中間値定理 intermediate value theoremの証明

要旨

Dで連続2変数関数fは、f (P)f (Q)とすると、D上でf (P)f (Q)の間の全ての値をとる。

設定

平面R2実数2個並べた組 (x,y ) をすべてあつめた集合。
    
これは2次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある
(R2,d) :平面R2に距離dを与えてつくった距離空間。 
     普通は、
     
平面R2ユークリッド距離を与えたユークリッド平面 
     を考える。 
D 平面R2上の弧状連結な点集合
  つまり、
DR2 であり、
  
かつ
  
点集合Dに属す任意の2を結ぶ曲線を点集合S含む
   
D,Eは、弧状連結な2次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
P=(x, y)平面R2上の点集合D属す。つまり、P=(x, y)DR2 
Q=(xq, yq)平面R2上の点集合D属す。つまり、Q=(xq, yq)DR2 
R=(xr, yr)平面R2上の点集合D属す。つまり、R=(xr, yr)DR2 
S=(xs, ys)平面R2上の点集合D属す。つまり、S=(xs, ys)DR2 
   
D属す2次元数ベクトル」といってもよい。


cf. 1変数関数についての中間値定理

[文献]
木『
解析概論』定理12(pp.26-7):証明付
吹田・新保『
理工系の微分積分学6章U-7(p. 161):木と同じ証明付.
杉浦『解析入門II-8-問題13(p.80);解答.(p.405):木と同じ.
高橋『経済学とファイナンスのための数学p.145;

 

f平面R2上の弧状連結な点集合Dで定義された2変数関数。 
   つまり、
f : DR DR2 ) 
       
z=f(P) ( zR, PDR2 ) , z=f(x,y) ( zR, (x, y)DR2 ) 
   
fは「D属す2次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。

定理

2変数関数f (P)f (x,y)が、R2上の弧状連結な点集合Dで連続ならば
弧状連結な点集合D属しかつf (Q)f (xq, yq)<f (R)f (xr, yr)」を満たす限りで任意のQ=(xq, yq),R=(xr, yr)にたいして、
「『
f (Q)f (xq, yq) < c < f (R)f (xr, yr)』を満たす限りで任意の実数cにたいして、
  『
弧状連結な点集合D属しかつf (S)f (xs, ys)=c』を満たすS=(xs, ys)が存在する。」
が成立する。

論理記号で表すと、
f (P)f (x,y)が、R2上の弧状連結な点集合Dで連続
  
( Q,R D ) ( f (Q)<f (R) ( cR ) ( f (Q) < c < f (R) (SD ) ( f (S)c ) ) )

     

戻る

証明

木『解析概論』定理12(pp.26-7).吹田・新保『理工系の微分積分学p.161.
step1:
点集合D弧状連結だから、
弧状連結な点集合D属しかつf (Q)f (xq, yq)<f (R)f (xr, yr)」を満たす限りで任意のQ=(xq, yq),R=(xr, yr)
を結ぶ曲線のなかに、まるごとDに含まれるものが、一つ以上存在する。
Q=(xq, yq),R=(xr, yr)から定まる、この曲線を、Cと置く。 
つまり、
 「『
弧状連結な点集合D属しかつf (Q)f (xq, yq)<f (R)f (xr, yr)
  を満たす限りで
任意のQ=(xq, yq),R=(xr, yr)を結び、
  
かつ
  まるごと
D含まれる
 限りで
任意の曲線を、Cと置く。
Step2:
まず、曲線C全体のC上を辿っていった長さをTとおく。 
次に、曲線
C上を動く動S=(xs, ys)とおき、
曲線
Cの端Q=(xq, yq)から動S=(xs, ys)までのC上を辿っていった長さをtとおく。   
長さ
tの値にたいして、S=(xs, ys)の値がきまる。
そこで、長さ
tからS=(xs, ys)を定める関数を、xs=g (t)ys=h (t)で表すことにする。
すると、
z=f (S)=f (xs, ys) ( zR) は、合成関数z=f ( g (t),h (t)) ( t,zR , 0≦tT ) として表せる。  
ここで、
g h は、閉区間[, T]上連続な1変数関数であり、仮定より、f も曲線Cで連続だから、
合成関数
z=f ( g (t),h (t)) ( t,zR , 0≦tT ) は、閉区間[, T]上連続な1変数関数となる。
ここから
1変数関数についての中間値定理を適用して、
 
f ( g () , h () ) =f (Q) < c < f (R)f ( g (T) , h (T) ) を満たす限りで任意の実数cにたいして   
  
f ( g (t),h (t))=f (S)=c を満たすtが、閉区間[, T ]上に少なくとも一つは存在する
といえる。
したがって、
 
f ( g () , h () ) =f (Q) < c < f (R)f ( g () , h () ) を満たす限りで任意の実数cにたいして   
   
f ( g (t),h (t))=f (S)=c を満たす S ( g (t),h (t) )が曲線C上に、従ってD上に存在する
といえる。  

戻る