KhasyaReport ひなたやまカフェ 034

ホットマンの温室効果


卵パックに種をまいてホットマン5000に載せると3日で発芽する。それをコストコ・ロティサリ・チキンのパックに入れ替えて日光浴。トルシーもピピンニャも4月の東北日本を熱帯と思ってるみたい。


 市販の発芽システムもいくつかあるけど、そこにキンスはかけたくない。発芽に電気もかけたくない。自前で種を発芽させられないか。
 思案していたら目の前に手ごろな発芽セットのあることに気づいた。温水暖房のホットマン5000を利用して熱帯作物の種を発芽できないか。
 




  発芽方法を変えた

   例年なら5月の連休後に種を発芽させるのだけど、今年は早めに種を芽吹かせることにした。富士通のホットマン5000で種を発芽させるというアイデアが浮かんだのだ。
 ホットマン・システムは車のラジエーターの仕組みをリバースしただけのつくりだ。水を家の外で温めてチューブで室内に送る。チューブの温水に風を当てて温め、その風をモーターで室内に吹く。ラジエーター暖房は壊れない。
 部屋のホットマン5000は前世紀1996年製の最古参だ。4年に一回、メンテナンスに来るエンジニアは「こんなに長く使っているなんて見たことない」とあきれるが、ラジエーターは壊れるわけがない。壊れないから日本中にホットマンがあふれたらその時点で売れなくなる、早暁消え去る製品だろうと要らぬソロバンをはたいてみたが、販売終了まで20年かかるとは大したもんだ。
 ホットマンを生産中止にした富士通は、たとえ生産中止でも20年前のパーツを販売するという手堅い老舗メーカー。だけど、それでも1998年製以降のパーツしか売っていない。96年製のホットマン5000にはこれから幾多の試練が待ち受けている。だけど、どっこい、ちゃんとこのシーズンも5000は働いてくれた。
 この5000を発芽システムにすると思いついたのは、「卵ケースは温室である」という伊藤家の食卓みたいなひらめきをどこかのサイトで読んだからだ。卵ケースに種をまいて発芽させるという裏技。試さぬ手はない。
 卵ケース温室にタキイの発芽用土を入れて水に浸す。ピピンニャ、カラウィラ、トルシー、スィート・バジルの種を蒔いて、ついでにパスタ・ソースのための加工用トマトの種をまいて、ケースの蓋を輪ゴムで止めて5000の上に置く。発芽用卵ケースは5個になった。一度に2個、5000の上に並べて置ける。
 百円ショップで売っている丸型温度計を卵ケースの隣に置いて温度上昇を確認すると25℃から30℃のあいだを針が指している。卵ケースを持ち上げるとやんわり暖かい。
 トルシーやバジルのシソの類はだいたい3晩で発芽した。トマト、ピピンニャも同様だ。カラウィラはちょっと日数がかさんで7晩かかったけど、これもちゃんと発芽した。

日光浴中の幼草。卵パックのまま生育させているのは加工用トマト。手前左はピピンニャ。奥にはペットボトルに移植したトルシーが。
 この機種以降のホットマンでは種の発芽はできない。室内機の上部が山なりに湾曲したり、本体下部にあった操作スィッチが移動して上部にやって来たりして卵パック温室が置けなくなった。最初期ビンテージのホットマン5000だから上部が温室利用できる。ここがエジソン・ヒントだ。
 室内機に手を置く。暖かいじゃないか。突っ込みどころだ。

 こんな簡単に発芽作業が進んでいいものだろうか。生命の誕生はもっとややこしくて神聖なものではないのか。
生産終了したホットマンシステム。室内機に何ら手を加えず卵パックを上に置くだけで植物の種の発芽が安全にできる。
 ま、そこんところはややこしくてわからない。発芽さえ済めば後は25℃の加温に神経質になることもない。発芽済みのパックを5000から降ろしてコストコのロティサリー・チキンの容器にすっぽりと収める。こうして二重保温して双葉から本葉が出るのを待つ。朝から窓際において霧を吹いて日光浴させると日時計のように新芽が太陽に向かってなびく。茎が曲がらないようにコストコ・パックを回して日の当たる向きを変えてやった。

 発芽と本葉出し、すべて上手く行ってしまった。あっけない。
 これを移植ポットに植えて、ポットを発泡スチロールの箱に並べる。昼夜、外に出して、自然の寒暖差に慣れさせる。畑に移植するための準備だ。
 5月は夏日が5回もやって来た。外気の中で太陽の光に慣れたら畑にトランス・プランティング。

 そこまではよかった。そう5月までは順風満帆だった。でも、6月に入って東北はひどい低温状態が続くようになった。昨日おとといは最低温度が6℃台、昨日は最高温度も16℃でとまった。それでも発芽した連中は畑でじっと耐えている。ピピンニャだけは低温に弱くて7割が溶けてなくなった。今日は6月13日、ECMWFの850hPa高層天気図は宮城・山形あたりの低温傾向が17日ぐらいまで続く予報を出している。夏日は20日にならないと訪れない。
   
  2017-Jun-18


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