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hanako  1992-6-25 No201

トモカ スリランカ料理
本当においしいスリランカ料理は、裏道にある





 料理は1コースのみで野菜料理中心。古くから農村漁村で親しまれてきた味ばかりを、スリランカの家庭で食べるときと同じ形で出してくれる素朴な店。 
 食材は野菜が中心で野菜をたっぷり取りたい人やベジタリアンでも安心して行ける。魚や肉の臭みを消すためにスパイスを使い、ライムやココナッツをよく使用する。油を使っていないのでほかのエスニック料理よりもあっさりした味になっている。
 肉、魚、野菜の料理を、手というより指でよく混ぜて食べるのがお行儀。トライしてみることをおすすめするが、スプーンも出してくれますからご安心を。

 スリランカ・ディナーコース 42,00円。 メニューはこれのみ。手前左/パリプワンジャナ、右/ポロス、下から2版目左/ピピンニャ(キュウリ)、右/・アンブルティアル、以上4品はカレー。真中/三角の揚げ物パパダム、その左/アーッパほか野菜料理3品にご飯、紅茶がつき、ご飯に混ぜて食す。

hanako 1992-6-25 No201掲載


【解題】  トモカのお店にはたどり着けない。見つけにくい。なんせ雑居ビルの3階だ。通りからは見えやしない。
 オープン前に店へ食器を収めに来たかっぱ橋の営業は、「こんなビルの3階では商売できないよ。3階なんて飲食店は無理だ。あなたは素人だから知らないようだけど」とぶつぶつ言って、皿を置いて帰って行った。
 食器卸商の常識は幸いにも外れた。日本がバブルで離陸しようとしていたハチャメチャな時代だったからか、誰もが浮かれていてお金を使いまくっていたからか。それとも、まさか、とんでもない本物の料理と食文化を雑居ビルの3階で提供してしまったからか。はて、さて。
 入りにくい処に店があったのは紛れもない事実だった。
 hanakoに掲載された記事のイラスト地図を目安に訪ねて来ても、店の所在がわからず、四谷駅前のしんみち通りを右往左往して帰るエスニック・グルメさんが多かった。電話もショッチュウ掛かってきて、「店がない」「店が見つからない」。
 トモカは、わずか10席足らずの飲食店。夜6時の開店と同時に席が埋まってしまえば、その後に来られたお客さんは引き返すしかなかった。

 anan掲載以降は取材のライターさんたちが増えた。ライターさんたちは、きっと鼻がいいのだろう、誰も店を探して迷うということはなかった。
 「手というより指でよく混ぜて食べる」と文中にあるのは、ライターさんに店主からの注文があって、「料理の味を見ないのなら取材はOKしない。料理はスリランカで食べるときのように手指を使って食べてください」と宣言されていたから。指食を指南されて、いやが上でも指食を覚えてしまったから。「スプーンも出してくれますから」と書き添えているけど、それで、さまざまに、無難に多くのお客様にも来店していただきましたけど。
 そんなこんなだったけど、店内の写真だけ撮ってトモカを取材したかのように装う不埒なリポーターも現れて、そうして提灯記事を書かれたりしたから、それで、指食をしないのなら取材NG、などという厄介なことを言い出すようになった。まったく、もう、というのは店主の言い分。
 hanakoもananと同じマガジンハウス。老舗のananは「指で混ぜながら食べてみて!」と紙面タイトルで絶叫したけど、新興hanakoは「本当においしいスリランカ料理は、裏道にある」だなんて言ってて、大人の雰囲気です。

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