R上の区間塊の面積を定義する集合関数μ( )の性質5の証明 
  


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[準備]
・舞台設定 
 
R2    : 2つの「実数の全体の集合R直積。すなわち、
           
R×R{ (x ,y ) |x R かつ y R }{ (x ,y ) | −∞<x<+∞かつ −∞<y<+∞ } 
 
集合系()E : R2上の区間塊として考えられ得るものすべてを集めてきた集合系()
             ※
区間塊Eは、R2部分集合だから、E R2部分集合系()となっている。
 Ψ
(I)    : R2上の区間の面積を定義する集合関数Ψ
        すなわち、
          
type 1: 左半開区間(a, b] ={ x | a<xb } (ただし−∞< a< b<+∞),
          type 2: (−∞, b] ={ x | xb } (ただし−∞< b<+∞)
          
type 3: (a , ) ={ x | a<x } (ただし−∞< a <+∞)
          
type 4: (−∞, )=実数の全体の集合R 
          
type 5: 空集合φ    
        のいずれかのかたちの
R上区間の直積となるR2上区間Iに対して、
       
(i) I(a, b]×(a', b'] (−∞< a< b<+∞, −∞< a'< b'<+∞)ならば、Ψ(I) =( ba ) (b'a' ) 
       
(ii) I=φならば、 Ψ(φ) = 0  
       
(iii) Iが上記以外〜つまり、(−∞, b]×(a' , )など非有界の矩形〜ならば、
          Ψ
(I) =+∞   
       
値域は、広義の実数R*上の区間[0, +∞]となる。
        「
広義の実数」では、実数における演算が拡張されているので(特に+∞について)注意。
・集合関数μの定義 
 
Eに属す、すべてのEは、R2上の区間塊であるから、 
       
type 1: 左半開区間(a, b]={ x | a<xb } (ただし−∞< a< b<+∞),
       type 2: (−∞, b]={ x | xb } (ただし−∞< b<+∞)
       
type 3: (a , )={ x | a<x } (ただし−∞< a <+∞)
       
type 4: (−∞, )=実数全体の集合R 
       
type 5: 空集合φ  
 のいずれかのかたちの区間の
直積の有限個の直和として表す
 (=
互いに素な有限個の「上記5タイプの区間の直積」へ分割する)
 ことができる。  
 すなわち、
 
Eに属す、すべてのEには常に、
   
1以上の或る自然数nが存在して、
   
E= I1In (ただし、I1,,Inは、上記5タイプいずれかの区間の直積で、互いに素
 と表せる。※自然数
n1以上とわざわざことわったのは、E= I1というケースも当然ありうるという意味。
 そこで、
面積を定義する集合関数Ψを用いて、 
 μ
(E)=Ψ(I1)Ψ(I2)+…+Ψ(In) 
 と、 
R2上の区間塊Eの面積を定義する集合関数μを定義する。 

[μ( )の性質5] 

 R2上の任意区間塊E と、Eにたいしてとった任意のα<μ(E)にたいして、
       
[F]E かつ α< μ(F)  
 を満たす有界な
区間塊Fが存在する。
 
( EE ) ( α<μ(E) ) (FE ) ( [F]E かつ α< μ(F) )
      
[μ( )の証明] [伊藤『ルベーグ積分I-§4有限加法的測度:定理4.2証明内(p. 20);]
Step0: 区間塊Eを、区間列{ I1,, In }にもどしたうえで、場合分け 
 Eは、R2上の任意区間塊だから、
      
type 1: 左半開区間(a, b]={ x | a<xb } (ただし−∞< a< b<+∞),
      type 2: (−∞, b]={ x | xb } (ただし−∞< b<+∞)
      
type 3: (a , )={ x | a<x } (ただし−∞< a <+∞)
      
type 4: (−∞, )=実数全体の集合R 
      
type 5: 空集合φ  
  のいずれかのかたちの区間の
直積の有限個の直和として表す
  (=
互いに素な有限個の「上記5タイプの区間の直積」へ分割する)
 ことができる。  
 すなわち、
   
1以上の或る自然数nが存在して、
   
E= I1In (ただし、I1,,Inは、上記5タイプいずれかの区間の直積で、互いに素)…(0-1)
 と表せる。  
ここで、
case1:  I1,,Inがすべて、 (a, b]×(a', b']のかたちをしている場合、
case2:  I1,,Inのなかに、type 2: (−∞, b]type 3: (a , )type 4: (−∞, )との直積が含まれる場合 
の二つの場合にわける。
Case1: I1,,Inがすべて、(a, b]×(a', b']のかたちをしている場合
   この場合、 
μ(I1) , μ(I2) , , μ(In) すべてが、∞ではない ∵μ( )の定義、Ψ( )の定義  
Case1-Step1:  
任意実数α<μ(E)にたいして、
 
μ(E)−αをとると、μ(E)−α > 0  ∵実数の差の正負 
よって、
任意実数α< μ(E)にたいして、
 
( μ(E)−α)/nをとると (nは、step0Eを区間I1,,Inに分割したときの区間の個数)
 
( μ(E)−α)/n > 0
したがって、  
任意実数α< μ(E)にたいして、
 
μ(Ik) ( μ(E)−α)/nをとると、
 
μ(Ik) ( μ(E)−α)/n < μ(Ik) を満たす (ただし、k1からnまでの自然数)(1-1)
Case1-Step2: ある{ J1,, Jn }の存在証明 
(1-1)と、μ( )の性質4より、
 区間
I1と、  μ(I1) ( μ(E)−α ) /n < μ( I1 ) にたいして、     
 [ J1 ]I1 かつ μ( J1 ) > μ( I1 )( μ(E)−α)/n    
 を満たす有界区間
J1=(a*1 , b*1 ]×(a*'1 , b*'1 ] (−∞< a*1< b*1<+∞,−∞< a*'1< b*'1<+∞) が存在する。…(1-2-1)
(1-1)と、μ( )の性質4より、
 区間
I2と、μ( I2 )(μ(E)−α)/n < μ( I2 ) にたいして、
 
[ J2 ]I2 かつ μ( J2 ) >μ( I2 )(μ(E)−α)/n    
 を満たす有界区間
J2=(a*2 , b*2 ]×(a*'2 , b*'2 ]  (−∞< a*2< b*2<+∞−∞< a*'n< b*'n<+∞)が存在する。…(1-2-2)


(1-1)と、μ( )の性質4より、
 区間
Inと、 μ( In )( μ(E)−α)/n < μ( In ) にたいして、 
 
[ Jn ]In かつ μ( Jn ) >μ( In )(μ(E)−α)/n    
 を満たす有界区間
Jn=(a*n , b*n ]×(a*'n , b*'n ] (−∞< a*n< b*n<+∞,−∞< a*'n< b*'n<+∞)が存在する。…(1-2-n)

Case1-Step3: F=J1++ Jnの性質 
J1,, Jn互いに素。…(1-3-1)
  なぜなら、
  
(0-1)よりI1,,In互いに素
  かつ、
(1-2-1) (1-2-2),,(1-2-n)より、[ Jk ]Ik (k=1,2,, n)   
F= J1Jnとおく。…(1-3-2)
[F] E 
 なぜなら、
  
[F]=[ J1 ]+[ J2 ]++[ Jn ]    ∵(1-3-2) 
    
I1In       ∵(1-2-1) (1-2-2),,(1-2-n)  
     
=E  ∵(0-1)
・μ(F) >α
 なぜなら、
  μ
(F)=μ(J1)+μ(J2)++μ(Jn) ∵ J1,, Jn互いに素で、すべて区間塊だから、
                    μ
( ) 性質3(有限加法性)を適用。  
     
>μ( I1 )(μ(E)−α)/n+μ( I2 )(μ(E)−α)/n+…+μ( In )(μ(E)−α)/n  ∵(1-2-1) (1-2-2),,(1-2-n)
      =μ( I1)+μ( I2)++μ( In)(μ(E)−α) 
      
=μ( I1)+μ( I2)++μ( In) −μ(E)+α  
      
=μ(E)−μ(E)+α  ∵ I1,, In互いに素で、すべて区間塊だから、
                  μ
( ) 性質3(有限加法性)よりμ( I1)+μ( I2)++μ( In) =μ(E)
      =α   
Case1-Step4: 結論 
以上から、
 
区間塊Eを有界な左半開区間の直積(a, b]×(a', b']直和として表せるケースでは、
 
Eにたいしてとった任意のα<μ(E)にたいして、
       
[F]E かつ α< μ(F)  
 を満たす有界な
区間塊Fとして、上にあげたようなものが少なくとも存在することが明かとなった。

Case2: I1,,Inのなかに、type 2: (−∞, b]type 3: (a , )type 4: (−∞, )との直積が含まれる場合 
Case2-Step1:  
I1,,Inのなかで、type 2: (−∞, b]type 3: (a , )type 4: (−∞, )のかたちをした区間のひとつを選び出し、
これを、
Ik*と名づける。
μ( )の性質4より、
 区間
Ik*任意実数αにたいして、
     
[J k*]Ik*   …(2-1-1)
  かつ
    α
<μ(J k*)   …(2-1-2)
 を満たす有界区間J k*=(a* , b* ]×(a*', b*' ] (−∞< a*< b*<+∞,−∞< a*'< b*'<+∞) が存在する。
Case2-Step2:  
有界な
区間塊F= J k* とおく。…(2-2-1)
このとき、
  
[F]=[J k*]   ∵(2-2-1)
   Ik*   ∵(2-1-1)
    E   ∵(0-1)
 μ(F)=μ(J k*)   ∵(2-2-1)
     >α   ∵(2-1-2) 
Case2-Step3: 結論 
以上から、
 
区間塊Eを有界な左半開区間の直積(a, b]×(a', b']直和として表せないケースでも、
 
任意実数αにたいして(だから、Eにたいしてとった任意のα<μ(E)にたいしても)、
       
[F]E かつ α<μ(F)  
 を満たす有界な
区間塊Fとして、上にあげたようなものが少なくとも存在することが明かとなった。


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