大阪の学校に見る耐震補強工法の色々 |
学校に求められる
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耐震補強工事には、多様な工法が開発されてこれまで施工されてきました。どのような工法を採用するかは、その建築物の性格や現に利用されている状態による制約に応じたものが選択されます。 |
特別でない
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災害の時の避難所と指定されているから、きっと特別安全に作ってあるのだと思われていますが、そんなことはありません。阪神・淡路大震災の時にも、多くの学校が被災して立入禁止になった校舎が多くありました。国の防災計画に基づき、各自治体は地域防災計画を立てていますが、その中に避難所を定めなければならないとしていますから、公共施設の中で大きな位置を占める学校教育施設が指定されているからです。阪神・淡路大震災まで、西日本の自治体は地震に対する備えはほとんど出来ていなかったのが実際でした。その後の経過を見ると、自治体の対応は温度差が大きくなるばかりです。 |
外部鉄骨ブレース工法 建物外部に鉄骨ブレースを組み上げて大きな空間のある体育館の耐震性能を持たせた大阪市立桜宮高校。この工法は、既設建物に応用する場合、居住性能を減ずることなく耐震性能を向上させることができます (大阪市立桜宮高校) |
内部鉄骨ブレース工法 一階開放型廊下の柱の間に増築された鉄骨ブレースと下部に鉄筋コンクリート壁を合わせて補強に利用した耐震壁。鉄骨ブレースだけよりも剛性を高める事が出来ます。鉄骨ブレースの形状は、口の字の中にV字を入れるようになったものが標準。採光をあまり減ずることがない。(摂津市・味舌小学校) |
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同じく内部鉄骨ブレース工法 3階建の閉鎖型校舎の廊下窓に増築された鉄骨ブレースを利用した耐震壁。1,2階に合計4カ所見えます。鉄骨ブレース工法は、比較的開口部が大きくとれ、窓を外側に作れば、居住性能への制約を小さくできる工法です。 |
内部鉄骨ブレース工法同じく内部鉄骨ブレース工法。2階は、逆V字。1階逆V字の変形。柱の数が多い構造のため鉄骨ブレースを入れるだけの補強であるため、周囲の窓と比べても、採光はほとんど変わりません。教室として使い続けられることが明らかです。下の柱の少ないワイドスパンに比べ、補強ポイントが少なくすむことが分かります。 (枚方市立枚方中学校) |
吹田で最初に実施された校舎の耐震補強工事 桃山台小学校 |
コンクリート壁増築工法 閉鎖型校舎で柱が少ない校舎の耐震補強。サッシを全面撤去し、コンクリートの耐震壁を増築した3階建校舎。左の教室のような開放的なサッシから小さな窓と換気扇がついた「壁」になっています。鉄筋コンクリート壁による耐震工法は、剛性を高める上で最も効果的な工法です。窓の開口面積が小さくなるため、教室としての利用は出来なくなります。 |
倉庫になった教室 コンクリート壁増築により、採光・通風条件が悪化したために倉庫として使われるようになりました。 |
ワイドスパン校舎の補強今よく言われるワイドスパンで建設された校舎の南向き窓側の補強です。既設の柱と梁の外側に鉄骨鉄筋コンクリートの剛性の高い補強を1、2階6教室分に入れました。 吹田市立青山台中学校教室棟南側 |
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廊下側は窓小さいコンクリート壁に上の写真の北側 廊下側に入った鉄筋コンクリートの耐震補強壁。トイレと階段にあたるレイアウトの部分であったために、鉄筋コンクリートの耐震壁は、このような形で入れることが出来ました。 |
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アウトフレーム工法工場生産のプレキャストコンクリートを升目のように組み上げ、既存建物のベランダ床等に結合する。既存建物内部の工事はなく、工期も短くすることが出来る。窓枠にブレースが入らないために、教室開口部の視界が妨げられることはありません。 山二小学校 |
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豊中市立第七中学校の耐震補強・大規模改造工事 |