トムラウシ - 旭岳縦走 (3/4)

7月29日 晴れのち曇り

ヒサゴ沼
ヒサゴ沼の朝
本日も3時に起床。テントから顔を出してみると、空は晴れ渡っていた。予報は良い方に外れてくれたようだ。今朝のテント内は10.5℃。前日に比べれば格段に暖かく、木道も凍ってはいなかった。
朝食は前日同様、余りご飯を雑炊にして食べた。前日、山頂でカフェオレを飲むまで調子があがらなかったので糖分が不足しているのかと思い、この日は朝から温かいカフェオレをがぶ飲みする。
どうも行動食が欠乏気味なので、予備食として持ってきていたアルファ米を使うことにした。袋の中にお湯を入れて15分待てばごはんができあがる。これを作っておいて、行動中に食べようというわけだ。

5:19 ヒサゴ沼発(高度計:1650m, 温度計:17.7℃)

登山道
花に囲まれた道を右上の大岩目指して登る
相棒がトイレに寄っている間にかつりんは水を汲み、化雲への分岐で落ち合うことにして出発。水汲みを終え分岐に先に着き、ボトルをザックに詰めていると、後から相棒がやってきて、なにやら赤がかったきれいな鳥を見たという。あとで調べてみたらなんとギンザンマシコらしいという結論に達した。いいなあ。
分岐からは潅木の中を掻き分けるように行くので朝露でびしょびしょになるため、カッパの上着着用で登りはじめる。するとすぐに暑くなってきた。
潅木を抜けると一昨日同様、エゾコザクラがきれいだ。カッパを脱ぎたかったが、道はぬかるみなのでザックを置くことはかなわず、雪渓に着いてようやくカッパを脱いだ。
それにしても素晴らしい天気だ。朝の雪渓を爽快な気分で登ると、昨日が最後かもしれないと思っていたトムラウシの姿を見ることができた。こうなると化雲平からの眺めが楽しみだ。

6:43 化雲岳東の分岐(1850m, 24.9℃)

登山道
雲海をバックに登る
トムラウシ
エゾコザクラが咲き乱れる化雲平とトムラウシ
化雲岳山頂には目もくれず、神遊びの庭へ突進。すると、なんということだろう。一昨日ちょっとがっかりした花畑は、朝の光を浴びて見違えるように美しかった。昼のぎらぎらした光線ではよくわからなかったが、実はアオノツガザクラが盛りで、花畑はクリーム色に染まっていたのだった。光の加減でこうも違うのだ。
分岐近くの木道の待避線にザックを置いて、撮影会と相成った。

7:01 化雲平発(1850m, 25.2℃)

ニペソツ
チングルマの花畑とニペソツ
トムラウシ
化雲平の花畑とトムラウシ
ここはできれば早めに出発したかったが、そんなわけで結局長居してしまったのだった。
ヒサゴに泊まっていた人たちの多くはトムラウシ方面へ行ったため、あたりには我々のほかには3人パーティがいただけで、とても静かだった。

7:48 五色岳(1860m, 30.9℃)

トムラウシ
五色岳に着いた頃にはトムラウシは雲の中
ハイマツ林をかいくぐり五色岳に到着。旭・白雲はきれいに見えたが、トムラウシは雲に隠れてしまった。
ここで朝作っておいたアルファ米を食べたが、これがなかなかイケた。五目飯だったので、コンビニのおにぎりのような感じだった。
ここからさらに激しいハイマツ林を下る。この道は、明らかに3年前より歩きにくくなっていた。

8:36 忠別小屋分岐(1715m, 33.9℃)

忠別岳
忠別小屋分岐から忠別岳を見上げる
忠別小屋分岐の手前からしばらくは裸地を行く。ハイマツがなくなってほっとするが、日に炙られて暑い。
このあとの忠別岳への登りはさらに厳しいハイマツ林だ。下りであれば重力にまかせて枝を押し切っていけるが、登りだとそれができず、自分の力だけでハイマツに抗わなければならない。一番キツいところではハイマツに身体を投げ出すようにしてようやく突破するといった有様だった。ハイマツ林を抜けたときは、わずか200mの標高差とは思えない疲労であった。相棒の薄手のTシャツはあちこちほころびができていた。
この登りで対向数パーティと行き違う。白雲を早出した人たちとちょうど行き違うのがこのあたりなのだ。白雲小屋の混雑状況を聞くと、大したことない、ということだった。

10:06 忠別岳登頂(1925m, 25.2℃)

イワブクロ
忠別岳山頂のイワブクロ群落
山頂にはかなり消耗して到着。当初はここに11時くらいに着けばいいと思っていたが、案外早く着いたので長めに休憩をとることにする。
山頂には先客がいたがすぐに去ってしまい、我々だけになってしまった。東斜面のチングルマは穂が目立つようになっていたが、山頂ではイワブクロがたわわに咲いていた。

10:34 忠別岳発(1920m, 24.4℃)

忠別沼
忠別沼を見下ろす
忠別沼へはだらだらとした下りとなる。途中でキツネと遭遇した。
沼が見えたとき、反対側の斜面が白く染まっているのが見えた。どうやら凄い花畑になっているようだ。

11:09 忠別沼(1750m, 23.9℃)

忠別沼
忠別沼
花畑
忠別沼北側の大花畑、遠くは化雲岳
斜面を下りきってからぬかるみを抜けてようやく沼に到着。下りきってからが意外に長いが、シオガマの花やワタスゲの穂があって気分は少し救われた。
沼の周囲はチングルマ・エゾコザクラなど。圧巻なのは先ほど白く染まって見えた北側の斜面だった。メインはチングルマだが、中にシャクナゲもあったりした。待避線にザックを置いてしばし休憩。

11:34 忠別沼発

チシマキンレイカ
チシマキンレイカの群落
チシマツガザクラ
チシマツガザクラの大群落
沼を後にして斜面を登りきると再び石ゴロの道になる。周囲はチシマキンレイカの黄色い花で埋め尽くされていた。歩きにくい道をさらに進むと前方がぼうっとピンクに染まっている。コマクサにしては色合いが違うような。近づくとそれはチシマツガザクラの大群落だった。小さな地味な花なのに、地面が染まるほどに咲いているってのは凄いことなんじゃないかと思ったのだった。
この頃から雲が増えてきて、旭・白雲は見えたり隠れたりを繰り返すようになった。

13:36 三笠新道分岐(1760m, 29.4℃)

花畑
平が岳の花畑
白雲岳
三笠分岐付近から白雲岳を望む(実は小屋も見える)
平が岳の潅木帯の中のチングルマ・エゾコザクラの密集は相変わらず凄まじかった。ぬかるみも相変わらず凄まじかった。ここは木道があるといいなあと思う。
ちょっとがっかりしたのは高根が原のコマクサが少なかったことだった。平が岳の潅木帯に入る直前と、三笠分岐の南側の2箇所に群落が残っていたが、他は花期が終わってしまったようだ。コマクサが終わった岩礫地ではイワブクロが多く咲いていた。

14:53 白雲岳避難小屋着(1940m, 22.5℃)

白雲小屋
不思議な天気の中を白雲小屋(右上)目指して歩く
予定より1時間も早く白雲小屋に到着。夏休みの土曜ということで大混雑していると思われた白雲のテント場は、わずか4張りしかなく拍子抜けした。テントは最終的には8張りとなった。あとで聞いたところによると、海の日連休以外はさほど混まないということだった。
雷がゴロゴロ鳴っていて、旭岳の向こう側の空が真っ黒になっていたが、幸いこちらには来なかった。これもあとで聞いた話だが、このとき旭岳のふもとの東川町では時間降水量50mmというとんでもない豪雨に見舞われていたそうだ。畑が池のようになっていたという。そんなのにテント場で遭ったらと思ったらぞっとした。
本日の夕食は岳食シリーズ(またかよ)のきのこスープとクスクス、ひじきのサラダ。クスクスは乾燥臭さが鼻について美味しくなかった。ひじきサラダには残りのキュウリを入れた。この生野菜が疲れた体に染み渡って最高に効いた。
天気予報はあまりよくない。翌日は銀泉台に下りるつもりだったが、登山口の山小屋が閉鎖したのと、バスが夕方までないので今回は見送り。晴れたら旭岳、雨だったら黒岳から層雲峡へ下山ということに決めて、眠りについた。
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