大雪山白雲岳 2012年7月22日 - 24日 テント定着

計画

気象

当初は北アルプス雲の平とか白馬岳あたりを考えていたが、東日本は大気の状態が不安定とのことで断念。東北も同様で、するともう北海道に行くしかない。
北日本はオホーツク高気圧の圏内で、太平洋側で雲が広がるもののしだいに回復し、26日にかけて概ね晴れるという好予報だったのは出発前々日の19日。それがその翌日には太平洋高気圧の勢力が強くなって影響を受けるとか言い出した。むむう・・・ でもまあ、どのみち休暇もとっちゃったし、飛行機もとっちゃったし、行程の前半は良さそうだし、なんとかなるだろう。

行程

当初の計画は上述のとおりトムラウシ山縦走で、前年歩いた道とほぼ同じ、前日層雲峡泊で白雲→ヒサゴ沼→トムラウシ山頂アタック→ヒサゴ沼→天人峡下山、というものだった。前年は銀泉台から登ったので、今回は黒岳から入ることにした。こちらの道も北海沢や北海平の花畑が美しいことは知っている。(エスケープルートとして、白雲小屋に2泊して山中でまったりしてから下山、ということも考えてはいたが、まさか本当にそのオプションを選択することになるとは思わなかった)

装備

出発前夜、ガスカートリッジを予約しようと新千歳空港売店のスノーショップに電話をしたが通じない。おかしいなと思ったが、よくよく店舗案内を見ると16:30で閉店してしまうようだった。予約できないのはチト不安だが、まあなんとかなるだろう。(結局、店頭には結構な数の在庫があったので事なきを得た)

7月21日 曇り

旭川へ

早朝の横浜線が人身事故でストップしてしまい、このままではフライトに間に合わず、というところをタクシー(しかも道をあんま知らない運転手だった)を使ったりして必死で羽田に向かったら、飛行機の出発遅れでなんとかギリギリ乗れたはいいが、今度は新千歳空港到着がさらに遅れて、旭川行きスーパーカムイにあわや間に合わず、という、のっけからスリル満点の渡道だった。そんなこんなで、旭川に着いたときにはもうへとへと。ガスカートリッジは新千歳の短い乗り換え時間でなんとか買えた。やれやれ。
旭川は日なたは北海道とは思えないような暑さだった。旭川駅の整備はますます進んでいた。西武でトマト、きゅうりやパンを買った。今回は行動食のお菓子もなるべく地のものにしようと考え、銘店街でお土産お菓子を買いこんだ。生菓子系に美味そうなのがたくさんあったが、さすがに山に持っていくわけにはいかない。続いて閉館間近の駅前エスタに移動。100円ショップでトマトのパッキング用にプラスチックのパックなどを買い、1階のパン屋で軽い昼食をとってから、昨年食べてすっかり気に入ったサン蔵人のお菓子を買った。そしてこれまた昨年気に入った「ふらのバタじゃが」をキヲスクで買ってからバスに乗った。

層雲峡へ

バスはがらがらで、上川から乗ってきた人もたったの2人。終点の層雲峡で降りた乗客は6人だけだった。層雲峡温泉も閑散として、夏休み最初の土曜日だというのにひっそりと静まり返っていた。宿にチェックインしてすぐにビジターセンターとロープウェイ駅に情報収集に向かった。センターの職員氏によると、登山道に危険箇所はないとのこと。ロープウェイ駅ではガスカートリッジを売っているのを確認(イワタニとEPI)。
宿は前年の縦走のときも泊まったホテルノーザンロッジ。ここはロープウェイ駅にもバス停にも近いのだ。夕食はチーズフォンデュを選択。これも去年と変わらない。すると今年も花火大会があるのかと思いきや、こちらは来週の開催のようだった。
夜、テレビの天気予報を見ていたら、なななんと、まさかの傘マークが、しかもトムラウシ山頂アタック予定の24日に付いた。嗚呼・・・ しかし嘆いていても仕方ない。少なくとも、明日は、白雲までは行くのだ。

7月22日 晴れのち曇り

4時に起きて、おにぎり弁当を食す。支度を調えて、ロープウェイの6時の始発便に乗るため、5時半に駅に並んだ。北の大地の人々の持ち前のおおらかさで列ははっきりしないものの、先頭から20番目くらいだろうか。これなら楽勝で乗れるだろう。そうこうしていると始発が5:50に早まった。ラッキーだ。
ロープウェイが雲を突っ切ると、黒岳が姿を見せた。

6:43 黒岳7合目(高度計:1555m)

黒岳
リフトで7合目へ向かう(06:26)
マネキ岩
マネキ岩とキンバイソウ(08:08)
ロープウェイからリフトに乗り継いで7合目から登山開始。登りでは、キンバイが盛りできれいだった。雨がしばらく降っていないせいもあって歩きやすかった。トレランのイベントがあったらしくて、物凄い数のランナーに抜かれた。9合目を過ぎたところでオコジョが現れた。4月に買った新しいカメラはピント合わせが遅く、撮影しそこなったのが残念。

8:15 黒岳登頂(1995m)

山頂
黒岳山頂(08:29)
山頂は、期待通りの展望だった。花も美しく、エゾツツジがたくさん咲いていた。地味だがチシマツガザクラも多かった。
休憩のあと気分よく山頂をあとにすると、アクシデント発生。なんとデジカメのSDカードが壊れてしまったのだ。フィルムカメラ時代に、撮り終えたあとにフィルムを巻き戻すのを忘れてカバーを開けてしまったあのときの気分になった。相棒の持ってきた予備カードに差し替えるが、容量はたったの1GB。仕方なく、RAW撮影は諦めて、jpegもサイズを落とすことにした。

8:56 黒岳石室通過(1910m)

花
赤石沢への下り道の花畑(09:08)
沢
赤石沢の渡渉点(09:17)
石室の近くから雪田植物が増えてきて、大雪山に来たんだあ、とテンションがあがる。
赤石沢の渡渉は問題なかった。

9:33 北海沢(1865m)

道
花の道(09:49)
道
北海岳目指してイワヒゲの道を登る(10:24)
北海沢は残雪も豊富で、融けたところからチングルマやエゾコザクラが咲き誇る。こういう花畑を見ると、ほんとうに大雪山はいいなあと思う。沢沿いに直進した先にベンチがあるので、ザックを置いて花を眺めながら休憩した。SDカードの容量を考えると写真を撮るのを躊躇ってしまう。
ここから北海岳の斜面にとりつく。花はイワブクロが目だった。斜面は傾斜そのものは大したことはないが、暑さと、ちょっとザレているのが精神的に参る。縦走初日なので荷物も一番重いし。

10:39 北海岳登頂(2155m)

花
北海岳山頂下の花畑(10:29)
白雲岳
北海岳から白雲岳を眺める(10:54)
北海岳に着いたときは、目指す白雲岳以外の山は雲に隠れていた。山頂ではあまり休まずに、すぐに歩き始める。山頂の南側斜面には、この道中の白眉の花畑があるからだ。

北海平の花畑

花
北海平の花畑(11:16)
花
チングルマと白雲岳(11:19)
下っていくと、果たして、花は盛りだった。こんなすげーの見たことない。花畑のバックにはトムラウシ山があるのだが、この日この時は残念ながら見えなかった。
腰をおろしてのんびり花を見ている人としばし歓談。その人は割りと近くに住んでいるらしく、月に数回は大雪山に登っているようだ。曰く、小泉岳の花畑が日本一美しく、しかもそれが今一番いい時季で、とにかく素晴らしいという。コマクサ平のコマクサは花が新しくて数も多く、なにしろ素晴らしいという。ウルップソウのことを聞くと「今はつぼみ」というので、トムラウシ山アタック予定日の予報が芳しくないことから、白雲に連泊しての周辺の花見に心が揺れた。まあいずれにしても、今日は白雲まで行くことに変わりはない。明日以降はまた夜にでも考えることにしよう。

白雲岳北斜面の花畑

道
えぐれた登山道(11:40)
花
白雲岳北斜面の花畑(11:58)
キバナシオガマやらコマクサやらをちらほらと眺めつつえぐれた道を歩いていくと、中間地点のベンチに到着。先の方の斜面に人だかりが見えた。そうそう、白雲岳北斜面のあそこらへんも花がきれいなんだよな、と思いつつ近づくと・・・
とにかく、ものっそい花畑だった。チングルマとエゾツガザクラが今を盛りと咲き誇っていた。ついさっき、北海岳南面でこんな凄いの初めてだ、と思ったのがもう更新されてしまった。特にエゾツガザクラは、一体全体どうしちゃったの、というくらい密集してたわわに咲いていた。ピンク色のビー玉を誰かが面白半分にぶちまけてしまったかのような感があった。道より谷側はそんな感じで、山側はアオノツガザクラがびっしり。とにかく凄い。すれ違う人・追いついてきた人も皆口々に「すごいですねえ」「きれいですねえ」と繰り返す。
ひとしきり写真を撮り、チングルマ・ツガザクラゾーンを過ぎると今度は一面のイワヒゲが。充分凄いはずなのに、ちょっと地味に感じてしまうのだった。

12:23 白雲分岐(2135m)

雪渓
雪渓のトラバース(12:09)
残雪をトラバースし、花のない道を15分ほど登って分岐に到着。ザックを置いて、サブザックひとつを取り出して水筒などを詰めて白雲岳山頂を目指す。

13:04 白雲岳登頂(2235m)

旭岳
旭岳は雲の中(13:06)
白雲平
白雲岳山頂からの白雲平(13:09)
白雲平の花は、チングルマが半分くらい散っていたりなど、終わりに近づいていた。ここではお馴染みのヨツバシオガマも今回は少なかった。それでもまだ雪融け直後のところでは活きのいい花もあって美しい。意外なところではエゾヒメクワガタがきれいだった。
山頂からの展望はいまひとつだった。白雲上空は青空だったが、トムラウシ山や旭岳は雲の向こうだった。旭岳の残雪模様は、山全体が見えないとぱっとしなかった。しかし、適度な量の雲のおかげで暑くもなく寒くもなく、さらには他に誰もいないという、とても気持ちよい山頂だった。

14:18 白雲分岐(2130m)

花
白雲平のヨツバシオガマ(13:49)
白雲岳周辺もとうとうガスに包まれてしまい寒くなってきたため、下山することにした。
白雲分岐でザックを担ぎ、思いのほかガレた道を下っていく。ノゴマの鳴き声がにぎやかだ。

14:52 白雲岳避難小屋着(2000m)

花
水場に咲くキンバイソウ(15:46)
花
水場近くのキンバイソウ・キンポウゲ・ウコンウツギ(15:47)
リュウキンカ咲き乱れる水場を過ぎると白雲小屋だ、と思ったら、この日の黄色はキンバイソウだった。大ぶりで、見事だ。もちろんリュウキンカも咲いていたし、フウロソウなんかも見事だった。
この日の最高高度は2235m、最低高度は1555m、積算上昇は890m、積算下降は440mだった。テント場はすいていたので、真ん中の乾いたところに張った。1時間くらいまったりとしてから食事の支度をした。今日の夕食は「行きつけにしたいあの店のチキンバターマサラ」だが、具が少ないので「ふらのバタじゃが」を投入した。
小屋の周りはシマリスだらけだった。ここは何度か来ているが、こんなにリスがいた記憶がない。食後、小屋の裏でケイタイで177を聞くと、なんと明後日24日のアタック予定日は曇り一時雨で降水確率50%、25日の下山日も曇り一時雨という予報になってしまった。登頂予定日と、ぬかるみで名高い天人峡コースを歩く日に雨予報とは・・・ いろいろ考えたが、白雲2泊で下山することに決めた。
テントは最終的には14張だった。日曜ということもあろうし、海の日連休以外はさほど混まないのだろう。
ページ内を句点で改行する