- 御会式
- 七三二年目となる御会式。この行列は、地域の講(こう)という組織でそれぞれに彩りした万灯(まんどう)と、西身延青年会の纏、そして九州各地のお寺が結集して脈々と息づく伝統である。一ヶ月前からの準備や練習、町内各位のご協力などを経て本日を迎える。ここで、一般参加者が多い青年会の纏での出来事をひとつ。
- 遠方から来ていた小学校五年生の男の子が練習中に中学生達からイジメられた。男の子は辛くて親に相談する。聞いた青年会長が中学生に真相を究明すべく尋ねた。あまりにも可愛い子供だったので「女の子みたい」と言って、からかったとのこと。男の子に謝った中学生の横で、握手を促した大人が両者に告げた。「いずれ社会人になる。やさしくても白黒はっきりする強い子になれ。」後日、学校から怪我で病院に運ばれたとの知らせに驚いた親が男の子に聞いた。「低学年をイジメていた上級生を注意して殴られた」とのこと。大事にならずに良かったと安堵するも、「やさしくおとなしいだけの子供が、善し悪しをはっきりさせる子に成長した」と伝えた親と、それを喜ぶ青年会等の姿があった。当然、親としては、子に変わってでもという祈りが多分にあったに違いない。御会式を通じて、人と人とが勉強しあったエピソード。
- 宗教は「辛く悲しい時にこそ助け合い、栄えていくために正しい道を示す」ものである。科学では決して得ない「心」を根本摂理とする。心の潤いを尊び、ここに勝ち負けや排除は存在しないしさせない。だから慈悲心が生まれる仕組みとなっている。
- 男の子は、本日も笑顔で上級生や仲間と太鼓を叩いている。沿道の皆さんにもそんな御会式を暖かく支え続けて頂きたい。老若男女がふれ合う中で、沢山の子供達へ勇気と希望を与えて頂きたい。未来の日本のために。 合掌
- 平成二十五年十月十四日 うきは市 本佛寺
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