聴いた、観た、買った ---淡々と音喰らう日々。

2000.06.01-30

>07.01-31
<05.16-31
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★は借りた新着、☆は新規購入。

今回集中的に論評したディスクなど:
シャーマン兄弟に首ったけ
Milton Nascimento: "MILTON"
Hermeto Pasocal: "So Nao Toca Quem Nao Quer"
XTC: "Wasp Star: Apple Venus Vol. 2"
The Best of Ella and Louisへの紆余曲折

今回から暫くは回想録的になります。というのも、普段なら骨子くらいはメモ書きしているところ、忙しくてそれすら後から穴埋めするような状態なので。

なお、このたびリンクの設定と一部加筆を行いました。っても大したことないんですが。一応色変えてあります。(2000.8.25)


6/1 思い起こして書いているのがもう8月なのだが、この時期は確か風邪をもらって、ゆっくり休んで治すヒマがなかったので2週間近くも引っ張った記憶がある。だから何だか選曲もアドレナリン分泌を増進しようとしてるかのよう。

Ivan Lins: "20 Anos" (Som Livre, 1990)
Lo Borges: Meus Momentos 2CDs (EMI Brasil, 1999) 特にDisc 2 を。
XTC: "Skylarking" (Virgin, 1986)

6/2 Youssou N'dour: "Set" (Virgin, 1990)
Lo Borges: Meus Momentos 2CDs, Disc 1
で、これがどうしてアドレナリン? と、Lo Borgesを聴いたことのある方、あるいはここを読まれた方は思うのだろうけれど、Disc 1 の"Via-Lactea"、"Todo Prazer"といった曲、なかでも特にDisc 2 "Vida Nova"などに通底する浮遊感はどこか春の芽吹きめいて、陽の射す方を向かせるかのよう。

6/3 パット・メセニー・グループ Pat Metheny Group: "The Road To You" (Geffen, 1993)

6/4 Peter Gabriel: "US" (Realworld, 1992)
おっと以下は家で深夜に。ですね。
Astor Piazzolla: "Tango: Zero Hour" (American Clave/Nonesuch, 1986)
Joni Mitchell: "Hejira" (Asylum, 1976)

6/6 Youssou N'dour: "Set"
"Miyoko"というトラックで連呼されている、ミヨコ・アキヤマってどんな人? 連呼されてるってのはほとんどネルソン・マンデラ並の扱いってことだろうか。とりあえずわかっているのは、このCDのジャケ写真撮影したことと、ユッスーの日本語オフィシャルサイトの管理人だということ。最初は「空耳」かと思ったよ、だって日本人の名前がフルネームで叫ばれる曲なんて聞いたことないもの。

Classic Disney Vol. 2 (Walt Disney Records, 1995)☆
『美女と野獣』からの収録曲が多いので以前から買おうと思っていて、ようやくCD NOWから到着。ところが蓋を開けてみるともう『メアリー・ポピンズ』に首ったけ。Vol. 1にも"Chim-Chim-Cheree"はじめ数曲入っていてそれも良かったんですが、今回収録の"Supercalifragilisticexialidocious" とかもう最高ですノリノリで楽しくて。シャーマン兄弟に敬服。それに"It's a Small World"も彼らの曲だったとは。知らなかった。しかもここに収録のオリジナルとおぼしきバージョンは、メアリー・ポピンズばりのミュージカル系オーケストレーションで、あのお子様向けのディズニーテーマと同じ曲とは一瞬気づかないほど。

6/7 ミルトン・ナシメント Milton Nascimento: "MILTON" (A&M, 1976/Verve, 2000)☆
ついに再発成った米国録音盤。バックの基本ユニットをベースのノヴェリ、ドラムスのホベルチーニョ・シルヴァらブラジル陣で固めつつ、ウェイン・ショーターら米ジャズ陣といいバランスで共演している。ショーターの『ネイティブ・ダンサー』も寄り添うような共演とコンセプトが好もしかったが、それと比べて更にジャズのインプロビゼーションの余地を限定し、その分ミルトンの声を遊ばせたことで、過度にではなく欧米的フォーマットに収まった格好になっている。既にこの前後の彼のブラジル録音を聴いている耳にとっては、そこが物足りなくもあり、また清々しくもあるのだが。かなり渋めの選曲ながら、ブラジル録音のリーダー作から美味しいところを再録しているので、ミルトンを知らない人には70年代の彼の音楽世界への良き入門編になると思う。少なくとも"A Arte de..."よりは。

Hermeto Pascoal: "So Nao Toca Quem Nao Quer" (?, 1987/Intuition, 1991)☆
5月初めにCD NOWから到着して積み上げてあったうちの1枚。と言うか、実はかなり疲れたときに聴いてきつかったので棚上げにしてあったのだ。その時は、オンライン試聴の印象と随分違うな、と思ったのだが... いやいやこれはとんでもない盤かも知れない。実は基本的なフォーマットはショーロらしい(といっても本格的ショーロを知らないので、推測まじりだが)。だがそのひねったコード進行といい、所々ミニマル的な無機的な繰り返し感といい、時々はじける熱いフリーフォームな騒擾感といい、頭の中が加速度的に過熱する感覚は特筆すべき。幕間のように4回挟まる、おそらくは旧いショーロ・カンサォン(とでも言うのかな、歌もののショーロ)は、その基盤の確かさを証すと同時に、そこを起点として駆け登った到達点の、熱に浮かされた高みを際立たせる。

6/8 同上。グルグルと。

6/9 Cornelius: "Fantasma" (Trattoria, 1997)
あっ"It's a Small World"だ(T-1にちらっと登場)。考えてもなかったがシャーマン兄弟つながり。

6/12 Hermeto Pascoal: "So Nao Toca Quem Nao Quer"

6/13 同上。アドレナリン系ショーロ。

Charlie Haden & Pat Metheny: 'Walts For Ruth'
慌てて課題曲の予習。まずは耳学問。ヘイデンのベースラインは自然な流れに逆らうように跳躍し、一聴した感じとは裏腹につかみどころがない。大丈夫か私。

6/14 Cornelius: "69/96" (Trattoria, 1995)
今現在の嗜好で言うと、"Fantasma"のほうが好みかもしれない。でもこのディスクのやり過ぎ感がもたらす何とも大きな笑いはやはり代え難い。

6/15 XTC: "Wasp Star: Apple Venus Vol. 2" (Idea, 2000)☆
届きました届きました。待っていたのだが...しかし何か、Vol. 1に比べてずいぶんドメスティックに引いてる感じがする。アレンジの指向性の違いだけかというと、そうでもないような。元々、何十曲か書いた中からVol. 1用とVol. 2用に仕分けてオーケストレーションを施したようだし、そうであれば曲の書かれ方からしてそもそも二通りの指向性があったか、という気もする。ただ、"Skylarking" (1986)に見るように、それらが渾然一体となってはじめてXTCの音という気もするので、Vol. 2だけを単体で鳴らすのはどこか妙なアンバランス感が伴うのだ。

6/16 XTC: "Apple Venus Vol. 1" (Idea, 1999)☆
というわけで、Vol. 1にも立ち返りつつ。しかしVol. 2の緻密なギターポップの微妙なポジショニングに慣れ親しんでくると、むしろVol. 1の突飛なオーケストレーションがあまりに大上段に感じられたり。妙だ。

6/17 ご近所セッション第3回。いきなりやってみた「カーニバルの朝 Manha de Carnaval」(サンバというよりサルサっぽくまとまったArt Farmer版による。トランペットにピアノで合わせた)が思いの外上手く行ったので我ながら驚く。ピアノの腕には不自由しているのだが、ほんの時たま、何かに憑かれたように上手く弾ける時ってのがある。この日はまさにそれ。だってこの曲、個人練習なしのぶっつけ本番なんだもの。調子に乗ってもう1度トライ、この時は連れ合いがシェーカーで参加、ますますグルーヴ感が引き締まる。
あ...ちなみに'Waltz For Ruth' はほぼ壊滅です。訊かないでお願い。

で、例によって打合せを騙っての飲み会。今度は我が家で。

Pat Metheny Group: "The Road To You" (Geffen, 1993), "Quartet" (Geffen, 1996)
ディチューンされたアコースティック・ギターの音に「これヘンな音だねえ」といってはしゃぐ子供ら。「子供の頃からこういう音楽に親しむといいかも」などと親たちも面白がる。いや、正直言うと、ある程度は音楽の「型」を身につけてから、そういう路線に進めばいいという気もする。だが、放っておいても子供らは何より歌うことそのものを通じて音楽に入っていくのだから、むしろそれを彩る脇道が多少多いくらいのほうがいいのかも知れない。実のところ、子供向けの音楽教育がドイツ的な旋法や4分割系リズムに基づく唱歌や楽曲に偏りすぎているのはどうかと思うのだ。

6/18 Ella Fitzgerald & Louis Armstrong: The Best of ... (Verve)☆
「恋人たちの予感」(ロブ・ライナー監督、1990年頃?)という映画があった。メグ・ライアンの出世作(?)で、本筋は地方の大学を出てニューヨークで業界人してる同士の旧知の二人が、あれやこれやの末に恋人として結ばれるという、いわばイケすかないトレンディ映画なのだが、しかし会話の絶妙な書かれ方ゆえに支持する一本。ここでサントラに使われていたサッチモのガーシュウィン物が欲しくて、実はずっと探していたのだった。映画のサントラも入手したが、何故かそれはハリー・コニック・Jrが歌い直していて(それは「サントラ」とは言わんだろう)あっさり放出、中古屋の棚には同じCDがずらっと並んでいて、同じ事情で売った人がわんさといたのだなーと苦笑したっけ。

で、ようやく出会えて無事購入。何故なかなか見つからなかったか、というとそれはエラ・フィッツジェラルドとのデュオ名義とは思い付かなかったせいなのだが。しかしこの頃のエラって、私が比較的知っている後期とは違ってまるでクラシックのような真っ直ぐな発声そしてスタイル、そしてそれが奔放なアドリブへと流れ込む感覚が魅力的。

6/19 同上。

6/20 XTC: "Apple Venus Vol. 1", "Wasp Star: Apple Venus Vol. 2"

6/21 上記を逆順で聴いてみる。

Galina Ustvolskaya: Octet, Sonata No. 3, Grand Duet etc. (Melodiya/BMG, 1997)
某所でウストヴォリスカヤが話題になったので、久々に。最近は落ち着いてこういうダイナミクスの大きいものをステレオで鳴らす機会がなかったが、やはりこの人は独特。どこかで彼女の音楽を評して「音が垂直に屹立するような」と書いている人がいたが、そうした表現がぴったり来る。構えて聴くのではなく、心を無防備に晒して聴いてると体中のツボに効いてくるような音楽。

6/22 トニーニョ・オルタ Toninho Horta: "Durango Kid 2" (Big World, 1995) ☆
T-1 "Aquelas Cosas Todas" は、何と知っているはずの曲なのに彼の曲とは知らなかった! いったいいつどこで聴いたんだろう。しかしこの曲がとにかく最高なのだ。ギター一本で一人サンバするのだが、スピード感といい色彩の変化の仕方といい、胸ときめくような。

XTC: "Wasp Star: Apple Venus Vol. 2", "Apple Venus Vol. 1"
夜、久々に勝手に寝入ってくれた息子を畳の上に転がしたまま。

6/25 V. A. "Duo Piano Extragavanza" Martha Argerich, Nelson Freire, Stephen Kovacevich (Pf) etc. (Philips, 1995), Disc 2
この盤の目玉はサン・サーンスの『動物の謝肉祭』。クレーメルら一味が、初演当時だってここまではやらなかったであろうという悪ふざけに徹して圧倒される。極端な擬音、極端な緩急、そして何より「ピアニスト」の部分、本当にど下手くそに弾く! スケールの練習で苦労した覚えのある人なら苦笑すること請け合い。

Children's Favorite Songs Vol. 4 (Walt Disney Records, 1990)
最近、あまり息子からも指名がかからないが、やっぱり「タイムレンジャー」とかに夢中になってるせいか。とはいえタイムレンジャーの主題歌ってアニメ/特撮系としては結構いける方かも。少なくとも杏里の「キャッツ・アイ」とかエヴァの主題歌よりはレベル上だと思うがなあ。

Boca Livre (MP, B, 1979/Warner, 1998)

6/26 XTC: "Wasp Star: Apple Venus Vol. 2"
Toninho Horta: "Durango Kid 2"

6/28 Flavio Venturini e Toninho Horta (Dubas Musica, 1989)
XTC: "Apple Venus Vol. 1"

6/29 Toninho Horta: "Durango Kid" (Big World, 1993)
ビクトール・ハラ Victor Jara: "Viento del Pueblo" (Monitor, ?)☆
チリの軍事政権の犠牲になった伝説的フォークシンガーのベスト。詳しくは改めて

駅からの帰り道、不意に横に飛び出してきた若い女にぶつかられる。左の胸板に激痛。振り返ってむっと睨むが、そんな堅いもの持ってる様子もないので、一通り怒ってそのまま帰路についた。が、手で押さえていないと苦しいくらい痛む。...もしや肋骨を? 詳しくは次回を待て。...って、経過が良かったからのんきに更新してるんだろう、と。はい、そうです。

6/30 Classic Disney Vol. 1 (Walt Disney Records, 1995)
『美女と野獣』のビデオをかけようと思ったら、まず歌だけ聴くといって息子に阻まれる。で一通り掛けてからビデオ本編。...うーむ、何度見てもこの映画、オープニングのつかみが凄い。カメラアングルと言った方がいいような構図の動き、セリフと画像と音楽の絶妙なシンクロ。



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