子ども達にも住民にも大切です珍しい開放廊下型校舎など長期的な営繕計画の欠如と財政当局の罪長期低落傾向の学校教育予算学校を支える教諭以外の職員

消えた耐震診断予算
体育館のみ補強改修

  阪神・淡路大震災の直後には、それまで震度6程度を想定した震災緊急対応計画しか無かった西日本の各自治体は、大急ぎで災害計画を見直しました。しかし、その後の自治体の対応は大きく分かれます。
 吹田市でも、防災マニュアルを1996年に作ったり、防災センター作りが進みますが、吹田市の公共施設を対象にした耐震診断は、全体の半分も実施しないまま1998年度予算からは、 1円も計上されなくなりましたが、2000年予算では、2校の耐震診断の復活と桃山台小学校の3階建て校舎の耐震補強工事が初めて行われました。財政危機を口実に、緊急性の低いとされた災害対策費が削減されたのです。
 市民の命と生活・財産を守るという自治体の基本機能を左右する選択が、財政危機の中で市民抜きで進められています。当初、吹田市の小・中学校44校を独自基準により選択し、耐震診断をすると表明していた教育委員会ですが、市は屋内運動場の耐震工事のみ実施するとしています。

緊急性を増した
耐震補強工事

 昨年10月の鳥取西部地震と3月24日の芸予地震により、今後50年間西日本での大地震が数回あり得る地震活動期に入っているとの専門家の指摘が現実味を帯びてきました。阪神・淡路大震災級の地震が直下型で発生すれば、震度7を予想される地域の学校は、大きな被害を受けることは避けられません。(公表された市内震度予想地図)
 学校校舎の地震に対する弱さが明らかになり、児童・生徒の生命を守るための教育施設に対する耐震補強工事は、緊急性を増しています。文部科学省は、多くの学校施設を抱える自治体においては、耐震性確保のための工事計画の立案の前に、緊急性の大きな学校施設から着手できるようにする優先度調査 を行うことを求めていますが、その実施に必要な費用は1棟当たり数10万円と低く、昭和56年度以前の吹田の対象棟数を行っても、5000万円もかからない費用で済みます。(17校の大きな建物は、実施済み)

校舎耐震診断調査結果の
早急な公表を

 吹田市は、1996年と1997年の予算で、公共施設の耐震診断調査を行いました。学校も10数校で、約1億円をかけて行いましたが、その調査結果は公表されることなく、1998年の予算からは予定していた施設の調査費用は組まれないままで2000年にようやく復活しました。
 昭和56年以前に建設された、3階建て以上でかつ延べ床面積1000以上の建物を対象にする事業でありながら、途中放棄しただけでなく、重要な市民的課題の判断を左右する調査結果を公表しないのは問題です。その後、文部科学省が、2階建て以上延べ床面積200以上とより多くの学校施設を対象にした耐震性に関する調査を全国に呼びかけ、3カ年計画で平成17年度までに耐震診断の実施計画の立案を求めましたが、吹田市ではそれらしい取り組みは行われませんでした。
 子どもを学校に通わせる市民にとって、震災時の安全性はとりわけ重大な関心があります。過去に実施した耐震診断の結果と耐震診断計画を 早急に市民に公表することを求めたいものです。

復興した神戸の学校

 阪神・淡路大震災によって大打撃を受けた神戸の学校は、全ての被災学校での耐震補強工事を完了し、中規模以上の被害を受けた校舎、体育館の改築工事も基本的には3年で終えました。昭和30年代の古い学校は、順次全面 建て替えを統廃合と併せて行う計画です。

太陽発電、全館冷暖房も

 神戸市東灘区にある本庄中学校と本庄小学校は、全面建て替え行いましたが電力供給が途絶えた教訓を生かして屋根には太陽光発電パネルを敷き詰め非常時には体育館、管理棟、多目的教室等への電力供給を行うとともに、井戸水をポンプで汲み上げ利用できる設備を稼働させています。土日や祝日、夏休みなどには、余った電気を関西電力に売っています。
 また、中学校の地下にはガス発電設備を稼働させ安い電力による小・中学校の全館冷暖房をも実現しています。

全面建て替えとなった神戸市立本庄小学校

 屋根の南側は、太陽光発電パネルが取り付けられています。中庭には、井戸が掘られてトイレ用水に利用されています。
 体育館屋上のプールは、ステンレス製の耐震仕様のものが採用されています。プールの水は、災害時の防火用水として使えるよう設備が整えられています。

太陽光発電で安心

 太陽光発電による電力は、学校の消費量を上回る真夏の時期には電力会社に売られる仕組みになっています。

体育館の太陽光発電電気を
使う専用コンセント

長期計画無しの
施設管理計画はあり得ない

 共有財産である分譲マンションなどの場合、長期的な営繕計画無しには良好なマンション生活は望めませんし、営繕計画に基づく改修工事を行わなければ将来に莫大な費用が発生するだけでなく、危険な建物になってしまします。
 同じように、市民全体の共有財産である公共の建物も、長期的計画に基づいた営繕計画や日常の維持管理の進め方を含んだ施設管理計画がなければ、市民の利用できる良好な状態を保つことは出来ません。
 ましてや、学校は発達途上の子ども達が学び、生活を送る空間として、万全の管理が求められているはずです。
 臭いトイレを解消する現在進められている計画も、今学校にあるトイレの20% を改修するだけであるにもかかわらず、5年以上掛かりました。
 4階建て校舎一棟の耐震補強工事費は、3〜4千万円と言われますが、それは現在進められているトイレ改修の2校分の予算額に匹敵するものです。子どもたちの命に直結する耐震補強事業が、より緊急性の高いものであることは、自明のことのはずです。
 私たちは、20〜30年以上の個別の学校別長期営繕計画を明確にして、そのトータルとしての全体計画を立案し、直ちにこれまでの政策を大転換しなければ、市の保有する公共建物の50%を占める学校の施設維持管理の財政的負担が10数年で 危機的水準に達すると考えます。 (公共建築物のライフサイクルコスト参照)

人的・財政的な
大きな被害を防ぐ

 年々発生の確率が高まる東南海・南海地震が、現在のような屋内運動場だけの耐震補強工事を進めている状況で児童・生徒が学校で学ぶ時間帯に発生すれば、多くの人的被害を被る危険があります。それ以外の時間帯に発生しても、建物の被害は甚大であるために、長期にわたって学校運営は正常な機能を失い、施設設備の復旧のための財政負担は一度に巨額が市民の負担となってきます。

公共施設のライフサイクルコストを明らかにした豊中市の学校施設耐震補強工事・大規模改造工事

豊中市立第七中学校・平成12年の徹底した改修工事  へ

財政危機の中でも子どもたちの安全を最優先課題として学校の耐震補強・改修工事に取り組む

  大阪府・摂津市の13年度主要施策

発展するホームページへ  私たちは、このホームページでお知らせする内容は、子ども達の教育を考える全ての市民が共有すべきものであると考え、多くの方々の協力を得て作り始めました。発端は、進行する老朽化と学校現場の実状を無視した人員カットを財政難を理由に進めようとする教育委員会の姿勢が、明らかになったためです。
 財政難と言いながら、100億単位の開発計画を織り込んだ財政見通しであったり、財政難の理由を招いた政策の問題を放置したまま自分たちの失敗を現場に押しつける官僚的な体質を改革する事こそ必要であると考えます。財政難の原因は、私たち現場の職員にはありません。私たちは、現場の人材を活用する道を職場からの要望としてあげてきましたし、私たちの組合は、基本綱領である「住民の幸せなくして自治体労働者の幸せなし」という立場で、建設的な改善提案をまとめて諸活動に取り組んできました。
 吹田の教育環境を考える会は、先ず学校現場で働く教師、事務職員、栄養士、校務員、給食調理員等の各職種の人たちの声を集めながら専門家、子育て団体の人たちの力を借りて発展させていきたいと考えています。市民とともに教育環境を考えるためには、情報発信が決定的に不足していると考え、この活動を中心に取り組む予定です。
 21世紀を迎えた今年、初めに学校給食のページを新設しましたが、現在さらに学童保育のページを準備しています。関心のある団体、個人にかかわらず力を合わせて行きたいと願っています。
 そういった意味では、このホームページは、どんどんと発展するものであると言えます。
 みなさんのご意見、お力を下さい。
 
   

 

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