実行列の基本変形「掃き出す」
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・定義:行を掃き出す列を掃き出す
※関連ページ:行列の基本変形基本行列行列の階数  
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定義:行を掃き出す sweep out 〜を要(かなめ)として行を掃き出す  
 
[永田『理系のための線形代数の基礎1.7(p.40);斎藤『線形代数入門2章§4(p.48)]
(舞台設定)
R実数をすべて集めた集合実数体) 
A(m,n)型実行列 
        Image1364.gif
apq A( p, q ) 成分。ただし、0でない成分とする。   
(本題)
(m,n)型実行列A( p, q ) 成分を要として、実行列Apを掃き出す」とは、 
以下の手順で
列基本変形を組み合わることによって、   
実行列Apについて、( p, q ) 成分apq1とし、pのそれ以外のすべての成分を0にすること
をいう。   
 
[手順1]   
     Image1364.gif
    のqを、apq−1倍して、  
    
 Image1365.gif
    すなわち 
    
 Image1366.gif
    とする。  
    この操作は、
列基本変形type3 であるから、
    この操作によって得られた
実行列は、ARn( q, apq−1) という行列積に等しい。 
        
 
[手順2] 
   手順
1によって得られた実行列  
    
 Image1367.gif
   のj(ただし、qをのぞく)に、qの−apj倍を加えて、
    
  Image1368.gif
   すなわち 
    
 Image1369.gif
   とする。    
   この操作は、
列基本変形type1であるから、 
   この操作の結果生じた
実行列は、ARn( q, apq−1) Pn ( q, j,apj )という行列積に等しい。 
 
[手順3] 第q列をのぞく、すべての列を第j列として、手順2を施して、
  
  Image1370.gif
  すなわち 
  Image1371.gif
   とする。
   これは   
     Image1372.gif  
   という行列積に等しい。 


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定義:列を掃き出す sweep out 〜を要(かなめ)として列を掃き出す  
 
[永田『理系のための線形代数の基礎1.7(p.40);斎藤『線形代数入門2章§4(p.48);]  
(舞台設定)
R実数をすべて集めた集合実数体) 
A(m,n)型実行列 
     
Image1364.gif   
apq A( p, q ) 成分。ただし、0でないとする。   
(本題)
(m,n)型実行列A( p, q ) 成分を要として、実行列Aqを掃き出す」とは、 
以下の手順で
行基本変形を組み合わることによって、   
実行列Aqについて、( p, q ) 成分apq1とし、qのそれ以外のすべての成分を0にすること
をいう。   
 
[手順1]   
    
Image1364.gif 
    の
pを、apq−1倍して、  
    
 Image1373.gif
    すなわち 
    
 Image1374.gif
    とする。   
    この操作は、
行基本変形type3であるから、   
    この操作によって得られた
実行列は、Rm( p, apq−1)A  という行列積に等しい。 
 
[手順2] 
   手順
1によって得られた実行列  
     Image1375.gif 
   の
i(ただし、pをのぞく)に、pの−a i q倍を加えて、
   Image1376.gif 
   すなわち 
   
Image1377.gif   
   とする。    
   この操作は、
行基本変形type1であるから、 
   この操作の結果生じた
実行列は、Pm ( i, p,a i q )Rm( p, apq−1)A  という行列積に等しい。 
 
[手順3] pをのぞく、すべてのiとして、手順2を施して、
Image1378.gif
 すなわち 
Image1379.gif
 とする。
 これは   
       
    Image1380.gif  
  という行列積に等しい。 


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(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目83行列D行列の階数(p.220)
線形代数のテキスト

永田雅宜『
理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第2章§4(p.48)
佐武一郎『
線形代数学(44)』裳華房、1987年。該当箇所見当たらず。