- 御会式教箋
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- オエシキは私達日蓮宗の開祖日蓮聖人のご命日に行われているオマツリです。今から七二三年も昔の出来事をこうして続けています。
- 日蓮聖人は当時、近頃頻繁に起こる自然災害(台風・地震・伝染病)を天罰とお考えになりました。すなわち「不安」に陥った國民を励まそうとされたのです。この「不安」は恐怖という人間の基本的な感情を膨らませていくことで形成されるものです。恐怖とは何らかの対象があるから生まれます。その時代の恐怖は暴風と飢饉そして疫病でした。昨今は科学の発達によりその恐怖を取り除けないかと人間の知恵を絞って努力しています。しかし何時の世もこれに基づく「不安」は消えることなく流れています。家庭不安や経済不安そして今の年金不安などがそれでしょう。この「不安」を「安定」に導くのが本来の宗教観なのです。喜怒哀楽の感情の起伏という人間の本質をスムーズに出来るよう促すのです。そこには詳細な理論や定義はあまりなく、ただひたすらに精神を統べて大きな力に祈ることが柱としてあります。この提燈行列は最も解りやすい行動ではないでしょうか。少なくとも私達はそう信じて歴史を重ねています。毎年沿道にて合掌して下さる皆様には心から感謝しております。変わらぬご理解有り難うございました。
合 掌
- 平成十六年十月
西身延本佛寺
御会式や 油のような酒 五升
松尾芭蕉
山門の上に月あり日蓮忌
せいそん
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