TOMOCAカレーライスQ and A





005スリランカのハーブ ①カラピンチャ parboiled rice,thambappu-haal


カラピンチャ 英名;curry leaves

 カラピンチャには日本名があって「ナンヨウサンショウ」と言います。なるほど木を見ると山椒にそっくりで、我が家のカラピンチャも来客の方によく山椒と間違われます。
 英語名は「カレー・リーブス」。これが「カレーの木」などと”直訳”されてしまったことからカレー粉を作るための木のように受け取られ、本来の姿を誤解されてしまいました。 
 カレーの木は「カレー粉の匂いがする」と気負って書く植物の専門家まで現れもしましたが、しかし、はっきり言って、それは違うのです。
 カレーの木の葉には香ばしい豆の香りがあって、この香りが食欲を誘います。
 カラピンチャはタミル語で「カリ・ウェーッピライ」、カリという料理に使う葉っぱ、ということ。シンハラ語のカラピンチャは、どことなく、タミル語の音感と似ています。

 料理には数枚の葉を使います。スリランカのカレー料理書には「キニティ・エカイ」などと材料の一覧に書いてあって、これは「一枝」という意味です。枝先のやわらかな葉をしごいて一枝分のカラピンチャを様様なカレー料理に加えます。
 ベイ・リーブスのように料理に入れて香りを移すという使い方をするので、月桂樹を代用にするといい、などと書くスリランカ料理書もあるのですが、香りは全く別物ですから『かしゃぐら通信』はベイ・リーブス代用を勧められません。また、エスニック料理の食材を扱う店では乾燥した葉を一袋500円ほどで売っていますが、これだとほとんど香りが出てこないので、これもお勧めできません。

 カラピンチャは森の中に育つ低潅木。幼木は熱帯の強い日差しを嫌うので日陰で育てます。
 スリランカのクルナェーガラに友人を訪ねたとき、庭に木丈3メートルほどのカラピンチャを見つけて、根元に群生するひこばえを貰って来ました。そのあたりの経緯とカラピンチャの詳細は『南の島のカレーライス・オリジナル版』をご覧いただくとして、その木が元気に育って、私のところでも毎年、ひこばえが出るようになりました。皆さんにお分けしているカラピンチャの幼木はそのひこばえです。

 カラピンチャの育て方と管理

  カラピンチャをうまく育てられない、冬に葉が落ちてしまう、というようなメールをかしゃぐら通信にいただく事があります。日本で育てるには次のことが参考になるかもしれません。
 まず、最低温度が15℃以上あればカラピンチャは葉を落とす事がありません。また、冬に落葉しても10℃を保てば翌年には葉を出します。
 注意すべきなのは冬よりむしろ夏です。熱帯の木だからといって直射日光に当ててはいけません。カラピンチャはジャングルの中の低潅木。その環境を再現してあげましょう。適度な木陰と涼しい風。ヒトがうたた寝のできるような環境でカラピンチャは育っているのです。どうか、真夏の過激な環境を避けてあげてください。
 化成肥料を与えると、すぐに木丈が伸びますが、いかにも促成栽培という弱々しさが現れます。カラピンチャを丈夫に育てるには化成肥料などは控えめのほうがよいようです。
 
 病気はほとんどありません。春先には枝をよく見て冬場に発生するカイガラムシ退治をしましょう。春にはアゲハが葉裏に産みつける黄色い卵を丁寧に取る作業が肝心です。アゲハはカラピンチャが大好きです。カラピンチャの手入れを怠っていると、知らない間に卵から孵った幼虫が葉をすべてかじって丸裸になった枝にぶら下がっているという事件に遭遇します。