病型分類でいうと、ほとんどが(約80%)脳深部にできるラクナ梗塞です。
無症候性脳梗塞の頻度
その検出率は、画像診断の機器(CT、MRI)によって異なり、またMRIの機種(磁場の強さ)によっても異なります。また、加齢と共にその頻度は増加すると報告されています。
65歳以上の3660例を対象としたMRIの研究では、28%に認められました。
日本人966例の研究では、40歳以下では認められず、80歳以上で19.3%、全例中では12.9%と報告されています。
無症候性脳梗塞からの脳卒中の発症
脳ドックを受けた日本人933例(平均年齢57歳)の研究では、無症候性脳梗塞は10.6%に認められ、その後1-7年の経過中に新たな脳卒中を発症した頻度は、無症候性脳梗塞を持った人では10.1%、無症候性脳梗塞を持たない人では0.77%と有意な差を認めました。つまり、無症候性脳梗塞を持った人は、そうでない人と比べて10倍以上も脳卒中を起こしやすいのです。
また、高血圧症を持つ人だけで比較すると、無症候性脳梗塞を持つ人は持たない人に比べて、2.2倍脳卒中を起こしやすいと報告されています。
無症候性脳梗塞の危険因子
加齢と高血圧は、重大な危険因子です。
その他に、糖尿病、高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、喫煙、虚血性心疾患、心房細動、男性、頚動脈狭窄性病変、凝固こう進状態などがあります。
無症候性脳梗塞の治療
無症候性脳梗塞の大多数を占めるラクナ梗塞の治療に関しては、抗血小板薬の有効性は確立されていません。本邦の厚生省の研究班による前向き共同研究でも抗血小板薬の効果は証明されませんでした。そこで再発予防のためには、危険因子の管理、特に高血圧のコントロールが重要とされています。
その他の部位の無症候性脳梗塞では、頭蓋内外の脳血管の閉塞や狭窄の有無を検査し、それに応じて抗血小板薬や抗凝固薬を投与します。

脳ドックで無症候性の脳腫瘍が見つかることは極めて稀です。しかし、良性腫瘍あるいは悪性腫瘍にかかわらず、早期発見による早期治療は、治療成績の向上に貢献すると考えられます。また、腫瘍が小さいうちに発見できれば、外科的手術ではなく、特殊な放射線治療(ガンマナイフ)によって治療できることもあります。