7月30日 曇り
4時に目覚める。本日は9.3℃。曇ってはいたが雲が高く展望があるので旭岳に行くことにした。小屋前からはトムラウシと高根が原の雄大な眺めが素晴らしかった。化雲岳のあたりと、十勝の美瑛富士あたりに大きな滝雲が見えた。相棒が着替えたりしている間、飽きずに眺めていた。
6:17 テント場発(高度計:2015m, 温度計:26.6℃)
小屋泊まりの人も出発が早く、6時過ぎには相次いで出発する姿が見られた。南を目指す人が多いようだった。我々はまず白雲岳に向かう。6:47 白雲分岐(2130m, 25.5℃)
分岐にザックをデポして白雲岳山頂を目指す。ほかにデポしてあるザックはなかった。持ち物は防寒用のカッパと水筒、ウィダーインゼリー、カメラだけだ。最初の岩ゴロの道を抜けると野球場のような白雲平に入る。白雲平はシオガマがたくさん咲いていて見事だった。斜面にはキンポウゲやチングルマが咲いていた。
7:17 白雲岳登頂(2220m, 21.6℃)
山頂には30分もかからずに着いた。やはり誰もいなかった。曇ってはいるが、あいかわらず雲は高く、展望は360度ぐるりと見渡すことができた。阿寒の方もよく見えた。有名な旭岳の残雪の縞模様は雪が少なくなっていることもあってまあまあだった。ここではなんといっても3日間かけて歩いてきた五色が原・トムラウシ・高根が原が一望できたのがよかった。白雲小屋よりも標高が200mほど高いので高度感があり、見下ろす感じになるのがまたいい。
8:04 白雲岳発(2225m, 23.4℃)
風が出てきて寒くなったので、下山することにした。お湯を持ってこなかったことをちょっと後悔した。山頂には1時間近くいたが、誰もやって来なかった。帰りは20分ほどで分岐に着いた。ここで昨日同様アルファ米の行動食を食べた。今日は梅しそご飯。朝食をあまり食べなかったので、これは効いた。
8:47 分岐発(2120m, 23.2℃)
分岐を出立するころにようやく人にあった。とても静かな白雲岳だった。分岐の北側直下も花がたくさん咲いていた。ここではキバナシャクナゲが目立った。残雪を何度か越えて中間地点のベンチで一休みしたあと、またもくもくと進む。するといつの間にかトムラウシは雲に隠れていた。
9:51 北海岳(2165m, 29.7℃)
北海岳の南斜面は前回あまりの花の凄さに驚いてザックを置いて大撮影会になってしまったところだが、この日はそのとき以上の花の密度であった。咲いている花も前回はハクサンイチゲが中心だったが、この日はアオノツガザクラ、エゾツガザクラ、エゾコザクラ、キンポウゲなどで色彩が豊かだった。ザックを置いて、といきたいところだったが、ここは長居しないようにザックは背負ったまま撮影会を敢行。北海岳に着いたころには黒岳も雲に覆われようとしていた。旭岳の周りにももくもくと雲が湧いている。この調子だと、旭岳に登頂する頃には展望はないかもしれない。
10:51 間宮岳分岐(2190m, 25.2℃)
タカネスミレはもう盛りを過ぎている感じだった。北海岳あたりから見た旭岳の斜面はまあ登りやすいかなあという風に見えたが、間宮岳の分岐を過ぎ、熊が岳のクレーターを過ぎと近づくにつれてだんだん険しく見えてきた。残雪があり、その上に直登、さらにその上にはジグザグが切れていた。この道は過去に1度だけ下ったことがある。そのときは雪は残っていなかったが、なにしろザレてずるずるだった。登るのも苦労することだろう。残雪10分、直登10分、ジグザグ10分で、合計30分で登頂できると予想した。
残雪を登り始めるとそのあとはザックをおろすことはできないので、直下でザックを降ろしてゆっくり休んだ。最後の行動食のパウンドケーキをここで平らげた。あとは登頂記念用のみかん3個だけだ。この頃には周囲はほぼ雲に包まれてしまった。
12:07 旭岳登頂(2300m, 27.3℃)
いよいよ登り始める。相棒がなぜかスピードアップして突き進む。あとで聞けば、滑落の恐怖で早く安定したところに上がりたかったということだった。雪の登りもキツかったが、そのあとのザレの直登がたいへんだった。硬い地面の上に薄く砂が堆積しているため、ズルズル滑ってどうしようもない。それでもどうにか予想どおり30分で登りきった。間宮岳の分岐からは1時間とちょっとくらいだった。恐れていたとおり山頂は雲の中で、はるばる歩いてきたトムラウシを眺めつつ感無量のゴールイン、という夢はかなわなかった。
一帯は登山者よりも観光客の方が多く、4日がかりで一番高い山頂にたどりついたというのに、下界が近くなったことを感じた。
13:04 下山開始(2275m, 22.3℃)
小腹が減ったが行動食は底をついてしまって、残っているのはスープやマグヌードルといったものばかり。ちょっと面倒なのでそのまま下山することにした。携帯電話で旭岳温泉のホテルを予約し(便利な世の中になったもんだ)、みかんを食べ、真っ白なバックの登頂記念写真を撮ってから下山開始。
姿見への道も先ほどの登りほどではないがよく滑る。
13:37 7合目(1945m, 24.2℃)
ほぼ中間地点の7合目の岩に腰掛けて足を休ませる。結構空腹感が増大し、山頂で食事をとっておかなかったことをちょっと後悔した。道は砂礫ばかりの印象があったが、地味ながらもタデが斜面一面に咲いたりしていて驚いた。
14:27 姿見駅着(1605m, 21.3℃)
石室に着いてからロープウェイ姿見駅までが長かった。20分くらいかかったのではないだろうか。ガスガスだったが、そのおかげで観光客がほとんどいなかったので、道の歩きやすいところを好き勝手に歩けたのは幸いだった。ガスの中のチングルマがなかなか見ものだった。ロープウェイは15分間隔の運行となっていて、着いたときは14:30の便がまさに出るところ。身支度を整える間もなくキップを買って飛び乗った。ロープウェイが下って天女が原あたりになったところで雲の下に出た。
旭岳温泉
空腹が最高潮に達したので、ロープウェイ旭岳温泉駅の売店でフランクフルト・ソーセージを買って、旭岳麦酒と北海道沼田町産トマトジュースで乾杯。ようやく落ち着いた。食べ終わった頃は15時ちょっと過ぎ。チェックイン可能時間になったので宿に向かう。宿はロープウェイ駅に一番近い旭岳万世閣ホテルベアモンテ。山頂から電話したとき、ひとり22,000円もするというので唖然としたが、疲れているのでなるべく近いところにしたかったし、それまで3泊はタダ同然(白雲だけテント料あり)だったので、ここはいっちょう奮発してやるか、という気になった。思いもかけず新婚旅行に次ぐ高級ホテル泊となってしまったわけだが、食事はなんとバイキングだという。バイキングとは高級ホテルにあるまじき手抜きだと最初は思ったが、しまいには、ひょっとしてキャビアやフォアグラが食べ放題なんじゃないか、と妄想が止まらなくなってきた。
チェックインしてすぐ風呂に行った。風呂は、特に眺めがなかったのが残念といえば残念だが、広くて清潔で、とにかく気持ちよかった。部屋も落ち着いた色合いのフローリングで、こういうところが高額の理由かな、とか思ったりもした。
さていよいよ大注目の夕食バイキング。地産地消を謳っていて、北海道産の食材を使った料理がずらりと並ぶ。キャビア・フォアグラはなかったが、きちんと調理されていて美味しい食事だった。なかでも恐ろしく美味かったのがトマトジュース。トマトジュース独特の青臭さがほとんどなくて、甘い。ふたりで5杯は飲んでしまった。メインはステーキ又は鮭のムニエルを選ぶことになり、これらは目の前で調理してくれる。ステーキをレアでお願いしたらちゃんとレアにしてくれた。が、部位が肩ロースみたいなところでちょっと筋っぽかったのが残念。