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翼手目2


チチブコウモリ

 翼手目(よくしゅもく)2


アブラコウモリ アブラコウモリ


ヒナコウモリ科 アブラコウモリ
 前腕長3.0-3.7cm。頭胴長4.1-6.0cm。尾長2.9-4.5cm。
 夕方になると人家の間を飛んで虫を食べているのがアブラコウモリ。鳥のようにわずかでも滑空することがなく、つねにパタパタ飛膜を動かしているように見えます。
 子どもの頃、雨戸の戸袋に入って寝ているのを捕まえた記憶があります。手にとってみると意外なほど小さく、飛膜は薄く感じました。
 農薬の影響か一時急速に減りましたが、すこし盛り返しているようで、最近になってもまだ近所で飛ぶ姿が見られてちょっと安心しています。

モリアブラコウモリ モリアブラコウモリ


ヒナコウモリ科 モリアブラコウモリ
 前腕長3.2-3.4cm。頭胴長4.3-5.3cm。尾長3.4-4.0cm。
 アブラコウモリとよく似ていますが、体色が濃く、森に棲んでいるコウモリ。
 日本固有種で、東北、中部、紀伊半島、四国などの産地で点々とわずかに見つかっているだけです。

オオアブラコウモリ オオアブラコウモリ


ヒナコウモリ科 オオアブラコウモリ
 前腕長3.4-3.8cm。頭胴長4.2-5.9cm。尾長3.0-4.3cm。
 日本では、北海道、青森、対馬で数頭が捕獲されたことがあるだけのコウモリ。朝鮮半島から沿海州にかけて分布しているので、日本にはたまたま迷行してきたものと思われています。
 空を飛ぶコウモリは、当然ながら相当行動範囲が広く、薄く頼りなさそうにも見える飛膜も意外と強力で、日本海を飛び越えることができたのでしょう。

オガサワラアブラコウモリ オガサワラアブラコウモリ


ヒナコウモリ科
オガサワラアブラコウモリ
 前腕長3.0cm。頭胴長3.7cm。尾長3.1cm。
 19世紀末に小笠原諸島の母島で採集された標本が、ただ1体、英国自然史博物館に保管されています。色は、標本の写真では薄い茶色ですが、黒っぽいという記載もあり、よくわかりません。
 その後100年以上も同種のコウモリが発見されないので絶滅種とされていますが、そもそも標本の採集地を書き間違えたのではないかという説もあります。採集されたときが、たまたま絶滅の最終段階だったというのも偶然すぎますからね。
 それにしても英国自然史博物館は、7つの海を支配した大英帝国の植民地主義の成果(略奪という説もありますが)で、いろんな標本をもってるなぁー。

キタクビワコウモリ キタクビワコウモリ


ヒナコウモリ科 キタクビワコウモリ
 前腕長3.8-4.3cm。頭胴長5.5-6.5cm。尾長3.5-4.3cm。
 ユーラシア大陸北部に分布。日本では北海道にいます。
 木の穴や人家の天井裏などにいて、ときに100頭を超える集団をつくることもあるそうです。
 日本産のものを亜種としてヒメホリカワコウモリという場合があります。

クビワコウモリ クビワコウモリ


クビワコウモリ

ヒナコウモリ科 クビワコウモリ
 前腕長3.8-4.3cm。頭胴長5.5-6.5cm。尾長3.5-4.3cm。
 日本固有種で生息数は少なく、中部山岳のごく一部で見つかっています。乗鞍岳の山麓に唯一確認された集団繁殖地があります。棲家は樹洞や人家の天井裏。
 クビワというのは、真下から見たり、振り返った姿勢の時に、お腹の明るい褐色が首輪のように見えるためです。

ヤマコウモリ ヤマコウモリ


ヒナコウモリ科 ヤマコウモリ
 前腕長5.7-6.6cm。頭胴長8.9-11cm。尾長5.1-6.7cm。
 北海道〜沖縄まで分布。日本の食虫性のコウモリのなかでは最大級で、胴長の体型です。
 森のなかで樹洞をすみかにしていますが、大木がなくなっているためか、数が激減しているらしい。鳥用の巣箱を利用することもあるようですから、追い出さずにすまわせてやってください。

コヤマコウモリ コヤマコウモリ


ヒナコウモリ科 コヤマコウモリ
 前腕長4.8-5.3cm。頭胴長7.6-8.4cm。尾長4.6-5.4cm。
 青森、岩手、福島で、全部で数十頭しか確認されたことがない珍しいコウモリ。
 ヤマコウモリと似ていますが、やや小さく、毛色は濃い。ユーラシアコヤマコウモリと同種と言う説もあります。

ヒナコウモリ ヒナコウモリ


ヒナコウモリ科 ヒナコウモリ
 前腕長4.7-5.4cm。頭胴長6.8-8cm。尾長3.5-5cm。
 北海道と本州東部にすむコウモリ。
 樹洞や洞窟や人家でも100頭を超える集団になり、繁殖します。

ヒメヒナコウモリ ヒメヒナコウモリ


ヒナコウモリ科 ヒメヒナコウモリ
 前腕長4.1-4.9cm。頭胴長5.3-6.4cm。尾長3.8-4.6cm。
 2002年に北海道礼文島で1頭が保護されました。我国初記録。
 ヨーロッパからシベリアまでユーラシア大陸には広く分布しています。ヒナコウモリよりやや小型。

チチブコウモリ チチブコウモリ


ヒナコウモリ科 チチブコウモリ
 前腕長3.9-4.4cm。頭胴長3.9-4.4cm。尾長4.3-5.4cm。
 耳の長いコウモリです。左右の耳の根元がくっついているのが特徴。
 イスラエルからインド、中国にまで分布していますが、日本では北海道や東北で捕獲例があり、最初に埼玉県の秩父地方で見つかったのが名前になりました。

ウサギコウモリ ウサギコウモリ


ヒナコウモリ科 ウサギコウモリ
 前腕長4.0-4.5cm。頭胴長4.2-5.8cm。尾長4.2-5.5cm。
 ウサギのように耳の長いコウモリ。この耳で自ら発した超音波をとらえて定位しているわけです。
 でも同じようにエコロケーションする他のコウモリと比べても、特別大きな耳にはどんな理由があるのでしょうか?

ユビナガコウモリ ユビナガコウモリ


ヒナコウモリ科 ユビナガコウモリ
 前腕長4.5-5.1cm。頭胴長5.9-6.9cm。尾長5.1-5.7cm。
 本州以南にすむコウモリ。
 洞窟などで100頭を超える集団で繁殖します。翼は細くて長い。

コユビナガコウモリ コユビナガコウモリ


ヒナコウモリ科 コユビナガコウモリ
 前腕長4.3-4.7cm。頭胴長5.0-6.0cm。尾長4.5-5.5cm。
 奄美大島以南の南西諸島にすむコウモリ。別名リュウキュウユビナガコウモリ。上のユビナガコウモリと比べると身体が小さい。
 洞窟などで100頭を超える集団で繁殖するのはユビナガコウモリと同じです。

テングコウモリ テングコウモリ


ヒナコウモリ科 テングコウモリ
 前腕長4.1-4.6cm。頭胴長5.9-7.3cm。尾長3.6-4.7cm。
 インドから東アジアに分布。日本全国にいます。
 樹洞や洞穴に単独ですんでいて、群れていないことが多いそうです。
 テングという名前は鼻が両側にチューブ状に飛び出しているから。英名では Tube-nosed Bat です。

リュウキュウテングコウモリ リュウキュウテングコウモリ


ヒナコウモリ科
リュウキュウテングコウモリ
 前腕長3.4-3.8cm。頭胴長4.7-5.2cm。尾長3.7-4.5cm。
 1996年に沖縄本島北部ヤンバルの米軍訓練場内の森で発見された新種のテングコウモリ。詳細は不明ですが、体色は茶色っぽいようです。

コテングコウモリ コテングコウモリ


ヒナコウモリ科 コテングコウモリ
 前腕長2.9-3.3cm。頭胴長4.1-5.4cm。尾長2.6-3.3cm。
 北海道から中部までの東日本に分布するコウモリ。
 テングより小型で、色も茶色っぽいのが特徴。

クチバテングコウモリ クチバテングコウモリ


ヒナコウモリ科 クチバテングコウモリ
 前腕長3.4cm。頭胴長5.1cm。尾長3.5cm。
 1962年に対馬でだだ1頭だけ採集されたコウモリ。クチバは朽葉で、枯葉色の体色を意味しています。

オヒキコウモリ オヒキコウモリ


オヒキコウモリ科 オヒキコウモリ
 前腕長5.7-6.5cm。頭胴長8.4-9.4cm。尾長4.8-5.6cm。
 食虫性のコウモリの中では大型の方で、翼(飛膜)も長くて高速で飛びます。
 尾が膜から突き出て見えるので「尾曳蝙蝠」です。
 日本国内での繁殖が確認されたのは1990年代になってからです。

スミイロオヒキコウモリ スミイロオヒキコウモリ


オヒキコウモリ科
スミイロオヒキコウモリ
 前腕長5.4-5.7cm。頭胴長6.3-8.2cm。
 中国で2個体、日本で2個体の4個体しか報告されていないコウモリ。日本では1985年に奄美大島と98年に口永良部島で採集されました。
 オヒキコウモリより小型で、背中が黒っぽいということです。

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