TOMOCA
カレーライスQandA

002 スリランカのカレー粉、「トゥナパハ」の作り方

準備するもの  スパイス各種(原形のまま)コリアンダー、カーダモン、クローブ、シナモン、クミン、フェンネル。
調理道具 ほうろうの鍋,または,アルミの鍋  
       粉挽き器(コーヒーミルが手ごろです)

作り方
①トゥナパハはスリランカのカレー粉です。文字通りには「三(トゥナ)・五(パハ)」という意味。つまり「三種か五種のスパイスを合わせた混合香辛料」ということです。三つか五つのスパイスを合わせれば「スリランカ式」のカレー粉ができてしまうという訳で、とてもシンプル。
 では、スパイスの何と何を合わせるか。基本はコリアンダー,クミン,フェンネルの三種。これに好みのスパイスをふたつ、例えばシンナモン、カーダモンを加えます。これで「三(トゥナ)・五(パハ)」です。でも、これ、あくまでも一例です。トゥナ・パハのスパイスはイリュージョン。まさに幻影。料理人の数ほど妖しく揺れるバリエーションがあります。
②三つのスパイスを鍋に入れます。ガスの火を起して鍋をかざします。弱火でゆっくりと熱を加えます。
③スパイスに熱が伝わったところで鼻を利かせましょう。まず、スパイスの青臭いような生っぽい香り。だんだんと熱が加えられて香りが熟成して、こころをひきつける媚薬の香りに変化してきます。この香りだ!と直感したら,すかさず火から下ろして鍋底を水につけて熱を取ります。ここの兼ね合いは勘一発勝負。

カレー粉(トゥナパハ)屋さんの店先はお客さんで
込み合う。家でトゥナパハを作るスリランカ人は
もういない?

 乾煎りしたスパイスをコーヒーミルに入れて挽きます。スリランカでならミリスガラ(スパイスを粉にする石臼)でゴリゴリやって潰して粉にしますが、電動のコーヒーミルでカッティングしてしまうのです。
④煎り加減で変化する香りやコーヒーミルを使ってのスパイスの挽き加減はあなたのお好み次第。始めは勘も掴めないでしょうが、なかなかどうして,三度スパイスを煎って,鼻で香りを確かめれば「分かってくる」ものです。浅煎りのスパイスは野菜やエビに、深煎りは獣肉や赤身の魚に使います。 <ご注意>カーダモン、シナモンは熱を加えず、そのまま料理に使います。トゥナパハは料理のつど作るようにして,作り置きはしないこと。新鮮で香りが活き活きしているからこそスリランカ式なのですから。
  →『おいしんぼ』という漫画にトゥナ・パハが紹介されたことがありました。あの漫画ではスリランカでもカレー粉を使っていると紹介し、それをトゥナ・パハと言うと明かしています。
 

左はMa'というメーカーのトゥナパハ。左が深煎りの混合スパイス。
右はNatureのカハ(ターメリック)・パウダー。ターメリックは魚と獣肉
には使わないので別立てになっている。

上の料理の手順では基本をコリアンダー,クミン,フェンネルとしていますが、実際には、料理書によって基本の3種がさまざまに変わります。そのわけは、これも料理人によって様々です。香りを重視する人、スパイスの薬効を重んじる人、はたまたお金をミニマムに消費したいので安いスパイスを使う人。ここで「人」は「料理」と言い換えても構いません。日本のカレー粉はプロのメーカーが作った調合を神のお手本のようにして使いますが、スパイス調合の方法に万能はありません。調合スパイスは主材料に応じて変えなくてはならないからです。日本のカレー粉という出来合いスパイスの使い方とは違うのです。

 

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