大雪山(緑岳・白雲岳・北鎮岳・当麻乗越)2001年8月10日 - 11日 山小屋利用

8月9日

羽田発15:20のJAS197便で旭川へ。空港からバスに乗って旭川駅に到着したのは18時を過ぎていた。駅から層雲峡のペンション「山の上」を電話で予約。駅前の西武デパートのカレー屋で夕食をとり、バス・タクシーと乗り継いで層雲峡に向かった。
タクシーの運転手によれば、7月末の豪雨で銀泉台への車道が土砂崩れで通行止めになっており、10日18時にようやく開通するのだという。一番歩きたかった銀泉台コースへの道が閉ざされた。黒岳の道は先月歩いたばかりなので、大雪高原温泉から入山することにした。

8月10日 晴れのち曇

6:57 大雪高原温泉出発(高度計:1240m, 温度計:25.0℃)

ヒグマ情報センター
ヒグマ情報センターを振り返る
高原温泉は層雲峡からタクシーでおよそ30分ほど。料金は7,000円でお釣りがきた。入山届を書き込んで、出発。
いきなり樹林帯の坂だが適度な斜度で、たいへん歩きやすい道を行く。あっという間に通り抜け、植生が変わったな、と思っているとすぐに緑岳が見えてくる。

7:48 第一花畑到着(1525m, 26.0℃)

第一花畑
第一花畑
予定よりかなり早く着いてしまった。花畑にはチングルマ・エゾコザクラが咲き乱れていた。思ったよりも花が多く、感嘆の声をあげる。

7:59 第二花畑(1530m, 27.1℃)

第二花畑
第二花畑
数分歩くと今度は第二花畑。チングルマ・エゾコザクラに加えてワタスゲの穂がたくさんあった。
ゆるやかな道を北進すると、小さな崩壊地に出る。そこを越え、道は西向きになり、ハイマツのトンネルになる。トンネルはすぐに終わり、ガレた急斜面に取り付く。これを登りきれば緑岳だ。

9:53 緑岳到着(1980m, 20.9℃)

旭岳方面
緑岳から旭岳方面
黄色いペンキ印を頼りにジグザグを切って登って行く。ガレた斜面は吹きさらしで、西から強風が襲ってきた。足元も悪く、なかなかスピードが上がらないが、晴れていて眺めは良い。振り返ると忠別岳の向こうからトムラウシが見えてきた。
景色に励まされるようにしてようやく緑岳に到着。展望は最高だった(ぐるぐる写真)。しかしなにしろ寒い。カッパを着込み、大きなケルンに隠れるようにして行動食を食べた。

11:11 小泉岳到着(2120m, 23.3℃)

小泉岳への道
小泉岳への道
北に向かって歩くと、白雲岳の陰に入ったせいか、風はいくぶん弱くなった。荒涼とした、のびやかで、ほとんど平坦な道を楽しむ。白雲分岐まで、そんな道がずっと続く。周囲は花の終わったホソバウルップソウがいっぱい。振り返ると緑岳・トムラウシ・十勝連峰が並んで見えた
小さな起伏をふたつほど越えると小泉岳山頂に到着。

11:24 白雲分岐着(2080m, 22.0℃)

凌雲岳
ひょっこりと現れた凌雲岳と雲海
小泉岳は平らすぎてどこが山頂かわからなかった。北に目を向けると凌雲岳が頭の先だけ突き出して、バックの雲海が見事だった。ほとんど傾斜のない、小石がごろごろ転がった道をぶらぶら下ると白雲分岐だ。

12:01 白雲岳登頂(2195m, 25.7℃)

旭岳
白雲岳から旭岳の残雪模様
分岐にザックをデポして白雲岳に向かう。岩がごろごろした道をたどり目の前の岩山を乗っ越すと白雲平と呼ばれる小平地に出て、意外に間近に山頂が見える。白雲平の縁を歩き、急な岩ゴロの斜面を少しだけ登ると白雲岳山頂に到着。分岐からほんの20分ほどであった。
展望は360度。風はほとんどなく、暖かかった。ここから見る旭岳方面の残雪の縞模様は有名だが、8月も半ばで雪があまり多くなかったのはちと残念だった。

12:53 再び白雲分岐(2085m, 24.5℃)

小泉岳
まるで鯨のような小泉岳(白雲分岐付近より)
今日は白雲岳でキャンプするつもりであったが、まだ時間が早いので、黒岳石室まで行くことにした。白雲岳よりは混雑するかもしれないが、明朝は北鎮岳にも寄れるし、有名な桂月岳のご来光も見られるし。

14:00 北海岳到着(2085m, 18.0℃)

北海岳への道
北海岳への道
再び荒涼とした道を歩き、北海岳へ。また西から風が吹き付けてきた。山頂は恐ろしく寒く、とてもじゃないけどじっとしていられない。早々に下る。北海沢への道の斜面にはコマクサの群落が残っていた。

7月の山行では美しかった北海沢の花畑は、すでにほとんどの花が終わっていて寂しかった。しかし道中、雪が解けたばかりのところには花が咲いていた。エゾツガザクラが多く、目についた。

15:42 黒岳石室到着(1835m, 19.9℃)

黒岳石室
がらんとした黒岳石室内部
のんびりと花を愛でながら歩き、黒岳石室に着くと、石室前広場は閑散としてひっそりと静まりかえっている。中を覗いてみたら、16時だというのになんと3人しかいない。テントの方が混んでいて、15張りくらい。幕営するつもりでいたが、どうしよう。
受付で聞いてみると、団体の入る予定もないし、今日はこのままだろうという。そこで、コマクサに囲まれたテント場も魅力的だったが、石室に泊まることにした。管理人氏は「毎年盆休みは泊まりきれないくらい混雑するのに今年は異常だ」とも言っていた。

石室にて

結局、定員100人の石室に泊まったのは10人強であった。石室内は雨天時以外はコンロ使用禁止で、夕食は外で食べた。すいていたのはよかったが、無神経な輩がいたようで、夜中に出入りして大きな音で戸を開け閉めするので、1時間おきくらいに起こされた。また、朝方誰かがタバコを吸ったので、すっかりヤニ臭くなって気持ち悪くなってしまった。

動物

このあたりのキツネはテントを荒らすという。常習犯が2匹いるらしく、テント場の入り口には、下半部を大きくざっくりと破られたテントの写真とともに、指名手配写真が掲示されていた。飲用水も絶対煮沸が必要だ。また、シマリスも石室内をうろちょろしていた。どこかに穴でも開いているのだろう。しかしこのリス君にはトイレでも出会った。当然そのままの足で石室内をうろつきまわったに違いない・・・

トイレ

トイレといえば、近年、山のトイレが大きな問題になってきた。特に北海道では深刻で、層雲峡のビジターセンターでは携帯トイレを無料で配布・回収するなど対策を講じており、ここ石室にも携帯トイレ用個室テントを設けてあった。我々も一応携帯トイレを持参はしたが、下山先が愛山渓なので回収してもらえないため使わなかった。個人的には使用に抵抗感はないが、ブツを空港や駅に捨てるわけにはいかないし、かと言って持ったまま飛行機に乗るわけにもいかない。やはり遠方からの登山者には回収までしてもらえるとありがたいと思った。
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