哺乳類の体の測定
頭胴長は鼻先から尾の付け根までを寝かせて測ります

a:頭胴長 b:尾長 |


トガリネズミ科 チビトガリネズミ |
頭胴長4.5-4.9cm、尾長2.7-3.1cm、体重1.5-1.8g。
トガリネズミは、ネズミという名前でも、むしろモグラに近い動物です。
チビ…は、ユーラシア北部に分布するトガリネズミ。日本では亜種のトウキョウトガリネズミが少数捕獲されています。トウキョウ…といっても産地は北海道。分類学者が蝦夷(えぞ)と江戸(えど)を間違えてつけたらしい。
世界一小さい哺乳類のひとつで、親指の先くらい。1円玉2個より軽い。この身体で、哺乳類としての全ての機能がちゃんと含まれているというのも、考えてみれば驚異ですね。
実際の大きさはこんな感じです。
トウキョウトガリネズミの大きさ
以下、トガリネズミの仲間が続きますが、大きさと尾の長さに注目してご覧ください(やっぱり、同じに見えるかなぁ…)。 |


トガリネズミ科 ヒメトガリネズミ |
頭胴長4.9-5.8cm、尾長4.0-4.6cm、体重1.5-5.0g。
朝鮮〜ロシア沿海州に分布する小型のトガリネズミ。
日本では北海道にすんでいます。 |


トガリネズミ科 アズミトガリネズミ |
頭胴長4.6-6.1cm、尾長4.7-5.2cm、体重2.6-5.6g。
本州中部山岳地帯にのみすむ日本固有種。 |


トガリネズミ科 トガリネズミ |
頭胴長4.8-7.8cm、尾長3.9-5.5cm、体重3.0-13.5g。
ユーラシア北部に分布。日本では北海道と本州、四国にすんでいます。 |


トガリネズミ科 サドトガリネズミ |
頭胴長5.9-7.8cm、尾長4.0-4.9cm、体重4.7-9.1g。
佐渡島にすむ固有種。毛の色が濃い。 |


トガリネズミ科 オオアシトガリネズミ |
頭胴長5.4-9.7cm、尾長4.0-5.3cm、体重6.0-19.3g。
トガリネズミと名がつく中(トガリネズミ属)で、一番大きい。
朝鮮〜ロシア沿海州に分布し、日本では北海道にすんでいます。
名前のとおり、足、とくに前足と爪がでかい。 |
さて、トガリネズミの違いがわかりましたでしょうか?
はっきりいって、微妙に大きさと尾っぽが違うだけですので、固定画像でまとめてみました。 |


トガリネズミ科 カワネズミ |
頭胴長10.3-13.3cm。尾長9.4-10.5cm。
本州以南の山の渓流にすんでいます。
手足の指の間と、尾っぽの下側に白くて固い毛がびっしり生えていて、泳ぐときに、水かきのような働きをするのだそうです。
大きな川魚にも背中に乗るように飛びついて噛み殺すということですから、小さいけれども、なかなかの猛獣ですね。 |


トガリネズミ科 コジネズミ |
頭胴長6.0-6.9cm、尾長4.0-4.2cm。
トガリネズミよりはやや大きいのがジネズミの4種。
ジネズミのなかでは一番小さく、尾も短い。お腹が白いのが特徴。
ユーラシア大陸に広く分布し、日本では対馬に亜種のチョウセンコジネズミがいます。 |


トガリネズミ科 オナガジネズミ |
頭胴長5.7-7.6cm、尾長3.7-5.3cm。
コジネズミと同じかやや大きく、尾が長いのが特徴。
台湾〜インドシナ〜インドの南アジアに分布し、日本では奄美〜沖縄の南西諸島に亜種のワタセジネズミがいます。 |


トガリネズミ科 ジネズミ |
頭胴長6.1-8.4cm、尾長3.9-6.0cm。
オナガジネズミよりやや大きい。
わき腹にくさい臭いを出す分泌腺があるため、キツネは嫌がって食べないそうです。
文献によると生活周期が3時間というのがおもしろい。
小さな動物は寿命は短いけれど、呼吸も心拍も速くて、生活周期も短く、同じ時間でもおそらくは「濃密」な生物的時間を過ごしているという説がありますが、ジネズミの時間は人の8倍(24÷3)は「濃密」なんでしょうか。 |


トガリネズミ科 オリイジネズミ |
頭胴長7.8-9.0cm、尾長5.1cm。
ジネズミのなかでは一番大きく、体色が明るい茶色なのが特徴。
奄美大島と徳之島のみに棲む固有種です。 |




トガリネズミ科 ジャコウネズミ |
頭胴長11.6-15.7cm。尾長6.1-7.7cm。
ジネズミよりさらに大きく、九州から南西諸島にすんでいます。九州のものは貨物にまぎれて渡ってきたものらしい。
移動するとき、「キャラバン行動」といって、母親の尾を子がくわえ、その子の尾を次の子がくわえて、つながって歩きます。
ジネズミと同様、わき腹に分泌腺があるため、ネコは殺しても食べない。何度かそれを経験したネコは、やがてジャコウネズミを殺さなくなる。最初の何匹かの犠牲が、残ったジャコウネズミの生存に役立つというわけです。
昆虫なんかだと「食えないよ」と主張する派手な模様(警戒色)に進化したりするのですが、哺乳類の場合は、そういうことにはならないのでしょうか?
運動能力があり知恵もあるので、自らの力で逃げる、隠れる、という方が臨機応変に対応できて有利なのかな。 |


モグラ科 ヒメヒミズ |
頭胴長7.0-8.4cm。尾長3.2〜4.4cm。
下のヒミズより標高の高い山地に棲むモグラの仲間です。
姿はよく似ていますが、両種はそれぞれヒメヒミズ属とヒミズ属という別属です。
ヒミズが原始的なモグラとすると、ヒメヒミズはさらに原始的。古い形態を残したまま、山地で生き残ってきたのでしょう。
日本特産種。 |


モグラ科 ヒミズ |
頭胴長8.9-10.4cm。尾長2.7-3.8cm。
ヒミズは本州以南にすむモグラの仲間です。
モグラが土の中にトンネルを掘ってくらしているのに対して、ヒミズは土と腐った落ち葉の間にトンネルを掘ります。
前足は、モグラほど立派なシャベル状ではありません。
まだ完全には地中生活に適応しきれていない進化途上のモグラといったところでしょうか?
日本特産種。 |


モグラ科 ミズラモグラ |
頭胴長8.0-10.7cm。尾長2.0-2.6cm。
モグラ科ミズラモグラ属。
アズマモグラとコウベモグラというポピュラーな2種のモグラより小型で、山地の森林に棲んでいます。原始的な特徴を残すモグラといわれています。
日本のモグラ科は、ヒメヒミズ、ヒミズ、ミズラモグラ、アズマモグラ、コウベモグラの順で、より進化が進んでいるようです。 |


モグラ科 センカクモグラ |
頭胴長13.0cm。尾長1.2cm。
モグラ科センカクモグラ属。
尖閣諸島の魚釣島で1976年(91年新種記載)にただ1匹だけ捕獲されたモグラ。
他のモグラより歯の数が少なく38本だそうで、別種とする決め手になったんでょうが、1匹ではなんとも確かなところは分かりません。 |


モグラ科 アズマモグラ
頭胴長12.1-15.9cm。尾長1.4-2.2cm。


モグラ科 サドモグラ
頭胴長15.3-18.2cm。尾長1.9-3.0cm。


モグラ科 コウベモグラ
頭胴長12.5-18.5cm。尾長1.5-2.7cm。
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日本で普通に見られるモグラには、アズマモグラとコウベモグラの2種がいて、アズマ…は東日本、コウベ…は西日本に分布しています。
どうも、もともといたのはアズマ…で、あとから大型で強いコウベ…が入ってきたらしい。
現在の境界線は、中部山岳以東がアズマ…ですが、コウベ…が、じわじわと分布域を東に拡大中です。
四国や中国の山地にはアズマ…が局所的に残っていることから、コウベ…は山地が苦手のようで、東海道では箱根の山をコウベ…が越えられるかが目下の焦点です。
佐渡島と対岸の新潟の一部にのみサドモグラが棲んでいます。周りにいるのはみんなアズマ…なのですが、このサド…は身体が大きく、かつてはコウベ…が離れて分布しているものと思われていました。本土にすむものをエチゴモグラとして別種とする説もあります。
モグラのアニメはみんなほとんど同じなので、申し訳のために穴から顔をのぞくモグラのアニメをおまけでつけました。
子どもの頃、モグラ塚を懸命に掘ってみたけど、モグラは見つけられなかったなぁ…。 |