命題論理における論理式間関係の意味論 − 論理的同値 : トピック一覧  

・定義:複数の論理式の真理値割り当て  
・定義:同時に充足する/矛盾/充足可能整合的 

・定義:推論 / 前提 / 結論・帰結 / 推論式 / 反例   
・定義:推論が有効・妥当・正しい / 推論が有効でない・妥当でない・誤っている / (double-turnstile)   
・定義:論理的に同値      

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※述語論理の場合は、林晋,鹿島亮を参照。



定義:論理的に同値 logically equivalent  、意味論的に同値 semantically equivalent  

【概要】

 「論理式A論理式B
    論理的に同値logically equivalent意味論的に同値semantically equivalent
  とは、

  《論理式A真理関数と《論理式B真理関数とが一致する、
  つまり、
  《論理式A真理値表》と《論理式B真理値表》とが一致する[中谷『論理』1.2(p.8)]
  ということ。

 * 明確化すると・・・
   →真理値割り当てに踏み込んだ表現
   →トートロジーを用いた表現
   →double-turnstileを用いた表現





【文献】
 ●中谷『論理』1.2(p.8)「論理的に同値」「同値」「同格」≡:; 2.2(pp.35-36)
 ●戸田山『論理学をつくる』3.4.1論理的同値性の定義(pp.49-50)
              3.4.2同値変形(pp.51-52)

 ・戸次 『数理論理学』定義3.61意味論的同値性(p.45);定理3.62意味論的同値性(p.45);定理3.65(p.46)

  

 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Logical_equivalence  
 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Material_equivalence

【記法】

 「論理式A論理式B論理的に同値logically equivalent意味論的に同値semantically equivalent」は、
 
 ・「 AB 」  [中谷『論理』1.2(p.8)]
 ・「 A B 」  [戸田山『論理学をつくる』3.4.1論理的同値性の定義(p.50)]
 ・「 A B 」[戸次 『数理論理学』定義3.61意味論的同値性(p.45)]

 等の記号で表される。

【真理値割り当てに踏み込んだ表現】

・「論理式A論理式B
    論理的に同値logically equivalent意味論的に同値semantically equivalent
  とは、

  どの真理値割り当てについても、 
    《論理式A真理値》と《論理式B真理値》が一致する
  ということ、

  正確には、
  どの《論理式A,Bに含まれる命題変数に対する真理値割り当て》についても、
      《論理式A真理値》と《論理式B真理値》が一致する
  ということ。
  [中谷『論理』1.2(p.8)][中谷『論理』1.2(p.8)]
  [戸田山『論理学をつくる』3.4.1論理的同値性の定義(p.50)]
  [戸次 『数理論理学』定理3.62(p.45)]


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【トートロジーを用いた表現】 

・「論理式A論理式B
    論理的に同値logically equivalent意味論的に同値semantically equivalent
  とは、
    論理式AB」が恒真式(トートロジー)である
  ということ、  

  つまり、
    論理式AB  BA」が恒真式(トートロジー)である
  ということ。  [中谷『論理』2.2(pp.35-36)] [戸次 『数理論理学』定理3.65(p.46)]





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double turnstileを用いた表現】

・「論理式A論理式B
    論理的に同値logically equivalent意味論的に同値semantically equivalent

  とは、

    

推論『A。 ゆえに B。 』   (記号で表すと「A

B」)


    

推論『B。 ゆえに A。 』   (記号で表すと「B

A」)


  が、両方とも妥当であるということ。

     [戸次 『数理論理学』定義3.61意味論的同値性(p.45)]

【具体例】
 →論理式「P」と「¬P」は、論理的に同値でない。

 

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【メモ】

・「二つの真理関数(論理式)の真理表が、
 それに含まれる命題変数の真偽にかかわらず一致するとき、
   それらの真理関数(論理式)は論理的に同値である、または、同格である、または単に同値であるといい、
   記号≡を用いて表す」[中谷『論理』1.2(p.8)]
  例:二重否定の法則

 「記号≡は論理記号ではなく、二つの論理式(真理関数)の真理値が一致していること、
  すなわち論理式の形はちがっても真理関数としては同一視できる等ことを示す、
   いわゆる超論理metalogicに属す記号である。」[中谷『論理』1.2(p.8)]

 「論理的同値関係は、それに含まれる命題変数の真偽とは無関係に、
  真理関数(論理式)の関係であることに注意されたい」[中谷『論理』1.2(p.9)]

・論理的に同値となる論理式のペアの列挙:[中谷『論理』1.5(pp.24-28)]

・論理的に同値となる論理式のペアの列挙:[中谷『論理』2.1A(pp.29-30)]

 「二つの論理式A,Bが論理的に同値であるとき、A≡Bと表した。
  これはA,Bに含まれる命題変数の真偽にかかわらず、A,Bの真理値が一致すること、
  すなわち、「A,BはともにTであるか、ともにFである」ということを意味するものであった。
  このことは論理式ABがつねに(A,Bに含まれる命題変数の真偽にかかわらず)真であること
  と同じことになる。
  すなわち、「A≡Bは、ABがトートロジー」ということを意味する。
  そこで、A≡Bもトートロジーと呼ぶことにしよう。」[中谷『論理』2.2(pp.35-36)]

・「ふたつの論理式A,Bが論理的同値logically equivalentである」とは
  「A,Bは、
    それを構成する原子式の真理値のいかなる組み合わせに対してもつねに同じ真理値を取る」
  ということ。
 「論理式A,Bが論理的同値であることを、ABと書くことにしよう。」 
  戸田山は、⇔を定義の記号、を論理式をつくる論理結合子、を論理的同値の記号として、区別。 
  [戸田山『論理学をつくる』3.4.1論理的同値性の定義(p.50)]

・論理的に同値となる論理式のペアの列挙[戸田山『論理学をつくる』3.4.2同値変形(pp.51-52)] 

・φ ψとは、φ ψかつφ ψのこと。[戸次 『数理論理学』定義3.61意味論的同値性(p.45)]
 φ ψ⇔任意の解釈Iについて、[φ]I=[ψ]I ということ。 [戸次 『数理論理学』定理3.62(p.45)]
 任意の論理式φ,ψについて φ ψ ⇔ φ ψ ということ。 [戸次 『数理論理学』定理3.65(p.46)]
 意味論的に同値となる論理式のペアの列挙 [戸次 『数理論理学』3.3.4(p.46)]
 戸次は、≡を定義の記号、を論理式をつくる論理結合子、
     ⇒を推論の記号、  を妥当な推論の記号、
     (⇔は使われているが説明が見当たらず)、を意味論的同値の記号としている。