- 御 会 式
- 今年も七二五年目の御会式を迎え、皆様のご協力を頂戴し万灯行列を行っています。
- 近ごろ『格差社会』という言葉をよく耳にします。これにはどうもよい印象を持ちません。本来『格』とは、おもむきなどの心持ちを表した語であり『格式』『品格』『格言』…で精神面の強さ清らかさを文字として示したものです。金銭主義が当たり前となりつつある現在だから恐らく『格』を金銭とイコールで表現しているのでしょう。
- さて、私達の国には言葉から読みとれる文化があります。「おえしき」とは会う時であります。私達の開祖日蓮聖人が亡くなり、鎌倉中の人々は悲しみました。会いたい会いたいと考え続けた民衆が創ったのが『御会式』で、日蓮聖人の命日に「こんなに幸せです」と賑やかに表現したお祭りをすれば会えると考えたのだそうです。理論ではなく真心からの発想です。これは経典中の「天人常充満」からも伺い知れる事柄で、「苦しいから助けてください。」と祈るところを、逆の行動に出た訳です。結局、今日のような幻想的風物詩となり、江戸庶民の宗教を超えたお祭りとして励行されこうして全国に広がりました。街の皆様にもご理解を頂き、警察等各機関へもお手を煩わせておりますが、『いのち』が持っている生命力を体現しながら、生きているからこそ出来る先祖への感謝表現を共に「格」別な想いで、お迎え賜れば幸甚です。
合 掌
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平成十八年十月十四日 西身延本佛寺
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