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南京大虐殺の裁判

731・南京・無差別爆撃李秀英さん名誉毀損本多勝一さん名誉毀損夏淑琴さん名誉毀損夏淑琴さん名誉回復
淑琴さん名誉回復訴訟

 

原告と請求内容

夏淑琴さん(80万元)

提訴

2012年7月26日 東京地裁

東京地裁判決

2015年3月20日 敗訴

東京高裁判決

2015年11月25日 敗訴

最高裁決定

 

支援団体

南京への道・史実を守る会

夏淑琴さん名誉回復訴訟とは?

 夏淑琴さんは南京大虐殺の被害者の一人です。1937年12月13日、南京での凄惨な虐殺が巻き起こる中、日本軍によって夏淑琴さんの家族、そして隣家の人々が、夏淑琴さん(当時八歳)とその妹(当時四歳)を除いて皆殺しされました。夏さんご自身も日本軍に銃剣で刺されるなどの被害を受けましたが、妹とともに、奇跡的な生還を遂げました。

 南京大虐殺否定派の中心人物で、歴史修正主義の右翼「学者」である東中野修道氏(亜細亜大学教授)は、著書『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社、1998)において、また同じく右翼の文筆家・松村俊夫氏も、著書『「南京虐殺」への大疑問』(展転社、1998)において、それぞれ南京事件の被害者夏淑琴さんを強引な理屈で「ニセ被害者」「ニセ証人」だと侮辱しました。この事実を知った夏淑琴さんは、2000年11月、中国・南京で名誉毀損訴訟を起こしました。東中野氏と松村俊夫氏及び展転社を被告とした裁判でしたが、被告人らは代理人も立てず、一度も出廷することなく敗訴が決定しました。
 この中国での訴訟の判決を日本において執行するよう求めて東京地裁に提訴したのが、ここで紹介する名誉回復訴訟です。中国・南京の法廷で確定した判決(転展社と松村利夫に名誉毀損を認めて賠償金80万元を支払えという内容)を日本で強制執行せよと求める裁判です。争点は、外国の裁判所が出した判決を日本で執行できるかどうか、ということになります。

東京地裁での闘い

 2015年3月20日午後2時から東京地裁の103号法廷で判決の言い渡しがありました。敗訴でした。
 わずか数秒の「原告の請求を棄却する」という言葉だけで裁判官は退廷してしまいました。その瞬間、右翼の傍聴者から「万歳」の声があがり、なかには「天皇陛下万歳」などと叫ぶバカ者もいました。
 判決後、場所を移しての報告集会では、代理人の弁護士から報告を受けました。「判決は、二点にわたって判断しています 。@日本と中国で民事訴訟の制度が似ている、というだけではだめで、同じ内容でなければ、という点、A互恵関係があるかどうか、という点です。このうち@については、日中間の民事訴訟制度の違いがあり、否定しています。Aについては、主権国家どおし対等な権利があり不公平では困る、相互に同じ扱いをする必要があり、日中間には互恵関係がなく、「名誉毀損」で、日中間でこれまで相互に認められたケースがない、というものでした。」
 これまで原告側は「名誉毀損」というのは、中国にも存在し、日本での同種の事件では、判決も存在していることをあげ、認めるべき、と主張していました。ところが今回の判決は、これまでこの種の事件で中国の判決を日本で執行した例はない、というだけのものです。前例がないというだけのことでした。右翼弁護士が法廷でくりかえしていた中国は共産党独裁国家でそんな国の判決は認められない、という主張に与するものではありませんでした。
 しかし、新しい日中関係を築くためには、互恵関係に基づく新たな関係をつくりだすためにも、夏淑琴さんの思いを形のあるものにするためにもこのまま引き下がるわけにはいきません。弁護団は夏さんや中国の弁護団とも相談しながら、控訴する意向を表明しました。

東京高裁での闘い

 2015年11月25日午後2時30分から判決の言い渡しがありました。再び敗訴でした。

 これまでの審理で、被告側は「中国には司法の自由はない。そんな国の裁判所の判決は日本では執行できない」というばかりでした。さすがに裁判所は被告の論理には乗りませんでしたが、「これまで中国の判決を日本で執行したことも日本の判決を中国で執行したこともない。つまり前例がない」という理由だけで夏さんの訴えを退けてしまったのです。これまで夏さん側は、「日本にも中国にも『名誉毀損』の法律があり、その成立要件もそんなに違いがない、相互保障の用件は満たしている。類似の事案についての日本の判決もある。」と主張してきましたが、認められませんでした。弁護団は上告の方針です。
 傍聴席は、夏さんを支持する人たちと右翼「展転社を応援する会」の人たちの人数がほぼ同数でした。双方とも25人程度。異常だったのは、判決言い渡し直後、傍聴席にいた展転社の藤本社長が大声をあげ「三島由紀夫の憂国の意志を引き継ぐぞ!天皇陛下万歳」と叫び、同調する二十数名の傍聴者が万歳を叫んだことです。被告側主任弁護士の高池弁護士も万歳をしていました。異様な光景でした。

最高裁での闘い

 

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