「まえがき」から引用する。
常識常識と授業中に吹きこまれ,さっぱり常識にならないうちに単位をとって, 卒業後,生のデータに取り組まざるを得なくなった人が,いかに多いことか.
「チコちゃんに叱られる」の語りみたいだな。
章末には問題がある。これらの問題の一部に関して、「解答およびヒント」が巻末にある。
本書ではσ 集合体を定義している。また、ボレル集合体も小さな字であるが定義している。 σ集合体には `frA` という文字を当てているので、やはりしっかりした本だ。
p.55 では確率変数の和の分布を取り扱っている。次の記述がある。
特に `X, Y` が独立で,それぞれの周辺確率密度関数を `f_1(x), f_2(x)` とすれば
`g(u) = int_-oo^oo f_1(x)f_2(u-x)dx`.この右辺を `f_1(x)` と `f_2(x)` の重疊(convolution)という.
この疊の字に驚いた。索引では、「重畳」となっている。
本書の 3 章「推定」や 4 章の「検定」では、「仕切り」という語が頻出する。たとえば、 p.92 の次の例をみてみよう。
例 ある量産製品の仕切りの大きさを `N`,その中にふくまれている不良品の数を `M` とする. この中から任意に `n` 個抜き取ったとき,その中にふくまれている不良品の数を `r` とおくとき,
- 平均 `E(r//n)`,分散 `V(r//n)` を求めよ.
- `M, N-M` ともに `n` にくらべて非常に大きいとき,`r` の確率分布はほぼ二項分布となることを示せ.
この仕切り
とは何か、生産者が卸業者に販売する価格でもないし、相撲の立ち合いでもないし、
しばらくわからなかったが、
ふと、これはロット(lot)の訳語ではないかと思い至った。
p.165 にある「解答およびヒント」では、(比較的やさしい問題については,解答を省略した)
とある。
解答がない問題をやってみよう。p.34 にある問題 1 をやってみる。
1. `Omega = {0, 1, 2, 3, 4, 5}, A= {1, 3, 5}, B = {0, 1, 2}, C = {0, 2, 4}` なるとき, 次の集合内の要素を書け.
(1) `(Omega nn A)^c` .(2) `(A^c uu B^c) nn (B nn C)`.
`Omega` は空間(全体集合)であることを頭におく。
(1) `Omega nn A` は `A` に等しいから、`(Omega nn A)^c = A^c = {0, 2, 4}`.
(2) `A^c uu B^c = {0,2,4} uu {3,4,5} = {0,2,3,4,5}`. `B nn C = {0,2}`.よって、 `(A^c uu B^c) nn (B nn C) = {0,2,3,4,5} nn {0,2} = {0,2}`.
書名 | 統計数学入門 |
著者 | 本間鶴千代 |
発行日 | 1991 年 4 月 1 日 訂正第 23 刷 |
発行元 | 森北出版 |
定価 | 1900 円(税別) |
サイズ | A5 版 |
ISBN | 4-627-00180-0 |
NDC | |
備考 | 草加市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 統計活用術 > 統計の本 > 本間鶴千代:統計数学入門