。自分で襟や服の端をもって脱ぐ動作の開始です。なかなかつかむ位置がわからないと手を添えて教えます。ロボットに動作を教えることと同じです。全く無経験な子供にとっては、繰り返すことで動作のプログラムが形成されていきます。自動でプログラムが開始されるまでは、気長に一緒にします。ここの過程で親子で難しいと思ってしてしまうと、服の着替えはなかなかできなくなります。第一段階で脱ぐことを大人と楽しんでいる子どもは無理なくチャレンジしてきます。いままで闇雲にもがいていた動作から、意識的に計画的に動作が始まり、効率よく終了します。この段階では裏返しになってもかわないのですが、将来的なことを考えると裏替えしにならない方法がよいでしょう。片手や両手を抜いてから、襟をもって頭を抜く方法が簡単です。
手の機能 ☆☆
知的な発達 ☆☆
信頼関係 ☆☆☆
(援助☆☆) (援助は少なくなりますが、いつでも助けるように見守っています。)
衣服の着脱のポイント
朝枕元に自分の着る服があれば、自分で着る意識が育ちます。子供に一人でできるようにするためには、おしゃれな服より袖口や首周りのゆったりしたものにします。盲学校の子どもたちは片腕をぬいて袖と襟を上に上げると、裏返しにならないで服が脱げます。
見えない子どもが裏側を認識することは難しいです。脱いだ服が団子になってしまわないので小さな子供や障がいのある子供たちには簡単で短時間にできます。うまくいかないと子供はいやがり、衣服の着脱も定着しません。手指や腕の発達は個人差もありますが、毎日行うことでどんな子供も上手になってきます。
手の機能 ☆☆☆
知的な発達 ☆☆
信頼関係 ☆☆
(援助☆☆) (援助は少なくなりますが、いつでも助けるように見守っています。)
C 片づけができる。脱いだものの処理です。服を大きく広げ、袖をたたみ半分半分に折ります。脱いだものはかごに入れさせます。はじめは大人がして見せ、やってみたくなるまでは一緒にします。大人が楽しそうにやってみせるとすぐ子どもはしたがります。動作を擬態語で表現することで楽しさは倍増です。「ここにお手々おいてトントン。半分になった。またトン。できた。」くしゃくしゃにして入れなくなると精神的にも安定し、知的にも運動的にも高くなります。ほとんど一人でできるようになると、身だしなみについても教えられるようになります。着ているけど、シャツが出ていたりゆがんでいることも理解できて直せるようになります。
かごの中に入れて整理したら、決まった場所に置きます。かごの中には余計なものは入れません。脱いだ服か着る服だけにします。自分の持ち物を自分で管理できるようになります。この時期子どもだけでできるようになります。手はほとんど出さずに言葉かけだけになります。
手の機能 ☆☆☆
知的な発達 ☆☆☆
信頼関係 ☆
(援助☆)
@ まずは脱ぐことから練習します。大人が顔が隠れるまで服を引き上げます。自分で引っ張って顔が出たら、上手にできたねと笑顔でほめてあげます。顔が隠れると怒ったり、泣く子がいますので、最初は袖の端を持って手を抜くことから練習します。袖から手を引き抜く感覚は楽しいです。服に余裕がないとできません。これがスムーズにできるまで続けます。顔が隠れ暗くなり、自分の手の操作で視界が開けて明るくなる。「こうすればこうなるんだ。なるほどね」という物事の理解のための道筋を知る機会になります。知的な発達を促す経験過程です。この時期は、遊び感覚で服の着替えを楽しみます。大人とあそびながら信頼関係を同時に育てていきます。障がいのある子どもたちが通う学校でも同じです。初めて入学してきた子供とまず格闘する関門です。しかしここで着替えが楽しめるようになると毎日の着替えは先生との心の交流の場となります。その日の体調を知る場面でもあります。なかなか着替えが進まない時は、体調の不安を感じます。
手の機能を高める ☆
知的な発達を高める☆
信頼関係 ☆☆☆
(まだまだ援助大☆☆☆です。)