その7
車に戻ると、ウィンドブレーカーやレインジャケットなどを預ける用のバッグに詰めた。レース中は写真などを撮れないので、デジカメもバッグに入れた。今思えば、永田くんが持っているEXILIMのような小型・薄型・軽量デジカメならジャージのポケットに入れても負担にならないし、レース中にもちょっとは写真を撮れたかもしれない。
おれのIXY Digital 300aではジャージのポケットに入れるにはデカイし重いしでそんな気にはなれないので、ここからゴールまでは写真が一切なくなった。レース後、おれもEXILIMのようなデジカメをそのうち買おうと決心したのだった…。
荷物をスタート会場に持っていき、スタッフの女の子に預けた。大会スタッフには大きく分けておじさんスタッフと女子高生くらいの女の子スタッフがいるのだが、この女の子達がみんなかわいい!! 大会前に顔で選抜したのかと思ったほどだ。
選手招集時間まではまだ時間があったのでまた車の所に戻って、しばし休んだ。そしてしばらくして招集時間になったのでスタート会場へ。するとすでにかなりの選手が集まっていて、カテゴリーごとに整列していた。
うちらのカテゴリーはロード男子B(15〜29歳)で、すでに20人ほどの列ができていた。その後ろに並んだ。少しして気付いたらうちらの後ろに長蛇の列ができていたので、みな同じような時間にやってきたようだ。
待っている間、他の選手の自転車をチェックしたりしていた。当然ながら皆ボトルを装備している。ボトルを忘れたドジな身としては、他の選手のボトルがものすごく光って見える。2,3人ボトルを装備していない人も見かけたが、彼らは軽量化を狙っているのか?
ボトルを装備していない人で、明らかに70歳は越えているであろうおじいさんがいた。ロードもかなり年期の入った古いタイプ。あんな年のおじいさんが水無しで大丈夫なのかな? と心配に思った。しかし、このおじいさん、顔や腕はシワシワだが、足がものすごかった。かなり筋肉質で、30代の人の足のようだった。
スタート会場にはよりどりみどりのバイクが勢揃いで、雑誌に載っているようなブランドは大抵見る事ができた。TREKのマドン5.9を見かけて「お〜」とか思ったが、もっと驚いたのはMTBだった。明らかに16キロ以上はありそうな、ゴツゴツのMTBがあった。DHとまではいかなくてもフリーライド向けのMTBか。あんな重たいバイクでヒルクライムはきつそうだなぁと思った。ある意味勇者。
MTBはフラットハンドルにタイヤ幅1.9インチ以上という規定があるので、MTBやクロス車に細いタイヤを履かせたバイクはロードカテゴリに入っていた。うちらの前にはそんな感じのクロス車がいた。ヒップバッグを腰に付けているし、サドルバッグなどもついているし、ツーリング仕様そのままという感じ。
ツーリング仕様の人やMTBでも特に軽量化や快適性を求めて改造していないものがけっこうあったが、これはレースでタイムを競うというより、レースそのものを楽しもうという人たちだろう。全員バリバリのローディの本気本気の大会ではなく、こういったエンジョイ派の人たちが気軽に参加できるのも、この大会のいいところであってもらいたい。
開会式が始まると町長や警察署長、実行委員長などの挨拶があり(最初の人の話が長くて後半の人は挨拶を省略するはめになっていた?)、その後、ゲートをくぐってチャンピオンカテゴリーから10人ずつスタート位置へと移動していった。
ここで選手の誘導に手間取っていたりもしていたが、やはり初めての大会で運営がおぼつかないところがあったのだろう。なんとなくその手間取っている光景が微笑ましかったり。次回からは順序よく的確に誘導してください。
スタート位置は県道だが、すでにクローズされていて、車は来ない。10人ずつのグループに区切られてスタート位置に整列していった。前のグループが足りなかったので数人補充することになり、うちら3人はちょうどその中に入って、一緒にスタートすることになった。
最初はゼッケン順に10人ずつスタートすると思っていたのだが、並んだ順にグループが作られていくようだ。これなら仲間で一緒に並べばチームプレイでかなり効率的に走れるだろう。逆に1人や2人単位で参加する人は、同じグループに速い人がいるかどうかが鍵になったり。
車で会場に着いたときは曇っていたが、自転車を組み立てているとどんどん晴れてきて、気温もどんどん上がっていった。最初はアームウォーマー&レッグウォーマーを着けて走ろうと思っていたが、あまりに暑いのでやめてレーパンレージャーで走ることにしたくらいだ。
そんな暑さだったので、まだスタート前だというのに喉が渇いてきた。今こんな状態だから、レースが始まったらきつそうだなぁ思った。まったく、ボトルを忘れるなんてアホだ。ちくしょ〜とか思いつつ、次回からのレースは絶対ボトルを忘れないぞ!! と強く心に誓ったのだった。
整列していると、「計測のバンドは左足につけてください」というアナウンスがあった。前日に受付の際にもらった計測バンドと共に入っていた説明書には「どちらかの足につけてください」とあったので右足に着けていたんだけど…。同じような人がけっこういて、みんなあたふたと計測バンドをつけ直していた。この辺も、次回から徹底してもらいたいな。
計測は足に巻いた計測バンドでスタートとゴールの2ヶ所で計測するので、時間差スタートでも全員が公平だ。大勢で一斉スタートすると、後ろの方の人はスタートラインを越えた時点ですでに先頭の人より時間がかかって不利になるが、これなら安心。10人ずつスタートするのも安全でいいと思う。
沿道には地元の人たちが応援に駆けつけてくれて、「がんばれよ〜」と声をかけてくれた。第一回で知名度もまだ低いこと、そして地方で人口が少ないことなどが考えられるが、やはり沿道にいる人の数は少ない。さすがにツールなどと比べるのは酷だが、いずれはスタート位置の沿道にはにぎやかなくらい応援に来てくれる人で埋まるくらいになってもらいたい。
スタート順は、ロード男子A(Aはチャンピオン)、ロード男子B、ロード男子A、ロード男子Bという感じで2列になったスタートレーンの交互にスタートする。うちらは5番目くらいにスタートするグループにいた。ちなみにロード男子Cや女子、MTBなどのカテゴリーはずっと後で、しばらくして後ろを振り返ると長い列ができていた。
先導者はなんとフェアレディZ。パトカーやその青いZなどの先導が動き出し、午前9時半、号砲と共に記念すべき第1回時空の道ヒルクライムin会津はスタートした。けっこう先の方のスタートなので、スタートの緊張感漂う雰囲気を味わえてよかった。
最初はチャンピオンクラスの10人がスタートして、10秒後にロード男子Aの10人。スタートは10秒ごとなので、すぐ自分のスタートもやってくる。次々に前に並んでいた選手たちがスタートしていき、いよいよ次は自分の番だ。緊張で息をのむ。
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