■石神井公園駅周辺地区まちづくりへの提言

目次
I. はじめに
II. まちづくり協議会活動の経緯
III. 石神井のまちは
IV. 検討テーマの設定
V. まちづくりへの提言


交通について


土地利用について


まちの活性化について


地域コミュニティについて
VI. おわりに
VII. 添付資料


まちづくり協議会開催記録


まちづくり協議会会則


地域への広報活動等


データ資料
VIII. 提言にあたって

V.まちづくりへの提言

2.土地利用について

石神井公園駅周辺に住んでいる人々にとって、良好な住環境で住み続けられるかどうかというのは重要な関心事である。現状の問題点と目指すべき街並みを考える際に、どの区域が居住地区でどの区域が商業地区なのかを明確にする必要があるため、地区全体の土地利用を検討し、住環境についてのまちづくりの方針を提案する。しかしながら石神井地区のまちづくりの基礎となる土地利用計画や基盤整備の問題はこの協議会だけで結論が出せるものではないだろう。今後さらに個別テーマごとに行政と住民が一体となって議論を深めていく必要があると思われる。

(1)地区の現況

練馬区西部の地域拠点の1つとして位置づけられている石神井公園駅周辺地区ではあるが、練馬区の他地域と同様、駅を中心に周辺の農地が無計画に宅地化されたまちであり、西武鉄道連続立体交差化、道路網等の基盤整備が立ち遅れたことは否めない。
以下にあげる駅周辺地区の土地利用上の問題の多くが、道路等基盤整備の遅れによるものである。効率的土地利用を推進するうえで適切な土地利用計画に沿った基盤整備を行うことが重要である。
1)問題点
  1. 駅周辺地区の土地利用状況が容積率制限をはるかに下回っており、効率的に土地利用されていない。裏通りでは、駐車場などの空地が目立ち、空洞化が進んでいる。
  2. 商業施設、業務施設、住宅施設、工業施設などの用途の混在が見受けられる。
  3. 未整備の都市計画道路予定区域については、建築規制により、古い建物が更新されていないところがある。
  4. 街並みが不揃いで雑然としており、石神井の特徴ある街並みが形成されていない。
  5. 建物の不燃化が不十分であり、なおかつ延焼遮断帯が未形成の現状では災害に弱いまちといわざるを得ない。
  6. 電柱電線の存在は、景観上、防災上の課題である
  7. 駅前広場が整備されておらず、駅周辺地区の求心力あるまちの核となっていない。
  8. 公共の公園、緑地が少ない。
  9. 南口地区の区画内には4m未満の細街路のエリアがあり、緊急車両の進入が困難など防災上の問題がある一方、北口地区では駅前再開発が進行しており、引き続き都市計画道路の整備が予定されている。これにより、まちの骨格が整備され、効率的土地利用の条件が整いつつある。
土地利用の空洞化その1 土地利用の空洞化その1
写真:土地利用の空洞化
南口駅前の街並み(現況)
写真:南口駅前の街並み(現況)

資料:指定容積率が充分使われていない地域
指定容積率が充分使われていない地域
凡例:
<建物階数>建物2階建て2階建て  建物1階建て1階建て
<用途地域>建物2階建て商業地域  建物1階建て近隣商業地域


資料:地区内の緑地・公園
地区内の緑地・公園

(2)土地利用に対する提案と課題

1)土地利用の方針
駅周辺地区の効率的土地利用を図るための基盤整備計画、建物規模や業種をそれぞれの適所に配置したゾーニングによる土地利用計画をたてる必要がある。過度の高度利用は住環境破壊、交通破綻、自然環境破壊などを招くことになる。どの程度の高度利用を求めるか、あるいは許容するかということは、地権者や周辺住民が参加する協議会の場を経て、定めていくべきものと考える。したがってここで提案する土地利用のイメージはあくまでも、その議論のための「たたき台」として位置づけたい。

<土地利用の方針>
  1. 建物規模用途別のゾーニングによる土地利用計画は「将来計画」という性格上、既決定の都市計画道路ができることを前提として検討する。
  2. 土地利用の効率化を図り、各ゾーンにおいて適度な高度利用が可能となるようにする。課題:どの程度の高度利用が適切かを検討する(住民の意思を反映するためのプロセスが必要)
  3. 富士街道のような東西方向道路の場合、北側隣接地区への日影に配慮して建物の高さ制限を行う。
  4. 石神井の歴史、文化、自然などを感じさせるような石神井らしいまちにする。課題:石神井らしいまちとは何かについて議論を深める。
  5. すっきりとした街並み・景観を形成し維持、発展させるための仕組みを持つ必要がある。
  6. 地震、火災、台風などの災害に強いまちにする。
2)めざすべき街並みのイメージ

1.北口再開発地区


現況:市街地再開発事業中
街並みのイメージ:低層部に商業、業務、公益、高層部に住宅が複合した超高層(33階建て)

2.駅前広場隣接地区


現況:建物用途が混在している(専用店舗、店舗併用共同住宅、業務施設)
都市計画道路による建築規制があり建物が更新されていない(低未利用地)
街並みのイメージ:商業、業務施設が中心に立ち並ぶ 中高層(7〜10階程度)
整備の方向性:土地の有効利用、高度利用、商業、業務集積、建物の共同化
課題:大規模敷地における大型開発の誘導
景観に配慮した街並み誘導(ペンシルビル防止等)
道路整備にともなう沿道土地利用

3.商店街地区


現況:店舗併用住宅を中心とした商店街が形成されている
街並みのイメージ:中層、低層部に商業施設が立ち並び商店街を形成(5〜7階程度)
整備の方向性:建物形態に関するルールづくり、不足している業種の誘致店舗併用住宅における住環境の確保
課題:連続性を持った商店街の整備、良好な住環境の整備

4.富士街道沿道・補助132号線沿道(北口地区側)地区


現況:建物用途が混在している(業務施設、専用店舗、店舗併用住宅、共同住宅)
道路幅員の広い場所は3階建て以上が多く、狭い場所は2階建てが多い
街並みのイメージ:中高層(7〜10階程度)
低層部は商業・業務施設が中心で、高層部は共同住宅(駅周辺は高層部も商業・業務施設もあり得る)
整備の方向性:都市計画道路沿道の高度利用促進、北側隣接地区への配慮

5.補助132号線沿道地区(南口地区側)


現況:緑豊かな住宅地である
街並みのイメージ:中層、共同住宅が中心で低層部は商業施設がある(4〜7階)
整備の方向性:石神井公園への快適な歩行者空間にふさわしい土地利用
店舗業種:飲食店、文化的な専門店等
建物低層部における建物用途規制、都市計画道路沿道の高度利用促進


石神井公園から見た街並み(現況)
写真:石神井公園から見た街並み(現況)

6.住宅地区I


現況:住宅(戸建てと共同住宅が混在)が中心。一部店舗、工場などが混在している地域がある
街並みのイメージ:中層あるいは低層(2〜3階)
整備の方向性:用途、高さの規制(良好な住宅地として)
土地の有効利用(中層化を誘導するには基盤整備が必要)
課題:良好な住環境の確保

7.住宅地区II


現況:2階建て中心の住宅地
街並みのイメージ:低層、戸建て住宅地を中心とした低密度の住宅地
整備の方向性:建物の用途・高さの規制、専用住居系の用途にする
建ぺい率、容積率の制限


図:土地利用方針(図をクリックすると拡大します〔234kb〕)
土地利用方針 クリックで拡大

凡例
検討地区検討地区
北口再開発地区北口再開発地区
駅前広場隣接地区駅前広場隣接地区
商店街地区商店街地区
富士街道沿道・補助132号線沿道(北口地区側)地区富士街道沿道・補助132号線沿道(北口地区側)地区
補助132号線沿道地区(南口地区側)地区補助132号線沿道地区(南口地区側)地区
住宅地区I住宅地区I
住宅地区II住宅地区II

3)緑地・公園「緑の保存と創出」

1.主要道路沿道地区


・街路樹の樹種選定や維持管理への住民参加
・光和小学校と石神井公園をむすぶ生物回廊としての街路樹や生け垣などの整備(補助132号線)

※用語説明【生物回廊】
野生生物が自由に移動できるように街路樹や生け垣などの自然環境をつなげた経路のこと。

2.駅前地区


・北口駅前広場への植樹
・南口の銀杏の木の維持保存

3.商店街地区


・ポケットパークの設置
・屋上緑化の推進

4.住宅地区(住宅地にふさわしい空間づくり)


・街区公園の整備(子育て環境、高齢者の憩いの場)
・生け垣化の推進(助成金の活用)
・現存する樹木を維持するなど私有地の緑の保全(助成金の活用)
・土のままの公園
・駐輪場を高架下に移設しその跡地のポケットパーク化の検討

5.神社・公園:現存する巨大樹木について


・子育て地蔵の銀杏の木(児童公園をまちに開かれたミニパークへ)、和田稲荷神社、大鷲神社


子育て地蔵


写真:子育て地蔵
4)街並み・景観

1.駅前、商店街、主要道路沿道地区


・電線類の地中化
・石神井らしい街並みに関するルールづくり
  (色彩、形態、サイン計画など)

2.住宅地地区


・良好な住宅地に誘導するためのルールづくり
5)バリアフリー(ユニバーサルデザインによるまちづくり)

1.駅


・エレベーター、音声誘導装置、点字ブロック、だれでもトイレの設置

※用語説明【だれでもトイレ】
障害者から赤ちゃん連れの母親までだれでも気軽に利用できる多目的トイレのこと。

2.商店・業務施設


・段差の解消、車いすの通れる通路、音声誘導装置(入口)の設置

3.公共施設


・段差の解消、音声誘導装置(入口)、だれでもトイレの設置

4.道路舗装


・凹凸のあるインターロッキングをやめて全ての人に優しい平滑な舗装とする

5.歩行者用滞留施設


・街角のあちこちに、休憩したり立ち話ができるようなミニパーク等を設ける(都計道の残地利用等)
6)防災防犯「災害・犯罪につよいまちをつくる」

  1. 延焼遮断帯の整備(道路拡幅と沿道建物不燃化)
  2. 細街路の拡幅、隅切の徹底(緊急車両が通れるように)
  3. 防災拠点の確保(防災倉庫、防火水槽、ポケットパーク、街区公園(広場)等)
  4. ブロック塀の生け垣化推進
  5. 看板などの頭上落下物の防止
  6. 電線類の地中化
  7. 建物の不燃化推進
  8. 違法建築の取り締まり強化
  9. 耐震診断の推進
  10. 区画街路に緊急車両が通れるようにする
  11. コミュニティの監視力の強化
  12. ソフト面の対策
    情報共有・啓発(高齢者居住場所、避難場所)
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2002年(平成14年)3月
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