その9

ゴール地点までの距離を把握しきれていなくて、最後はセーブしておいた力が少し余っていた。ゴールしたときに余力が残っていたので、ペース配分とか、もっとうまく走ればもっといい結果になっていただろうなぁとか思ったが、レースに「もし」はない。これらは次回以降への課題となる。

ゴール地点で黒いフォントリエストのロードを見かけ、珍しいなぁ永田くん以外にも黒いフォントリエストのロードに乗っている人が来ているのかぁとか思ってよく見たら永田くん本人だった。彼はスタート直後に集団を飛び出して速い集団に付いていったのだが、おれはそれを見ていなかったので、今まで彼が後ろにいると思っていた。これは大きな誤算だった。「まぁ2人ともまだ後ろにいるし」という心の油断があったのも事実だったから。

聞けば彼もつい先ほどゴールしたとのことで、後に発表された結果ではその差約30秒。実は前に見えていた7人くらいの集団に彼がいたっぽい。普段走っていないのに相変わらずいい走りをする。これで普段からトレーニングしていたらもっといい結果が出せるのに、他人事ながらもったいないと思う。

彼がゴール地点で止まっているのでおれも止まろうとしたらスタッフの人にここでは止まらないで、この先の待機所まで行ってくださいと言われたので、そのまま通過した。走りきった達成感と心地よい疲労感に浸りつつ、深い山々の素晴らしい景色を横目に氷玉トンネルへと入っていった。

1km近くある氷玉トンネルの中は暗く、途中カーブしているためにとても長く感じた。トンネルを抜けるとテントがあり、そこでもVAAMドリンクをもらった。できればゴール後でなくて途中の補給所を2ヶ所にして欲しかった…。まぁ次回からは自分でボトル持参するはずなので1ヶ所でいいんだけど。

ここでVAAMドリンクを飲みながらまったりしていると、永田くんがやってきた。彼もVAAMドリンクを飲むと、2人で大内ダムの選手待機場所まで走り出した。

もうレースは終わったので、他の選手もまったりムード。永田くんと談笑しつつのんびりと走っていき、途中で自転車を交換してみた。そしたら彼はおれの自転車があまりにも軽い(走り)なので驚いていた。おれもパーツ交換した直後に感動したものだが、彼の(ロードにしては)重たいロードとのギャップはかなりすごかったようだ。

彼もおれのKLEINのオールデュラ+キシリSSC SLの軽さに感動して、いいパーツに金を出す意味がわかったと言っていた。これを機にホイール交換などしてみては? と勧めておいた。

大内ダムの選手待機場所にやってくると、そこにはテントがあって、郷土料理やVAAMドリンクなどが振る舞われた。坂を上って腹が減っていることもあったが、ここでいただいた食べ物はみなおいしかった。

左が郷土料理「しんごろう」、右が三色団子。どちらも食べかけですが…。肌寒いくらいだったので、暖かいしんごろうはなおさらおいしく感じた。しんごろうと団子とVAAMの入った紙コップを受け取ると両手がいっぱいでアイスが持てなかったので、まぁ後でアイスだけもらいにくればいいか……。

……と思ったのが間違い!! いつの間にか続々と到着してきた選手達でごった返してきて、先ほどまでガラガラだったテント前には長蛇の列ができていた。こりゃアイスだけもらうのにも一苦労だ。

選手待機場所の風景。縁石に腰掛けられるのは、先に着いた人か、たまたま開いていてラッキーな人たち。多くの人はアスファルトに座り込んで食べることになった。レース中はなんとも感じなかったけど、座ったとたんにケツの筋肉が痛かった。しかも3人とも!! ケツ筋が攣りそうになるなんて、自転車ならでは?

永田くんや山田さんが「このアイスうまい」と連発していたので、せっかく来たのにこのアイスを食べないと悔いが残る!! ということで長い行列の後ろ並ぶことにした。

ぬぉ〜、テントはまだ遠い……。途中に置いてあったテーブルには漬け物があり、これもとてもおいしかった。

長い行列に並んでようやくゲットした「じゅうねんアイス」最初にもらっておけばこんなに苦労しなかったんだけど。2人が言っていたとおり、ほんとにおいしかった!!

縁石に座りながら郷土料理を食べていると、隣にいたおじいさんに話しかけられた。なんと79歳のおじいさんレーサーで、その年齢とは思えないほど元気で健康的な肉体をしていた。うちらが23歳だと言うと、「(自分が79歳だから君らは)じゃあまだあと56年は元気でいられるよ」と言っていた。おれもあれくらいの年になってもあのおじいさんみたいに元気でいたいなぁと思った。

ダムの反対側にはのどかな緑の風景が広がる。絵本の中の光景のようだ。

下山のアナウンスがかかる。下山はパトカーが先導し、グループになって下っていく。うちらはしばらく写真を撮りたかったので、まだゆっくりしていた。

なだらかな緑の丘陵の先に、前日に泊まった大内宿の集落が小さく見える。この眺めがとてもよかった。

下山するためにダムの入口付近に向かう選手達。最初に集合がかかってからけっこう待っていたようだ。

先ほどの方向のアップ。大内宿の集落もいいが、手前の細い道もいい味出している。山々に囲まれたのどかな風景、いいねぇ。

再び下山を待つ選手達。MTBのカテゴリーの人たちがチラホラとゴールしてくる。

大内ダム。こうしてみるとけっこう広い。

ダムの南側を通る道から選手待機場所方面。割と新しいダムなのだろう。路面も周りもきれいに整備されていた。

「時空の路ヒルクライムin会津」ののぼり。

だいぶ下山して少し人が減った選手待機場所。報道のテレビカメラに3人で郷土料理を食べているところを撮られたんだけど、その映像はどこで見れるのだろうか……。カットされていてもいいから個人的に欲しい。後、レース中もけっこう報道カメラマンが撮影していたけど、有料でもいいから自分が坂を走っている写真が欲しいなぁと思った。

大内ダムにて。前に同じような感じで撮ってもらっていた人がいて、影響されて3人ともこんな感じの写真を撮った。旗がちょうど横を向いていればベターだったけど。というか撮影する場所が微妙だったかも。でもあの状況では細かいリクエストなんかできなかった。とりあえず貴重な自分が写っている写真でもあり、気に入っている。

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