御会式

平成23年10月14日

宗祖730遠忌! 被災犠牲者追悼!

東日本大震災被災者と試練共有で盛大に円成!

 

今年は、豪雨の中、万灯行列を決行し、日蓮聖人のご命日を

参拝者の方々と共に偲び、国難の年に相応しい報恩行事を遂行しました。

  

雨の中、万灯の準備をされる各講中。      青年会は安全祈願

  

歴史上初めての雨。参詣者の心は揺れていたようです。

 

午後4時 730遠忌報恩大法要

  

御前様が式衆各聖に総代会総意にてと、雨天決行をご発表。    その想いをもって私達は大本堂に入りました

  

毎年の法要とは雰囲気の違う堂内。 県外ご寺院檀徒や小倉から真淨寺様などの団参も合掌されていました。

 

山首奉告文言上

  
 奉告文

 南無輪円具足十界勧請大曼荼羅御本尊 南無末法有縁の大導師高祖日蓮大菩薩 当山勧請の諸天善神 殊には永遠大明王 遠龍明王 通遠明王 影現降臨 證知證鑑 哀愁加被

 謹み敬って 本日 宗祖日蓮大聖人御入滅七百三十遠忌 報恩大法要を 一会の大衆と共に厳修し 恩山の一塵 徳海の一滴を謝し奉る

 つらつら当山一年の歩みを顧みるに 大寒波襲う年明けとなり積雪に年頭行事遂行は支障を見るも 寒修行 大荒行堂出迎え団 帰山式等を強情なる信心にて乗り越え春を迎う しかるに 東北関東太平洋沖地震 所謂東日本大震災が三月十一日発生 文字通り未會有の災害 我が国は原発問題も含め大混乱を見る 日蓮大聖人の教義を信奉せる我等本佛寺は 早速に被災地石巻に入り 三陸沿岸にて合掌 救援物資搬入並び復興に尽瘁 せり また西日本新聞社を通じ 寒修行浄財を赤十字基金に寄与し苦惱の一助とす  同じくして筑後川に一升瓶三百本の神酒を奉納注入 被災犠牲者追悼を三度繰り返し御回向 しかるに四月七日再び大余震発生 復旧に湧く被災地を襲う 涙暇なしの祖意これを彷彿とせるの国難的惨状は 何を持って寺院あるかの定義を問われん如き現実を突きつけらる 祈りと何か 利益とは誰の何処を指し成就とするや 大震災以来某 一先祖 一個人の為なるか 全世界の先祖 全人類の救済の為なるかを再び神仏に尋ねん 

 法華経は釈尊が到達されし究極の教義経王にして その趣意はすべての冥助とさる 須くのご加護なり これを持って開せば 己のみの幸いは方便に過ぎず 他者の安寧 他家の先祖供養 これを幹に合掌せることこそが われらの本義といえり されば我が日蓮宗提唱の但行礼拝はかくのごときものなり 大震災よりの信仰信心の有り様を大いに学び給う しこうして本年の当山は 夏には絆を主題に林間学校を開校 次世代に互助を説き 盂蘭盆法要は犠牲者初盆御回向を忝のうし 西身延青年会は大震災特別号機関誌発行し感情表現 また婦人会は総本山身延山久遠寺に団参登詣 総代役員 青年会も同行となり 七十八名が祖廟輪番奉仕を努め 青年会は七面大明神に登詣し共に東日本大震災犠牲者追悼を行う この平成二十三年は 悉く国難対応へと移行し行事を遂行せり 本日 当山最大行事御会式を迎え その大意を持って 水難を仏縁の法雨とし 信仰増進の報恩に擬するのおもいをなす 未だ避難生活余儀なくさる人々 済み慣れし家を追われし人々 今 我ら一欠片でも共有せんと欲す 

 さてはこの信心を持したる 同門教師の輝き後をたたず 早野前篤師 釋迦院再建成就本月落慶を迎う 水城前辰師 西地区参事宗務所副長 更に清正寺復興し住職就任 城戸前竜師 協議員議長就任 平石前勝師 協議員並び円誠寺住職就任 下田前相師 協議員就任 浅井前臣師 初行成満 徳永前啓師ハーバード大学派遣隨行 この門を叩きし僧侶の教団拡張のみならず 教化を目途の活躍は 当山檀信徒先祖の喜びなり それぞれに精励されんこと願いここに祖師に報告す 

 犠牲者追悼を旨に 我等一同 一天四海皆帰妙法祖願達成に心酔を誓い 宗祖御入滅七百三十遠忌 報恩の奉告とす

伏して祈らくは 全人類 殊には本日参詣の善男善女人 檀信徒各位 各々安寧にして所願成就ならしめたまえ 重ねて祈る 各位志す先祖代々の霊 頼る有縁無縁の諸精靈 妙法経力 即身成仏 乃至法界平等利益 南無妙法蓮華経

  維時平成二十三年十月十四日                       

    鎮西身延山 第九世法統 體鵬院日遠 啓白

 

山首ご挨拶

今年も沢山のご参詣まことにありがとうございました。さて、相変わらず外は雨です。当山の歴史にない、また行事ではありえない天候となってしまいました。

この神仏の導きをどう捉えるかを私は試されていました。奉告文でも言上致しましたように、東日本の災害は国難でしょう。報道で見るものと実際の状況は全く

異なる事態であります。そこで、先ほど緊急役員会を開き、「豪雨決行!」を決定致しました。被災地との共有も視野に歩くことと致します。万灯行列は例年通

り奉行致します。ご理解の程宜敷お願い致します。ただし、滑ったり転んだりする危険を伴いますので、高齢者や体調不良の方、乳幼児、小児、妊婦の方などは

参加をご遠慮願います。ここでお待ちになってお題目をお唱え下さい。くれぐれも自信のある方のみにて決行致しますので、ご協力をお願い致します。(略)合掌

教箋を御前様が読まれ、行列の意志を確認されました。 

   

御会式万灯(おえしきまんどう)での絆 

 東日本大震災を宗教的観点から天災と見たとき、神仏は私達日本人に何を伝えようとされたのか。悔しくもガレキと指さされてしまう大切な住居跡や生活空間、更に尊い家族や友を突然失い涙する日々。未だに続く惨状に向き合うと、つい『仏は人に絶対無理とされる苦惱は与えない』の教説を問いたくもなる。

 「度々のご支援感謝しております。万灯は流されたけど御会式準備に奮起しています。東京から万灯と纏が応援に来てくださるそうです。家族で支え合って、被災地域一丸となって頑張っております。」宮城県石巻から手紙と三陸産サンマが沢山入った小包が届いた。力強く、そしてゆっくり確実に前へ進んでいる東日本。  

 今こそ、豊作や健康に感謝し家族で祈ったこと、産まれた命を先祖に喜んで報告したこと、受験合格を願ったことなどを含め、この御会式趣旨の「報恩」の深さを再考したい。精一杯生きている姿を、涙をこらえ頑張っている私達を、仏様はご覧になりご存じなのだから。

 それをたたえて仏様は、『要は善知識からなる』(苦しい時に得た知識こそ本物である)と仰せになられているのである。生き抜いてこそ人生。無理とされた惨状から、手を繋ぎあい、今も復興再生に踏ん張っている日本人が多くいる事実を支えとしよう。 

 全国各地で行われている御会式は、その年ごとにテーマがあるように思えてならない。『絆』 これは苦しい時にのみ生まれるのではなく、不断にもあるべき精神である。伝統行事や祭りにはそれが満ちあふれている。

 命の躍動を表現する御会式。毎年のご協力、ありがとうございます。                      合 掌

平成23年10月  うきは市 西 身 延  本 佛 寺                 

午後7時 吉井町白壁交流広場

    

全員のカッパをそろえ、準備万端の西身延青年会。

    

万灯にビニールを纏い、これも準備万端の題目講。

    

さああ、初めての雨!初の体験! いざ、出発!

    

東日本がんばれ!

  

九州から、声高く、お題目! 自然との共生を体感する参加者。

   

沿道でも声援があがる。本佛寺の初体験は、随所でも驚かれていました。

   

豪雨となり、一層厳しい状況となった行列。それでも4キロを歩き通しました。

    

ひたすら歩き、午後8時本佛寺に到着!

  

全員が心を一つに神仏に祈りました。「日本万歳!」

  

子供達のエネルギーが参詣者の心を打ちました。次世代にたくす未来は明るいものでしょう。

  

フィナーレで田中会長が撃を飛ばし、最後の力を振り絞って纏をふり続ける青年会。   見守る僧侶の方々。

御前様謝辞「よくぞやって戴きました。着いてきてくださいました。50年前、実は当山は一度だけ万灯行列を中止した経験があります。その年

西日本大災害すなわち昭和28年の水害に見舞われました。今年日本は大けがをしております。そんな中、試練を与えて頂き被災を共有するか

の如き御会式となったことは、絶対に忘れない証と言えるでしょう。私の住職としての不徳の致す所もございましょうが、是非、この御会式を

信仰修行とさせて戴き、円成致しましたことに深く深く感謝致します。(略)子供達も一生懸命やってくれてありがうございました…。」  

      

お疲れさまでした。

      

御真骨御開扉大法要

    

    

こうして、前代未聞の御会式行事を終えました。私達は絶対に記憶から離れない経験を平成23年にさせて頂きました。

この体験をどう受け止めるか、それぞれに考える課題を得た御会式でした。

 

ご覧戴きありがとうございました。是非来年も宜敷お願いします。

前臣

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