■石神井公園駅周辺地区まちづくりへの提言

目次
I. はじめに
II. まちづくり協議会活動の経緯
III. 石神井のまちは
IV. 検討テーマの設定
V. まちづくりへの提言


交通について


土地利用について


まちの活性化について


地域コミュニティについて
VI. おわりに
VII. 添付資料


まちづくり協議会開催記録


まちづくり協議会会則


地域への広報活動等


データ資料
VIII. 提言にあたって

V.まちづくりへの提言

4.地域コミュニティについて

まちづくりは、道路や公園などの公共施設を整備するだけではなく、そこに住む人々の生活・活動の質を高めることが重要である。
現在の地域コミュニティは、従来の「町会的な活動」と、住民が、住んでいる区域にとらわれず自由に、自主的、主体的に組織する「地域活動」とが、重なるかたちで形成されている。「町会的な活動」と「地域活動」が互いに補うことにより、良好な地域コミュニティを形成していくことが可能となる。協議会では、新しい活動である「地域活動」について、検討を行った。
地域活動とは、(その種類と性格)
  1. 芸術から趣味に至るまでの幅広い文化活動
  2. スポーツ競技から健康維持までの幅広いスポーツ活動
  3. 初めての子育てや親の介護に直面し困っている人、一人暮らしのお年寄り等に験者等が助言や手助けを行う相互扶助活動
  4. まちづくり、リサイクル、災害ボランティア等の社会貢献活動等
これらは、基本的に自主的、主体的な活動であり、自己実現活動であるが、結果的に地域コミュニティの質を向上させ、目標とする地域コミュニティの実現に重要な役割を果たす。地域活動は公益的な役割を果たし、行政サービスを補完する。

例えば、相互扶助活動は、後述する「(2)目標とする地域コミュニティ」における第一の助け合う、安心の地域コミュニティの実現に、社会貢献活動は、第二の広義のインフラに恵まれた地域コミュニティの実現に、幅広い文化活動やスポーツ活動は、第三の生きがいを探し、生活を楽しむことのできる地域コミュニティの実現に、それぞれ重要な役割を果たす。

しかし、地域活動は、強制することは出来ないし、契約によって義務付けるような性格のものでもない。
従って、地域コミュニティづくりにおいて重要なことは、地域活動を支援することであり、「地域活動がやりやすい環境」を整えることである。

(1)地域活動の現況

石神井公園駅周辺で活動している団体の数は以下のとおり。


生涯学習団体区民館等女性センター小学校
文化活動 174 331 236 35
スポーツ活動 181 194 20 34
相互扶助活動 55 104 177 39
社会貢献活動 23 10 29 20
433639462128
注:区民館等には、区民館、地区区民館、地域集会所、勤労福祉会館、ボランティアコーナー、石神井児童館を含む。
なお、それぞれの団体の活動内容の詳細は不明であり、分類は暫定的。

(2)目標とする地域コミュニティ像と提案

1)目標とする地域コミュニティ像
地域コミュニティは、私達が最も多くの時間を過ごす生活の場であり、住民の心と心が様々な「きずなの網」によってつながっている社会である。私たちが目標とする地域コミュニティの姿は、具体的には、以下のとおりである。
  • 第一に、生活の様々な局面で困った時、自助努力だけでは足りない時に、助け合い、互いに手を差し伸べあう地域コミュニティ。心やすらかに、安心して生活できる地域コミュニティ
  • 第二に、水と緑、お寺や神社や史跡、交通の便、良き隣人等の自然環境、歴史環境、生活環境に恵まれ、必要な社会的ルールやシステム等を備えた、という意味での広義のインフラに恵まれた地域コミュニティ
  • 第三に、生きがいを探し、生活を楽しむことのできる地域コミュニティ
2)地域活動に係わる課題と対応の方向
1.情報の収集、整理、提供
地域活動に関する「情報の共有化」を図ることが重要である.地域コミュニティの中で行われていることについての情報を共有化し、それが自分にも開かれていることを知って始めて、地域コミュニティに所属している意識が芽生え、地域コミュニティの豊かさを感じることができる。
  1. 地域活動情報(基礎的情報)の収集、整理、提供
    地域活動の基礎的情報については、現在、かなりの部分が、施設毎に登録・届出と言う形で収集されており、その他については別途収集する必要がある。
    これらの情報を一元的に整理・総合化する必要がある。現在は、それぞれの施設が別々の組織系列に在ることから、それぞれの組織系列ごとに管理されており、一元化は困難な状況にある。改善を必要とする。
    一元化された情報を、一般住民が容易に検索し、必要な情報を印刷し、取り出すことができる(将来的にはインターネットで検索できる)ようにする必要がある。例えば、今春、駅北口にオープンする石神井公園区民交流センターの情報コーナーのパソコンで検索でき、取り出せるようにしたい。

  2. 地域活動の動きを、定期的に地域ニュースとして提供する必要がある。
2.新たな地域活動を志す人や地域活動を推進する人への直接的な支援
地域活動の準備をするためには、打ち合わせの場所、準備のための設備・機具・材料、ロッカー等が必要になる。今春、駅北口にオープンする石神井公園区民交流センターには消費者団体のための活動室が計画されているが、地域活動団体のためにも同様な活動室が必要である。

3.地域活動の舞台となる施設の整備・充実とその運営の改善
  1. 施設の整備・充実
    地域活動の舞台となる施設が不足している。それら施設の整備をするとともに、新たに、中高生のための「青少年センター」(仮称)、0〜3歳児のための「乳幼児館」(仮称)等の整備について検討する必要がある。
    また、今ある施設の利用者サイドからの見直し・改善等を進めるとともに、石神井プールの温水プール化を進め、夏以外一年のうち大部分の期間利用されていない施設の活用を図る必要がある。
    同時に、日銀運動場(クラブハウスを含む)、TEPCOプラザ石神井等の民間施設の活用を強化し、開放機会の拡大等を図る必要がある。

  2. 運営の改善 ―― 統一的な運営
    管理各施設は、縦割り行政の予算と制度によって整備され、運営されている。それによって施設運営の無駄が生じ、利用者が不便をこうむることの無いよう、地域毎に設けられる主体によって統一的な運営管理が行われるよう改善する必要がある。

3)石神井に求められる「豊かなコミュニティ創造機能」
  1. 「石神井生活情報センター」(仮称)を開設し、以下の役割を果たす。

    • 各施設、各活動団体に関する情報提供、利用相談、申し込み受付など
    • まちの情報提供・・・石神井公園NOW、話題のお店、話題の人など
    • 困りごと相談・・・「どうしたらいいの」、「どこへ行けばいいの」など
    • まちの学校・・・街の達人、元気シニア等の登録・養成・派遣など

  2. 「かるがも便り」をベースに、まちの情報の厚みと幅をつけ、広くコミュニティの動きを知らせる「地域ニュース」をつくる。街の特派員を組織化する。

  3. 総合型地域スポーツクラブ(SSC)石神井を育成推進する委員会を組織し、青少年にスポーツに親しむ機会を与えるとともに、シニアの健康増進と疾病予防の推進を図る場の提供を目指す。

  4. 地域コミュニティの「きずなの網」を広げる潤滑材になる地域通貨「カルガモ」(仮称)について、調査・研究を始める
4)行政に期待する役割
まちづくりは行政と住民の共同作業であるが、地域コミュニティに係わる分野においては、行政と住民とが、同じ課題の解決に向けて相互に補完する関係で行う共同作業の場合が多い。その場合、行政のできる範囲を正確に把握し、足らざる部分を住民が補完するシステムづくりが重要になる。

そのためには行政が地域に常駐し、住民と緊密な連携プレイができるようにする体制が必要であり、その際行政は、常に地域にあって地域の状況を把握し、定期的に「石神井生活情報センター」(仮称)と連絡を取り、必要に応じて地域コミュニティに協力を求め、それに応える地域活動を積極的に支援し、住民による補完システムが効率的に機能するよう目配りする必要がある。

地域にあっては、行政は縦割りの行政目的に偏ることなく、地域コミュニティの立場、住民の立場に立った総合行政を行うことが大切であり、総合行政の体制を整えることが必要である。また各種施設の運営管理についても、無駄をなくし、住民の利便を図るため、一元的、体系的な体制を整える必要がある。

情報の管理において、公開を前提に収集した情報については、縦割りの行政目的を超えて、地域コミュニティ活性化のために活用できるよう、一元的に整理・総合化し、利用に供する必要がある。また、地域ニュースの発行についても積極的な役割を果たす必要がある。 地域コミュニティ行政を推進する主体として、以上のような機能を兼ね備えた「地域コミュニティ総合センター(仮称)」を設置するよう、区の行政組織の再編が求められる。


図:地域コミュニティの概念図 地域コミュニティの概念図
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2002年(平成14年)3月
石神井公園駅周辺地区まちづくり協議会
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