

ネズミ科 タイリクヤチネズミ(エゾヤチネズミ) |
頭胴長11-14cm、尾長4-6cm。
北東アジア一帯にすむネズミで、日本では北海道に亜種のエゾヤチネズミがいます。
生態系のなかでは、本州のハタネズミと同じような位置を占めていて、平地から山地まで広く分布し、個体数も多く、肉食鳥獣の大切な餌となっています。
冬でも冬眠せず、雪中・地中のトンネル状の巣に木の実などの食糧を蓄えて暮らしています。 |


ネズミ科 ムクゲネズミ |
頭胴長11-14cm、尾長4-6cm。
タイリクヤチネズミとよく似ていますが、体毛に黒っぽい毛が混じって霜降り状になります。
北海道の大雪、日高山地や利尻島にすむ日本固有種。 |


ネズミ科 ヒメヤチネズミ(ミカドネズミ) |
頭胴長8-11cm、尾長3-4cm。
北東アジア一帯にすみ、タイリクヤチネズミより小型で、背中のオレンジ色がつよい。個体数は少ない。
北海道に亜種のミカドネズミがすんでいます。
地面に穴をほってくらしていますが、木登りも得意だそうです。 |


ネズミ科 ヤチネズミ |
頭胴長8-13cm、尾長5-8cm。
本州の中部以北の森林にすむネズミ。比較的湿った沢沿いなどを好むので谷地ネズミです。トウホク−、ニイガタ−、ワカヤマ−の3亜種に分ける場合があります。
森で肉食鳥獣の重要な食料源になっています。
下のスミスネズミとは乳頭数(8)と尾が長いのが違うそうですが、見た目はほとんど同じです。 |


ネズミ科 スミスネズミ |
頭胴長8-12cm、尾長3-6cm。
日本固有種で本州中部以南、四国、九州の森林にすむネズミ。中部地方に住むものをカゲ(鹿毛)ネズミともいいます。
スミスというのは、明治時代に最初の標本を採取したスミスさんのこと。乳頭数は6〜4。 |


ネズミ科 ハタネズミ |
頭胴長10-14cm、尾長3-5cm。
本州と九州の畑から森まで広い範囲にすむネズミ。なぜか四国にはいない。
地表付近や冬は雪の下に長大なトンネルをほって巣をつくります。
ときに大発生して、農作物や森林に被害を与えますが、キツネやイタチ、ワシタカなど肉食鳥獣の最大の食糧源ですので、このネズミがいなくなると生態系は大変なことになります。 |


ネズミ科 マスクラット(移入種) |
頭胴長25-36cm、尾長20-28cm。
北アメリカ原産のげっ歯類。水辺に巣穴をつくってくらします。
戦前、軍の毛皮用に飼育されていたのが戦後逃げ出して東京湾岸の河口や湿地帯で繁殖し、その大きさからオバケネズミと言われていました。埋め立てや開発でかなり減少しましたが、水元公園や大井野鳥公園などに生き残っています。
さて、これは保護の対象になるのか? 移入種だからむしろ駆除の対象なんですが、減少の原因が開発だというのは、ちょっと複雑な心境になりますね。 |


ネズミ科 カヤネズミ |
頭胴長5-8cm、尾長6-8cm。
体長6センチほどの日本で一番小さいネズミ。
カヤなどの草の茎の間に、鳥の巣のような丸い巣をつくります。
ネズミというのはなかなか可愛い動物ですが、なぜか嫌う人が多いですね。尻尾に毛がないのがいけないのかなぁ。それ以外はリスとあんまり変わらないと思うんですけど…。 |


ネズミ科 セスジネズミ |
頭胴長13cm、尾長12cm。
日本では尖閣諸島の魚釣島だけにすむネズミ。台湾と大陸では中国からヨーロッパにまで分布しています。
背中に黒いスジがあるのが特徴。
尖閣諸島は中国も領有権を主張していて、学術的な調査も難しいのか、いままでに捕獲された標本は2頭だけです。 |


ネズミ科 ヒメネズミ |
頭胴長7-10cm、尾長7-11cm。
北海道から九州まで、高山から低地まで広く分布する森にすむネズミ。
木登りが得意。木の実や種を蓄えて、危険な昼間は穴にもぐっています。
日本特産種で、初めて採集したイギリスの学者がGeisya mouseと名づけました。富士山、芸者が日本代表的風物だった時代のこと。 |


ネズミ科 ハントウアカネズミ |
頭胴長7-8cm、尾長7-9cm。
朝鮮から中国東北部、シベリアに分布するネズミで、日本では北海道に亜種のカラフトアカネズミがすんでいます。
大きさは、アカネズミとヒメネズミの中間。アカネズミがいる森林では分布が重ならず、草原や林縁でくらし、アカネズミのいないところでは森の中にすんでいます。
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ネズミ科 アカネズミ |
頭胴長8-14cm、尾長7-13cm。
体長10〜12センチくらい。野山にすむネズミで、市街化がすすむと姿を消してしまうので、その地域の自然環境度の指標になるそうです。
耳と目が大きくて尾が長い、きれいなネズミらしいネズミです。
冬に備えて木の実を貯めこむ性質があり、クリの実を何十個も貯めるんだとか。そのクリは虫が食っていないものばかりなので、昔の人はそれをごっそり取ってありがたく食べちゃったそうです。知恵比べとはいえ、ちょっとかわいそうかなぁ…。 |


ネズミ科 ドブネズミ |
頭胴長19-28cm、尾長15-22cm。
ご存知、ドブネズミ。ハツカネズミとともに、ほぼ世界中に分布しています。
実際に見ると思った以上にでかいですから、ネズミが苦手な人はかなりショックを受けるようです。 比較的湿ったところを好み、泳ぎも得意。下水道などで繁殖しています。 |


ネズミ科 クマネズミ |
頭胴長15-24cm、尾長15-26cm。
ドブネズミと同じく人と生活圏をともにするネズミ。近年、都会ではドブネズミ以上に繁殖しています。
それというのも、コンクリートのビルと非常に相性がいいらしいのです。比較的乾いたところを好み、垂直の壁や細い電線などでも器用に上り下りします。そのため高層ビルなどで増えています。ときに電線をかじって重大な停電を引き起こすことがあります。 |




ネズミ科 アマミトゲネズミ


ネズミ科 オキナワトゲネズミ


ネズミ科 トクノシマトゲネズミ
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頭胴長12-18cm、尾長10-12cm。
(2008年7月改訂)沖縄本島と奄美大島、徳之島の3島の森に棲むネズミ。背中にトゲ状の太い毛がはえています。3種は、姿はほとんど同じですが、徳之島産がやや大きいそうです。
この3種は、それぞれ別種とすべきとの説が以前から有力でした。2006年に徳之島のトゲネズミがDNA分析によって別種として記載されました。沖縄本島のトゲネズミも、2008年に生体が30年ぶりに捕獲されて改めて違いが鮮明になりました。そこで、このページでも3種を分けて記載することにします。
3種の染色体は、アマミが25本、トクノシマが45本、オキナワが44本と異なっています。とくに、アマミとトクノシマのものは、Y染色体がないという不思議な構造です。普通は性染色体の組み合わせがXXならメス、XYならオスなのですが、Yがなくてどうやって雌雄が決まるのか? ちゃんとオスもメスもいるんですが…。
天敵のハブに襲われると、垂直にジャンプして身をかわす習性があるそうで、おまけに、その様子を描いてみました。 |


ネズミ科 ケナガネズミ |
頭胴長22-33cm、尾長24-33cm。
奄美、沖縄の森に棲むとても大きなネズミ。
移入種のヌートリアやマスクラットをのぞくと、日本ではもっとも大きなネズミ科の動物です。
樹上でくらしていて、リスのいない南西諸島の森で、リスのような位置を占めています。先半分が白い長い尾でバランスをとって、樹上を自由に走り回ります。 |


ネズミ科 ハツカネズミ |
頭胴長6-9cm、尾長4-8cm。
世界中に広く分布しているネズミ。日本でも自然分布に加え人為分布でたいていの離島にもすんでいます。人家にすみ人の食糧に依存しているものと、原野にすみ自然界で食糧を調達しているものとがいますが、どちらが楽か? なんともいえませんね。
動物実験でおなじみの「マウス」はこのネズミを品種改良したもの。白いのはアルビノ(色素をもたない突然変異)を定着させたものです。自然界でも体色は黒から薄茶色までいろいろなタイプがあります。 |


ネズミ科 オキナワハツカネズミ |
頭胴長6-8cm、尾長6-9cm。
ハツカネズミに似ていますが、沖縄本島、台湾、中国南部などには、尻尾が明らかに長い別種のオキナワハツカネズミがいます。腹が純白で背中の色との境目が明瞭なのも特徴。
ネズミ類の分類では「尾率」の違いが決め手となる場合があります。頭胴長に対する尾長の割合で、オキナワハツカネズミの場合は110%以上、つまり身体より尻尾の方が長い。ハツカネズミは90%以下です。 |


ヌートリア科 ヌートリア(移入種) |
頭胴長56-63cm、尾長30-43cm。
南アメリカ原産の大きなげっ歯類。水辺にすみ岸に巣穴をつくります。
毛皮をとるために飼われていたのが逃げ出して野生化、岡山・兵庫・京都などで定着しています。
歯はオレンジ色。 |