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GIFアニメ 日本の野生動物(4)
霊長目、兎目、げっ歯目リス科・ヤマネ科

ユキウサギ夏

 霊長目(れいちょうもく)


ニホンザル ニホンザル


オナガザル科 ニホンザル
 頭胴長47〜60cm。尾長7-12cm。体重8-18kg。
 ニホンザルはオナガザル科ですが尾は短い。本州以南にすんでいます。
 サルの仲間は熱帯から亜熱帯にすんでいるものが多く、亜寒帯に近い青森県や高山にもすむニホンザルは特異な存在です。雪で遊んだり温泉に入ったりする姿は世界の珍しい動物映像の定番です。
 日本にもともとすむ霊長目は2種類だけ。もうひとつがわれわれですから、仲良くしたいですね。

タイワンザル タイワンザル


オナガザル科 タイワンザル(移入種)
 頭胴長36〜54cm。尾長26-46cm。体重6-10kg。
 ニホンザルより小型で尾が長いサル。本来は台湾の固有種です。
 和歌山や静岡、神奈川、伊豆大島、青森などで野生化が確認されています。和歌山や青森ではニホンザルとの交雑も確認されています。
 交雑して生まれた子にも繁殖能力があり、雑種がどんどん増えるというのが厄介です。生殖的に隔離されている(異種同士では子が生まれたとしても、その子には繁殖能力がない)のが種だという定義に従えば、ニホンザルとタイワンザルは同種(せいぜい亜種の違い)ということになります。だから、交雑も自然のうちだという意見もあるのですが、やはり人為的な理由で移入されたタイワンザルに、形態的に明白な差(大きさ、尾の長さ)があるニホンザルの固有の遺伝子が撹乱されるのは、かなり問題でしょう。
 ちなみに、尾が10cmのニホンザルと40cmのタイワンザルの子の尾は30cm位だそうです。

 兎目(うさぎもく)


ナキウサギ ナキウサギ


ナキウサギ科
ナキウサギ(エゾナキウサギ)
 頭胴長11-18cm、尾長0.5cm。
 日本では北海道の山地だけにすむ一見ネズミのような小さくて可愛いウサギです。
 北海道産のものを大陸のものと区別してエゾナキウサギといいます。
 氷河期の生き残りといわれる貴重な動物で、北海道を中心に天然記念物に指定させる運動が行われています。はやく指定されるといいですね。

アマミノクロウサギ アマミノクロウサギ


ウサギ科 アマミノクロウサギ
 頭胴長42-51cm、尾長1-2cm。
 生きている化石とよばれる原始的なウサギで、奄美大島と徳之島だけにすんでいます。
 穴を掘ってくらすので、丈夫な太いツメがあります。
 分布が限られているので、絶滅のおそれが高い。なんとか保護してずっと生き残ってほしいです。

ユキウサギ夏 ユキウサギ冬 ユキウサギ夏 ユキウサギ冬 夏毛/冬毛


ウサギ科 ユキウサギ(エゾユキウサギ)
頭胴長50-58cm、尾長5-8cm。


ノウサギ夏 ノウサギ夏 夏毛 ノウサギ冬 ノウサギ冬 冬毛


ウサギ科 ノウサギ
頭胴長43-54cm、尾長2-5cm。
 北海道にいるものはエゾユキウサギといって、ちょっと大型。とくに尾が大きく、ユーラシア全域にいるユキウサギの亜種です。
 ノウサギは本州以南にいる日本特産種です。雪の積もる地方のものは冬に白くなります(トウホクノウサギ)。雪の少ない地方では冬も茶色のままです(キュウシュウノウサギ)。
 ウサギは走るときも耳を立てています。このことは写真が証明するつい数十年前までわからなくて、誰もが耳を風になびかせて走ると思いこんでたというのが、おもしろいですね。
 アニメでは、大きさと尾以外は、はっきりいって同じです。

アナウサギ白 アナウサギ白 アナウサギ茶 アナウサギ茶


ウサギ科 アナウサギ(移入種)
 頭胴長35-45cm、尾長4-7cm。(変異が大きい)
 カイウサギ(飼いうさぎ)が野生化したものです。カイウサギの原種はアナウサギで、もともとはヨーロッパから北アフリカが原産。たくさんの品種があるペットのウサギも分類学的にはすべてアナウサギです。
 日本で野生化しているのは、昔から毛皮用に飼われていた日本白色種という白いカイウサギが多いのですが、ペット用は多色多様なので、今後、品種が混じりあって世代を重ねると原種に近い茶色に戻るのではないでしょうか(たぶん?)。
 ノウサギと違って、地面に穴を掘って群れでくらしています。
 年中発情して繁殖するのでプレイボーイ誌のマークの由来となったほど繁殖力は強く、条件さえそろえば急激に増えて食害が深刻になる可能性があります。オーストラリアでは移入種が数億頭にまでふえて駆除に苦労しています。

 げっ歯目(げっしもく)


タイワンリス タイワンリス
タイワンリス タイワンリス


リス科 タイワンリス(移入種)
 頭胴長20-22cm、尾長17-20cm。
 インドシナ、中国南東部、台湾に分布するリスで、動物園などで飼われていたのが逃げ出し、伊豆大島、神奈川、静岡、大阪、和歌山、大分など野生化しています。ニホンリスと違ってお腹まで茶色く、耳が小さい(長毛がない)のが特徴。
 伊豆大島では、特産のツバキの実を食べてしまうので問題になりました。生態的にはニホンリスと競合するので、ニホンリスの生息域がせばまってしまう恐れもあります。

キタリス キタリス
キタリス キタリス


リス科 キタリス(エゾリス)
頭胴長22-27cm、尾長16-20cm。

ニホンリス ニホンリス ニホンリス ニホンリス
ニホンリス ニホンリス
ニホンリス ニホンリス


リス科 ニホンリス
頭胴長16-22cm、尾長14-17cm。
 日本にいるリスは、北海道のキタリスと本州以南のニホンリスです。
 キタリス(エゾリスはユーラシアに広く分布するキタリスの亜種名)は大型で尻尾の先まで茶色。
 ニホンリス(日本特産種)はより小型で尻尾の先が白くなります。
 両種は亜種より違いが大きく別種とされているのでそれぞれ描きましたが、う〜ん、32×32ドットのなかで描き分けるのは難しい。
 森で、ふさふさの尻尾をひるがえして器用に木の枝を渡って動き回る姿に出会うとなんとも可愛くて、とても気分がよくなります。

シマリス シマリス シマリス シマリス
シマリス シマリス シマリス シマリス


リス科 シマリス(エゾシマリス)
 頭胴長12-15cm、尾長11-12cm。
 シマリスはユーラシアに分布し、日本では北海道だけにシマリスの亜種、エゾシマリスがいます。
 リスといっても木の上より地面の上で走りまわっていることが多く、頬袋にたくさんの食べ物をしまいこめます。
 冬の間は、雪の下の地面に掘った穴に大量の食糧を蓄えて冬ごもりしてます。それで、郵便貯金や銀行のマスコットに採用されるわけです。

ホンドモモンガ ホンドモモンガ


リス科 ホンドモモンガ
頭胴長14-20cm、尾長10-14cm。

エゾモモンガ エゾモモンガ

リス科
タイリクモモンガ(エゾモモンガ)
頭胴長15-16cm、尾長10-12cm。
 モモンガはリスの仲間で、手足の間の皮膜をつかって滑空します。
 ホンドモモンガ(ホンシュウモモンガ)は、本州、九州(四国にはいないらしい)にすんでいます。
 エゾモモンガは北海道にすみ、ユーラシアに分布するタイリクモモンガの亜種。
 両種は見た目はほとんど区別がつきませんが、骨格や乳首の数が違っていて別種とされます。
 夜行性で、ともかく目が大きく、写真で見てもデフォルメしたみたいです。
 アニメでは毛の色を変えていますが、両種にそれぞれ茶色っぽいのと灰色っぽいのがいて、ホンド…とエゾ…の差ではありません。

ムササビ ムササビ


リス科 ムササビ
 頭胴長27-49cm、尾長28-41cm。
 ムササビは本州以南にすんでいます。
 モモンガの兄貴分といったところですが、体重は10倍以上も違ってはるかに大きい。猫くらいの大きさですから、それが皮膜を広げると、座布団が飛んでいるようでかなり迫力があります。
 大きな身体を浮かすために、皮膜は足と尾の間にもあります。
 ほぼ純粋なベジタリアンで、葉っぱや花、木の実を食べて、虫などは食べないそうです(リスは虫も食べる)。

ヤマネ ヤマネ


ヤマネ科 ヤマネ
 頭胴長6.8-8.4cm、尾長4.4-5.4cm。
 天然記念物、日本特産、1属1種のヤマネです。
 冬の間はほぼ半年間、丸まって冬眠してるんですけれど、これが直接雪の中とか、落ち葉の下とか、かなり適当なところで寝ちゃうらしいのです。性格的にかなりいいやつなんじゃないでしょうか。

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