重さ5Lのモルタル片
 5月15日午後4時55分、豊津中学校で3階庇部分の化粧モルタルが幅30B長さ60Bにわたって落下し、クラブ活動中の生徒を負傷させる事故が発生しました。
 厚さ2Bの落ちたモルタル 片は、鉄製の審判席にあたってから生徒の脚を傷つけ6針を縫うことになりましたが、直撃しておれば命を奪いかねない5L以上の重さがありました。
 各校に安全点検求める
 今回の事故は、翌16日の新聞各紙で報道されましたが、教育委員会の対応は豊津中学校の当該校舎を建設した業者にハンマーによる打音検査をさせる一方、16日午後臨時校長会を開いて一斉安全点検を各学校自身で実施することを求めました。
 事態はより深刻です
 私たちは、このホームページでも指摘しているように校舎の老朽化の現状について明らかにして安全性に警鐘を鳴らしてきましたが、今回の事故をより深刻に受け止めています。それは、この校舎が昭和57年 4月に竣工し、まだ築後19年しか経っていない吹田では新しい校舎であり、落下した箇所もいわゆる目視点検では点検の困難な庇の化粧モルタル部分であることです。
 外壁の安全点検の方法としては、ハンマーで建物を直接たたく打音 検査や赤外線写 真、超音波やレントゲンを使った非破壊検査、コンクリートの一部を穴を空けて抜き取るコア検査(中性化の進行や強度を調べる)等多様な方法があります。
 学校に働く現業職員の校務員、調理員等が作る吹田職員労働組合現業評議会をはじめとする3組織は、下記のような緊急要望書を教育委員会に提出しました。

校舎と体育館の間にあるテニスコートの事故現場





 落下したセメントモルタル片の裏側を見れば全体の面積の三分の二が白く、三分の一は黒っぽくなっています。
 白い部分は、下地のコンクリートと接着していた部分ですが、黒い部分は長期にわたり雨水が直接浸透し外気に曝されるほどのヒビがあり、汚れが付着したと見られます。
 建築工事におけるコンクリート駆体に左官作業でセメントモルタルを塗る箇所は、危険性のあるところだけでも外観で確認できる庇、笠置、窓枠、腰壁天端 等があります。しかし、コンクリートの打設不良個所の修正のため壁や梁に施工されている場合は、外観からは塗装されているためにチェックは困難です。
  無数にある危険個所
  打音検査すら困難で危険

  塗装が、ほとんど剥がれていることが分かりますが、吹田の学校では防水性能の期待できないリシン吹きつけが大部分です。この校舎も吹田の例外ではなく、この19年間に外壁の塗装やり換えなどのメンテナンス工事は行われていません。写 真の右に写る校舎の庇も同様な工法で仕上げられている部分ですし、表面の汚れも剥離落下した箇所と大差はありません。
 同じような箇所は、無数に存在すると考えられます。教育委員会は、現場職員による打音検査をして危険個所はハンマーで叩き落とすことを求めていますが、作業そのものの困難性と危険性を無視した責任逃れの無責任な対応です。
 

 

 アルミ金具でカバー

 

 

 9月議会での緊急補修予算1億7000万円余りの審議を待ち、10月から各学校の緊急補修工事が実施されています。
 豊津中学校でも、右写真のように、落下部分と同じモルタル左官仕上げの窓上部にある小庇には、防水塗装を行うと共にアルミ金具で先端部分をカバーする改良工事が行われました。アルミ金具は、グレーに塗装されています。
 あくまでも緊急工事という位置づけですから、外壁全体のチェックと浮いている部分の叩き落とし、ひび割れへの樹脂注入などもおこなわれましたが、塗装は補修部分のみに終わっています。
 右に見えるのは、豊津中学校でも一番古い校舎です。20年前に学校再開のための改修工事が行われていましたが、サッシは塗装しただけであったため、老朽化が進み窓枠を見れば錆びだらけなのが分かります。

運動場に面した校舎

 運動場に面した校舎。教室の窓が、南側に配置される運動場に面して並んでいます。この校舎では、アルミ金具は無塗装です。豊津中学校の緊急補修工事は、他の学校の緊急工事に比べて十分なお金が使われています。小庇のある同様な校舎は、他にもありますが、この様な施工は行われていません。

 同じ校舎の中庭側。廊下側になります。
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