現在小田急線下北沢地区で進んでいる工事と、*3月16日から都市計画案の説明会が開催される京王線(笹塚駅〜つつじヶ丘駅間)で計画されている事業は、いずれも纏まった区間で踏み切りを一挙に解消するという名目で行われるもの。これは東京都による都市計画事業で、連続立体交差事業(=連立事業)と呼ばれています。
連立事業は単に踏み切りを解消するのではなく、都市基盤の変更を迫る大規模な事業です。事業規模は小田急線(代々木上原駅〜喜多見駅間)で約3700億円、京王線で2200億円ですが、交差道路事業や再開発事業を加えると、2兆円をゆうに超える区内最大の公共事業となります。
敗戦直後の1946年に策定された東京戦災復興計画は、現行のほとんどの都市計画道路を配置しましたが、同時にロンドンにも劣らない規模の緑地計画を持ち、道路に環境緩衝帯としての緑地帯を配するなど、緑と調和した首都を目指すものでした。ところが1968年に新都市計画法が成立すると、緑地や緑地帯は廃止され、都市計画道路のみが残りました。
そして翌1969年、連立事業を制度化する「建運協定」が、生まれています。連立事業と都市計画法にまつわるこうしたからくりは、補助54号線をめぐる下北沢地区の訴訟を契機に明らかになりました。
広大な緑地廃止にもかかわらず、計画道路の実現ばかりを目指した現在の都市計画は、無機的な「未来都市」幻想と不動産開発に依存した戦後土建国家の遺物であり、同時に東京の環境を劣化させてきた元凶でもあります。
今こそ連立事業を機に、外郭環状線も含め、道路の要不要をチェックして、高層化を抑制し緑を再生させる都市計画へと転換すべきです。鉄道を地下化し、跡地を緑道化することは、東京をリフレッシュさせるグリーン・ニューディールです。単なる土建需要に代わるエコ事業による有効需要こそ、世田谷のみならず、真に日本を元気にする施策として必要なのです。
*東京都は3月16日から予定していた説明会の延期を発表(3月15日追記)
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