概要
「はしがき」から引用する。
本書は,できるだけ多くの人達にもっと多様体に親しんでいただきたいという意図で, 筆者の弘前大学数学教室における二年次,三年次の学生を対象とする講義の内容をもとにし,平易に, しかしあまり厳密さを失わないように留意して書かれた多様体への入門書である.
多様体にたどりつけない
私は頭が悪いから、多様体にたどりつけなかった。
集合等式の練習
p.5 に集合についての等式がある。これを練習しよう。
定理 1.2.1 `X` を一つの集合,`A sub X, ccA = {A_lambda; lambda in Lambda} ` を `X` の部分集合族とするとき,和集合,共通集合および差に関して次の等式が成立する.
`a in A uu ( nnn_(lambda in Lambda)A_lambda)` であるための必要十分条件は `a in A` または `a in nnn_(lambda in Lambda)A_lambda` なることである. ここで `a in nnn_(lambda in Lambda)A_lambda` は「`AAlambda in Lambda : a in A_lambda`」 だから「すべての `lambda` に対して `a in A_lambda`」 と同値である.すなわち
`a in A uu( nnn_lambda A_lambda)`
`hArr a in A` または `AAlambda in Lambda : a in A_lambda`
`hArr AA lambda in Lambda : a in A uu A_lambda`
`hArr a in nnn_(lambda in Lambda)(A uu A_lambda)`
`a in A nn ( uuu_(lambda in Lambda)A_lambda)` であるための必要十分条件は `a in A` かつ `a in uuu_(lambda in Lambda)A_lambda` なることである. ここで `a in uuu_(lambda in Lambda)A_lambda` は「`EElambda in Lambda : a in A_lambda`」 だから「ある `lambda` に対して `a in A_lambda`」 と同値である.すなわち
`a in A nn( uuu_lambda A_lambda)`
`hArr a in A` かつ `EElambda in Lambda : a in A_lambda`
`hArr EE lambda in Lambda : a in A nn A_lambda`
`hArr a in uuu_(lambda in Lambda)(A nn A_lambda)`
`a in A - uuu_(lambda in Lambda)A_lambda` であるための必要十分条件は `a in A` かつ `a !in uuu_(lambda in Lambda)A_lambda` なることである. ここで `a !in uuu_(lambda in Lambda)A_lambda` は「`EElambda in Lambda : a in A_lambda`」 の否定だから「すべての `lambda` に対して `a !in A_lambda`」 と同値である.すなわち
`a in A - uuu_lambda A_lambda`
`hArr a in A` かつ `AAlambda in Lambda : a !in A_lambda`
`hArr AA lambda in Lambda : a in A - A_lambda`
`hArr a in nnn_(lambda in Lambda)(A - A_lambda)`
`a in A - nnn_(lambda in Lambda)A_lambda` であるための必要十分条件は `a in A` かつ `a !in nnn_(lambda in Lambda)A_lambda` なることである. ここで `a !in nnn_(lambda in Lambda)A_lambda` は「`AAlambda in Lambda : a in A_lambda`」 の否定だから「ある `lambda` に対して `a !in A_lambda`」 と同値である.すなわち
`a in A - nnn_lambda A_lambda`
`hArr a in A` かつ `EElambda in Lambda : a !in A_lambda`
`hArr EE lambda in Lambda : a in A - A_lambda`
`hArr a in uuu_(lambda in Lambda)(A - A_lambda)`
ベクトル空間の練習
「2 章 ベクトル空間」の演習問題[Ⅱ]が pp.49-50 にある。
1. 実数を係数とする次数が 4 次以下の多項式全体からなる集合を `V` で表す.`V` は普通の和と実数倍に関し,5 次元のベクトル空間になることを示せ. さらに,`W = {f in V; f(1) = 0, f(2) = 0}` は `V` の部分ベクトル空間なることを示し,`W` の一つの基底を求めよ.
まず前半を解いてみよう。`V` の二つの元を `f, g` とする。`f, g` を実数 `a_0, a_1, cdots, a_4, b_0, b_1, cdots, b_4` を使って次のように表す。
`f(x) = a_0 + a_1x+a_2x^2+a_3x^3+a_4x^4`
`g(x) = b_0 + b_1x+b_2x^2+b_3x^3+b_4x^4`
これらの和は次のようになる。
`(f+g)(x) = (a_0+b_0) + (a_1+b_1)x+(a_2+b_2)x^2+(a_3+b_3)x^3+(a_4+b_4)x^4 = c_0 + c_1x+c_2x^2+c_3x^3+c_4x^4`
となる。またスカラー倍は次のようになる。
`(alpha f)(x) = (alpha a_0) + (alpha a_1)x+(alpha a_2)x^2+(alpha a_3)x^3+(alpha a_4)x^4 = c_0 + c_1x+c_2x^2+c_3x^3+c_4x^4`
これらは、`V` が和とスカラー倍の演算について閉じていることを表している。また、`V` は本書 p.36 にあるベクトル空間の定義 2.1.1 にある条件、 すなわち (Ⅰ.1), (Ⅰ.2), (Ⅰ.3), (Ⅱ.1), (Ⅱ.2),(Ⅱ.3)の条件を満たしている。よって、 `V` は基底 `{1, x, x^2, x^3, x^4}` からなる 5 次元のベクトル空間である。
後半はノーヒントでできる自信がない。3.7 `RR[x]_n`
の部分空間(tau.doshisha.ac.jp) を参考にしてやってみる。
なお、このリンク先の例 3.36 の主張は(…)は `RR[x]_3` の部分空間ではない.
となっているが、正しくは《(…)は`RR[x]_3` の部分空間である.》だと思う。
`W` は `V` の部分集合であることは明らかである。次に、`W` がベクトル空間の定義を満たしていることを確認する。(Ⅰ.1), (Ⅰ.2) はいいだろう。(Ⅰ.3)に相当するのは、 零元(零ベクトル)と逆元の存在である。零ベクトルは `f(x) = 0` (0 のみをとる定数関数)である。`f(x)` の逆元は `-f(x)` である。(Ⅱ.1), (Ⅱ.2),(Ⅱ.3)の条件も大丈夫だ。 そして `W` が和とスカラー倍について閉じていることを確認する。まず和について、`f, g in W` とする。`f(1) = f(2) = 0, g(1) = g(2) = 0` である。このとき、
`(f+g)(1) = f(1) + g(1) = 0 + 0 = 0`
`(f+g)(2) = f(2) + g(2) = 0 + 0 = 0`
が成り立つ。よって、`f + g in W` である。次にスカラー倍については、任意の `alpha in RR` について、
`(alpha f)(1) = alpha (f(1)) = 0`
`(alpha f)(2) = alpha (f(2)) = 0`
が成り立つ。よって、`alpha f in W` となる。よって、`W` は `V` の部分空間である。
`W` の一つの基底だが、`W` の元は具体的に `(x-1)(x-2)(a_0+a_1x+a_2x^2)` と表せることから、`{(x-1)(x-2), x(x-1)(x-2), x^2(x-1)(x-2)}` でよいと思う。
誤植
p.19 上から 9 行目、これを Rn
における通常の位相よとぶ.
とあるが、正しくは
《これを Rn における通常の位相とよぶ.》
だろう。
数式記述
このページの数式は MathJax で記述している。
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書誌情報
| 書名 | 多様体入門 |
| 著者 | 畠山洋二 |
| 発行日 | 1976 年 10 月 4 日 |
| 発行元 | 森北出版 |
| 定価 | 2400 円(本体) |
| サイズ | A5版 |
| ISBN | 4-627-00410-9 |
| その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |