その6
5/23(日)
ついにレース当日。5時半前にセットした携帯のアラームですぐ起きた。トイレに行ったりコンタクトを入れたりレーパンレージャーに着替えたりといった準備を素早く済ませ、後は朝飯を食べてレース会場に出発するだけだ。
普通なら朝食は7時くらいらしいのだが、今回のレースに参加する人が皆早く朝飯を食べて出発したいと要望したので、朝食を6時に食べれるよう、民宿のおばちゃんたちが努力してくれた。朝飯を食べると宿泊費を払って大黒屋を後にした。一緒に泊まっていた他の参加者の中でも一番先に出発したので、車の駐車位置的にも迷惑にならなくてよかった。
まずは大内ダムまで上り、そして氷玉トンネルを抜けてゴール地点である氷玉峠を過ぎると下りになる。レースコースを下りながら逆試走(車だし下りなのであまり意味なし?)。
心配していた天気だが、雨は上がっていて、雲の切れ目からは青空も見え隠れする。降らないとは言い切れないが、思っていたよりはいい天気みたいで安心した。
コースのハイライトとなるカーブからは、これから走るであろう道が遠くの山肌に見える。「あそこまで行くのか…」と思う事は確実だが、逆にあそこまで行けばゴールは目前だ。
下りの途中、深い緑の中から霧が出ていた。霧が山々を覆っていて、とても幻想的な光景だった。早朝限定で起こる現象なのだろうか。
霧が辺りを覆う中、峠道を下っていく。数時間後に必死になって上るであろうこの道を、3人の愛車を積んだは進む。
幸いな事に、3人とも体調はそこそこいい。山田さんは風邪気味で薬を飲んだりしていたが、朝はそんなに具合が悪そうには見えなかったし、永田くんも普通だった。おれも日々の睡眠不足が溜まっていたが、当日は特に不調を感じず、体調不良による不安はほとんどなかった。
峠を下りきると、スタート地点までのフラットな直線。真っ直ぐな道がどこまでも続く。おれはどちらかと言えばクライマー向けの体格なので、上りには多少有利かもしれないけど平地を飛ばすのは慣れていないし得意ではない。平地をいかに他の人から遅れずに走りきるかがポイントだと思った。
会津本郷町役場に着くと、まだ7時だというのに駐車場はすでに満車状態。かろうじて空きスペースを見つけたからよかったものの、もう少し宿を出発するのが遅かったら変な場所に停める事になったので、早めに出てよかった。
レース会場の雰囲気ははMTBのレースのときに感じているが、ロードでもその雰囲気は同じ。レース会場に自転車好きが集まっている雰囲気って好きだ。皆が自分の愛車を用意し、これからのレースを前にワクワクしている感じが。
会場には高級バイクが次々と現れ、さながらバイク披露会のようだ。きっとどのレースでも似たような感じなんだろうなぁ。コルナゴやトレック5900(5500かも)とか、パッと見では普通のフレームでもコンポが7800デュラとか、様々。うちらの斜め隣に停めてあった車前にシルバーのKLEINのロード(Q-Proかな?)があって、ちょっと嬉しかった。他にKLEINバイクは見かけなかったし。
MTBの部もあるのでMTBもそれなりに見たが、印象的だったのは町役場の入口横でトライアルをしていた2人。普通にトライアルやって遊んでいた。きっとあれで参加するのだろう。そういえば町役場の入口近くには自走でやって来たっぽい旅装備の自転車と青年がいた。
うちらも自転車を組み立て、レースの準備を始めた。工具など必要な道具は全て山田さんが持ってきてくれているので、何かあっても安心だ。
しかしここでトラブル発生!! リアディレーラーの調子がおかしくて、まともに変速できない。恐らく輪行時に変な負荷がかかっておかしくなったのだろう。こんな状態ではレースどころかまともに走れない。焦りながら調整→試走を繰り返し、最後はだいぶまともになった。完璧ではないけど85%くらいはまともな動作という感じ。
あと、このとき初めて分かった事ではないが、致命的なミスがあった。行きの車の中ではすでに気付いていたのだが、ドリンクを入れるボトルを忘れていた。金曜日に仕事から帰ってきてドタドタと慌ただしく準備をしていて、うっかり忘れていたのだ。
レースでなくても水分補給は大切なのに、レース中に水分補給を怠ればベストパフォーマンスは期待できない。特におれは水分の消費が激しいほうなのでこまめな補給が必要な体質。「距離も短いし途中に補給があるから飲み物なんかいらないよ」と同じくボトルを持ってきていない他の2人は楽観的。彼らは元々持ってくる気がなかったようだ。
誰かその辺の人でボトルを余分に持ってきている人がいたら1000円くらい払ってもいいから譲ってもらいたかったが、さすがにそんな人はいなそうだった。500mlのペットボトルはあるが、これをボトルケージに挿すのは初心者丸出しでおれのプライドが許さなかった。おれの装備しているボトルケージだと途中ですっぽ抜けそうだったし。
前夜にセブンで買っておいたアミノサプリのパックが唯一のドリンクだ。これはウィダーインゼリーと同じような形のパック(という説明でわかるはず)で、ボトルに比べたら飲むときに面倒だが、ジャージのポケットに入るので見た目的にもマシだし、ないよりマシ。量的には足りないが、これを節約しながら飲んでなんとか乗り切ろうと思った。
3人とも準備ができると、アップがてら会場の周りを軽く走った。リアの変速の調子はだいぶ良さそうで、このままレースに出ても問題なさそうだ。
会場周辺をグルッと回ると、スタート会場である本郷町民体育館にやってきた。立派なゲートがあって、気分も盛り上がってくる。まだ選手招集の時間ではないが、ちょっと寄ってみる事にした。
会場にはまだ人がまばらだったが、大会関係者が準備を進めていた。そこで、荷物の受付をやっている事に気付いた。頂上までウィンドブレーカーなどの荷物を運んでくれるのだ。何気に荷物受付終了時間が迫っていたので、一旦車の所に戻って荷物を預けにくることにした。
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