定義:Rにおける集合の触点・接触点・閉包の点 adherent point , closure point, point of closure


ビギナー向け「触点」定義 

厳密な「触点」定義

  → 距離のみを用いた表現
  → 開区間を用いた表現
  → 近傍を用いた表現
  → 外点を用いた表現
  → 閉包を用いた表現 
  → 内点・境界点を用いた定義
  → 孤立点・集積点を用いた定義 
  → 数列を用いた定義 


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触点の定義 : 距離表現

・「実数aが『R部分集合E触点である」とは、

  εに設定した距離を変更して、《aからの距離ε以内のゾーン》の幅をどのように変えたときでも、
  《実数aから距離ε以内のゾーン》に、「Eに属す実数」が実在している

  ということ。

論理記号で表すと、
     ∀ε>0 ∃xE  |x-a|<ε 
      任意の正数ε>0に対して、ある実数xE{a} が存在して、|x-a|<εを満たす。


   ε>0  xR  (xE かつ |x-a|<ε)  
      任意の正数ε>0に対して、ある実数x が存在して、xE かつ |x-a|<εを満たす。

   ∀ε>0  E { xR | |x-a|} ≠φ (∵互いに素を表す命題)

  ということ。

【文献】

 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』1.1U注1(p.5):R1において。「点xがA閉包の点point of closureであるとは、任意のδ>0にたいし必ず|x-y|<δとなるようなAの点yが存在すること」
 ・Lang, Undergraduate Analysis,Chapter2§2(p.39)
 ・Lang,ラング現代微積分学』2章§2(p.46)]



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触点の定義 : 開区間表現

・「実数aが『R部分集合E触点である」とは、

  (a−ε, a+ε) の幅εをどのように変えたときでも、
  (a−ε, a+ε) に、最低一個以上の「Eに属す実数」の実在を確認できる

  ということ。

論理記号で表すと、

 「実数aが『R部分集合E触点である」とは、

  ∀ε>0   (a−ε, a+ε) E≠φ 
      任意の正数ε>0に対して、(a−ε, a+ε)Eは、交わる

   ∀ε>0 ∃xE   x(a−ε, a+ε) 
   ∀ε>0 ∃xR  xE かつ x (a−ε, a+ε)   
   ∀ε>0 ∃xR  x (a−ε, a+ε) E 

  ということ。



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触点の定義 : 近傍表現


・「実数aが『点集合E触点である」とは、
     実数aの任意の近傍に、「集合Eに属す実数」が最低一個以上実在しているということ。

論理記号で表すと、
 「実数aが『点集合E触点である」とは、
     ε>0  Uε(a) Eφ 
      任意の正数ε>0に対して、aのε近傍Eは、交わる
【文献】

 ・de la Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,2.4(a)(p.60);
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』問題3.3.17コメント(p.109)
 ・彌永『集合と位相II』§1.10閉包(p.167)adherent point




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触点の定義 : 外点表現


・「実数aが『点集合E触点である」とは、
  実数aが「点集合E外点でないこと。

・これは、「実数aが『点集合E触点である」の「近傍を用いた定義」の言い換え。

  「実数aが『点集合E外点』」であるとは、∃ε>0 Uε(a)Eφ ということだったから、
  「実数aが『点集合E外点でない」とは、¬(∃ε>0 Uε(a)Eφ) ⇔ ∀ε>0 ¬Uε(a)Eφ) ⇔  ∀ε>0 ( Uε(a)Eφ) ということ。
 
  だから、「実数aが『点集合E外点でない」とは、
      「実数aが『点集合E触点である」の「近傍を用いた定義を、外点という概念を使って言い換えただけ
     ということに。

【文献】

 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1C(p.143);
 ・松坂『解析入門3』12.1(p.53)

   

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触点の定義 : 閉包表現


・「実数aが『点集合E触点である」とは、実数aが「点集合E閉包に属すということ。

【文献】 

・斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』4.1.11(p.104)
・松坂『集合・位相入門』第4章§1C(p.143):Rnについて。
・松坂『解析入門3』12.1(p.53)内点・境界点から定義
   「a点集合E触点である」とは、a点集合Eの閉包に属すこと、つまり、a点集合Eの内点または境界点であること。
  これは、「Eの外点でないこと」「任意のε>0に対して、Uε(a)がけっしてEcに含まれないこと」「∀ε>0  Uε(a) (E)φ」と同等。 


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触点の定義 : 内点・境界点を用いた表現


・「実数aが『点集合E触点である」とは、
  実数aが「点集合E内点または点集合E境界点」であること。

【文献】 
 ・松坂『集合・位相入門』第4章§1C(p.143)
 ・松坂『解析入門3』12.1(p.53)
   「a点集合E触点である」とは、a点集合Eの閉包に属すこと、つまり、a点集合Eの内点または境界点であること。
  これは、「Eの外点でないこと」「任意のε>0に対して、Uε(a)がけっしてEcに含まれないこと」「∀ε>0  Uε(a) (E)φ」と同等。 


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触点の定義 : 孤立点・集積点を用いた表現


・「実数aが『点集合E触点である」とは、
  実数aが『点集合E孤立点または点集合E集積点であるということ。

【文献】 

・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』4.1.11(p.104)
・松坂『集合・位相入門』第4章§1C(p.143)
・松坂『解析入門3』12.1(p.53)
de la Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,2.4(b)Definition4.10(p.61):距離空間一般について。"limit point"ε近傍をつかって定義。「実数aが集合E集積点」とは、∀ε>0  Uε(a) (E{a})φ,  "Notice that this is more restrictive than the definition of closure point because now the intersection of E and Uε(a) cannnot be just the point a itself.Points for which this is the case are called isolated points. Hence, closure points are either limit points or isolated points."(p.62)

Lang, Undergraduate Analysis,Chapter6§5Exercises13(p.132) :Rのみならず、ノルムベクトル空間全般。
Lang,ラング現代微積分学』の6章§5練習問題(p.144)には、第13問は未収録。
Let S be a subset of a normed vector space E.
 An element v of S is called isolated in S if there exists an open ball centered at v such that v is the only element of S in this open ball.
An element x of E is called an accumulation point (or point of accumulation)of S if x belongs to the closure of the set S-{x}.
(a) show that "x is adherent to S" ⇔ "x is either an accumulation point of S or an isolated point of S"



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触点の定義 : 数列を用いた表現



【文献】 
 ・彌永『集合と位相II』§1.10閉包(p.167):adherent point
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』定義3.3.4(p.108):閉包は点列で定義。;問題3.3.14(pp.108-109):ε近傍を用いた定義に一致することを証明。


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