EMS対空双眼鏡 Part. 1

超広角!倍率可変で星空散歩

  公開:2010年6月9日〜
更新:2010年10月6日 *アイピース: EWO 40mmを追加しました。

口径:50mm 倍率:7.8× 実視界:10.9° 見掛け視界:82° アイ・レリーフ:20mm 射出瞳径:6.4mm
                  倍率:14.7× 実視界:6.8° 見掛け視界:100° アイ・レリーフ:15mm 射出瞳径:3.4mm
                  倍率:19.2× 実視界:5.2° 見掛け視界:100° アイ・レリーフ:15mm 射出瞳径:2.6mm

   

超広角双眼鏡

 双眼鏡のページでも触れたが、双望会で、池田さんの超広角双眼鏡を見て、驚いてしまった。まず、おそろしく像のヌケが良い。そして倒立像で、遠近が逆転して見える。何か特別な高級レンズを使っているのかと思いきや、何とKenko のクローズアップ・レンズであった。結局、いくら優秀なプリズムであっても、無ければこれだけ像がクリアになる、という事を思い知らされた。2009年の年末、池田さんから、この双眼鏡をお借りした。とにかくクリアで広大な像、そして遠近感の逆転した倒立像に、改めて釘付けとなった。2009年の年末 〜年始に製作しようと思ったが、自分なりに別の方法を考えた。


mini BORG 50 BINO

口径:50mm 倍率:7.8× 実視界:10.9°見掛け視界:85°アイ・レリーフ:20mm 射出瞳径:6.4mm

 天文ファンにはmini BORG 45ED が人気だが、mini BORG 50 の焦点距離が250mmであるのに気づいた。これなら、笠井 EWV 32mm倍率:7.8×、実視界:10.9°、見掛け視界:85°という物凄い双眼鏡になる。アイ・レリーフも20mmあり、申し分ない。Ethos 17mm だと、14.7倍、実視界:6.8°、見掛け視界:100°の双眼鏡となる。さらに笠井の2インチ・アイピース・レデューサーを付けると焦点距離は150mmになり、EWV 32mm で4.7倍、実視界:18°という、超ウルトラ広角双眼鏡だ。さらにさらに、2インチ&T2直視プリズムを加えれば、正立像になる(写真右参照)。BORG と笠井から、様々なパーツが出ているので、本当にありがたい。

 あれこれ実験したが、結局mini BORG 50 本体に、M57/60 延長筒L(7604) を接続し、アイピースはEWV 32mm、倒立像で使用する事になった。2インチ・アイピース・レデューサーや直視プリズムを加える事での像の劣化が無視できないし、何よりも、遠近逆転の不思議な像を楽しみたかった。鏡筒の連結は、所有していたGitzo GS5370LB クイックリリース・プレートを使った。アイピースの固定ネジは1本とし、片方はM6 キャップネジ(7500) で埋めた。フォーカスは、本体レンズ部の摺動で行う。

 周辺像は、ベッツバール式の池田さんの双眼鏡に軍配が上がる。私の方式は、組み立て時間数分で、三脚も使用できる。それにしてもクリアな像だ。アイ・レリーフ20mmも貢献し、とても見やすい。片目で見ると普通の倒立像なのに、双眼にした途端、遠近感が逆転、建物の輪郭で像を切り取って、モザイクのようにちりばめた不思議な像になる。アンテナなどは、他の風景とアンテナの映像が重なったように見える。横にして見ても逆転像は同じで、普通の双眼鏡では横にして見てもそうはならない。人間の脳がGを検知し、立体像を作り上げるためなのだろうか、とにかく不思議だ。オリオン座は、三ツ星から下半分 が同一視野に入る。

 星空を逆転像で見る、という事は、北半球にいて、南半球の星空を体験できる、ということでもある。昔、地球が平らだ、と信じられていたのはヨーロッパが北にあったからで、もし赤道付近にあって、地球の1/4も航海していれば、球体である事がわかったのではないだろうか。

 手持ちだとピントがずれ、重いので、使い勝手は今一。周辺像は星が流れる。では、天体用に特化すると....?

  

EMS対空双眼鏡へ

  双眼鏡は手軽だが、手持ちでは星を見るのは短時間。三脚に付けても、星を見るには、相当不便だ。いろいろ工夫した三脚もあるが、対空式にすれば、一気に解決する。ならば、EMS銀ミラーに勝るものはない。つまり、この超広角双眼鏡とEMSを組み合わせれば、倍率可変の恐るべき対空双眼鏡が誕生する。

 という訳で、2010年の正月早々に松本さんに製作を依頼した。コンセプトは

  1. これは双眼鏡であり、小型のEMS BINOの製作依頼ではない。従って、従来のスライド式目幅調整機構は用いず、機構も見た目も極力シンプルに。
  2. 低倍専用であるが、イザという時は高倍率に耐えうる剛性を有していること。
  3. オブジェとしても美しい双眼鏡。
  4. 手持ち使用も可能にする。

 であった。松本さんがいろいろアイディアを出して下さり、またCNCフライス盤を導入した事で、さらに加工の自由度が飛躍的に上がった。最終的に今の形に落ち着き、半年後、ようやく届いた。

  

EMS対空双眼鏡

    1号機なので、これから少しずつモディファイしていく事になると思うが、まず本機を紹介したい。

 目幅調整機構

 まず、こだわったのが、目幅調整機構の部分であった。上述した通り、これはmini BINOではなく超広角双眼鏡なので、機構も見た目も重さもスッキリさせたかった。松本さんに相談したら、流石、次々とアイディアの提示があった。ちょうどCNCフライス盤の導入があったので、従来では不可能だった加工もできるようになった。そしてさらにアイディアが煮詰まり、機構のサンプルをいくつか製作・実験の後、現在のものとなった。

 ご覧の通り、基本構造はプレートの連結である。このプレートが、ノブを回転する事で、目幅が自在に調整できる。本体を手にした時、しっかりとした剛性が伝わり、これは、高級双眼鏡を手にした時と同じ感触で、“おおっ”と感動してしまった。このあたりの工作精度、かくれたノウハウは、流石としかいいようがない。

 フォーカス

 当初、私はレンズ部の摺動を考えていたが、松本さんは、BORGM57ヘリコイドLII が良い、と言う。高価なので躊躇したが、これは先人の意見に従った。これが大正解! フォーカスは近距離でもスムーズに迅速にできるし、アイピースもEWO 40mm からNagler Zoom 2.5mm まで難なく合わせられる。

  

 ちなみに、口径50mmの場合、最低有効倍率(口径÷7は、7.1倍、最高有効倍率(口径×2は、100倍である。いろいろなアイピースがあるが、EWV 32mm で7.8倍、実視界:10.9°となる。実視界:10.9°の対空双眼鏡!この数字を見て狂喜するのは、私だけではあるまい。しかも、見掛け視界:82°、アイ・レリーフは20mmもあるので、眼鏡を掛けたまま星図と双眼鏡を往復できる。

 また、Ethos 17mm では、倍率:14.7× 実視界:6.8°見掛け視界:100°アイ・レリーフ:15mm 射出瞳径:3.4mm。 Ethos 13mm では、倍率:19.2× 実視界:5.2°、射出瞳径:2.6mmになる。これ以上の倍率も可能だが、あとは親分に任せれば良い。
 

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径
  50mm 5 250mm          
EWO     40mm 6.25 11° 69° 20mm 8mm
EWV     32mm 7.8 10.9° 85° 20mm 6.4mm
Ethos     17mm 14.7 6.8° 100° 15mm 3.4mm
Ethos     13mm 19.2 5.2° 100° 15mm 2.6mm


 
三脚・架台

  

三脚は、高さが自在に変えられ、便利だ。
 

 三脚は、20年程前に購入して使っているGitzo の小型三脚をあてがった。小型望遠鏡は、何といってもヴィデオ雲台が一番だ。この双眼鏡はフロント・ヘヴィーならず接眼へヴィーで、アイピースを交換したら、当然バランスは崩れる。ヴィデオ雲台は、これらも全て吸収してくれるし、空を快適に流せる。

 ヴィデオ雲台は、P.S.T. で使用している GITZO G2380 が秀逸。同じでは面白くないので、今度はManfrotto 701HDV にした。もっと小型のもあったが、この位の大きさがないと、快適に動かない。

 見ての通り、トータル・デザインは大成功。黒色の中に赤い丸があると、Leica っぽくて格好いい。こんな事を書くと、おたくはブランド・バカオヤジか、と思われてしまいそうだが、写真を始めた頃、アンリ=カルティエ・ブレッソンの写真を見て衝撃を受け、ズルミックス35mmM5 に憧れ(当然、購入できず)、それから20年も経って、Leica CL を愛用していた私には、ちょっと特別な存在なのだ。Panasonic が下請けに出して作らせたレンズにライカ、ライカを連発して大いに呆れはてたが、それでも赤丸印は、やっぱりかっこいい。

 ちなみに、Leica CL で撮影した写真。同じMINOLTA 製レンズも愛用していたが、素人の家内が、数ある写真を見ていて、「これ、どのカメラで撮ったの!?」と驚く位、Leica のは空気感が別物であった。生き残るためにブランド乱発をしたのだろうが、本来の技術力は凄いのだ。

  問題発生!

 ヴィデオ雲台は、90°上を向かないではないか! P.S.T. で は真上を向くことはなかったので、うっかりしていた。せっかくの対空双眼鏡なのに天頂付近が見えないのでは、話にならない。そこで、アイベルの CD-1アングルプレートを使って 補正しようと思ったら、Nstarさんと蒼い星さんが裏技を教えてくれた。アームを逆向きに取り付け、逆方向で使用すると、キッチリ天頂を向く。


アイベル CD-1アングルプレート

   

 また、舞台撮影で使用しているクイック・シューVelbon QRA-635L があったので、これで雲台と連結してみた。横方向に使用し、雲台とシューのネジ穴双方をスライドさせて、EMS双眼鏡の重心を三脚の重心に近づけた。接眼部が重いので、快適な観望のためにはバランス取りは大切だ。

   

 なお、EMS双眼鏡の本体の三脚穴にダイレクトに装着するとヘリコイドと干渉してしまうので、クイック・シューの使用は、迅速な着脱を兼ね、ちょうど良い。外せは、そのまま机に水平に鎮座する。また、クイック・シューは薄めのものを使用しないと、天頂を向いた時に余計に雲台に負担がかかり(何せ接眼部が重い)、勝手に上を向いてしまう。

  

  

 ストラップ

   

  双眼鏡なら、手持ちも可能にしないと、という訳で、ストラップ用の穴を付けていただいた。ここをリングにする方法もあるが、ガチャガチャうるさいし傷も付くので、私は穴方式を所望した。ストラップは、10数年前に購入していたZeiss 製(京セラCONTAX かもしれない)のものを採用した。肩に合わせてカーヴして作られている優れもの。ストラップの取り付けは、接眼側のネジを緩め、棒を外して行う。

  

EMS対空双眼鏡 〜何を見るのか?

  絶好の天文スポットで観望、なんて私には年に数える程しかない。しかも数時間の勝負なので、ついつい欲張って、スーパー・ナビゲーター任せにビシビシ導入してしまう。実に良くできているので、数時間でも驚く程の数の天体の導入ができてしまうが、反面、空しさも残る。やはり、星図片手に位置を確かめながらゆっくり楽しみたいのだ。

 この双眼鏡は視野が固定でき、しかも天頂付近も楽に長時間観望できる。つまり、星図片手に星空散歩ができるのだ。都会の空だって、十分楽しめるのだ。しかも、アイ・レリーフが20mmなので、眼鏡を掛けたまま、星図と双眼鏡を往復できる。持ち運びは、片手で三脚ごと 軽々とできる。これって凄くないですか?

  

市販の超広角双眼鏡は?

  手持ちにはなってしまうが、市販にも超広角双眼鏡がある。焦点距離を短くしなければならないので、どうしても口径が小さいものが多い。


笠井 Wide Bino 28

 実視界28°のガリレオ式超広角双眼鏡。 このタイプの双眼鏡については、双眼鏡のページを参照していただきたい。
 


MIZAR  SW-525

口径:25mm 倍率:5× 実視界:15.5° 見掛け視界:77° アイ・レリーフ:14.5mm 射出瞳径:5mm

 実視界15.5°、見掛け視界77°という、超広角双眼鏡。普及価格帯双眼鏡のこの手はどうしようもない物も多いが、これは光線状態が厳しくなければ 一応ちゃんと見える。MIZAR、見えざ〜るの汚名返上。秋葉原の店頭たたき売りで発見し、見て驚愕、購入したが、高級双眼鏡の10〜20分の1以下の値段で、これだけ見えれば立派であると思う。ストラップが双眼鏡本体に通らず、装着に苦労した。このあたりがオソマツなところだ。
 しかしながら、口径は25mmなので、天体用としては、全く物足りない。また、広角を生かしてオペラに良いかと思いきや、やっぱり画像が価格相応なので、結局手放してしまった。


Kenko  7×32 SWA

口径:32mm 倍率:7× 実視界:13.1° 見掛け視界:91° アイ・レリーフ:8mm 射出瞳径:4.57mm

 実視界13.1°、見掛け視界91°という、超広角双眼鏡。ただし、アイ・レリーフが8mmしかないので、裸眼でしか使えない。見掛け視界91°というと、笠井のアイピース EWV 32mm の85°を超え、Ethos に迫る程だが、実際に覗いてみると、それ程広く感じない。ご覧のような、無骨なデザイン。
 口径32mmは、天体用としては、やはり物足りない。アイ・レリーフは短く使いづらい。周辺像も乱れていて、結局これも手放してしまった。

  

という事で、First Light

  横浜市内も、ここ20年でさらに随分明るくなった。快晴で深夜でも、空は黒ではなく灰色がかっている場合も多い。観望条件は劣悪なのだが、それでもメジャーなメシエ天体は楽しめる。入梅前の6月初旬、肉眼では2〜3等星が何とか、という条件だったが、さっそく覗いてみた。

 まず向けたのは、こと座。音楽とも関係が深いこの星座には愛着があるので、Vega M57 は、いつも基準星やキャリブレーションに使っている。この双眼鏡では、ε2も含め、ちょうどすっぽり全景が収まる。肉眼では平行四辺形がどこにあるのか認識できなかったが(できる空の場合もある)、この双眼鏡では6等星まで見えるので、星座全体を一望に把握できるのは感動的だ。流石に周辺像は流れるが、星座を少しでも広く捉えたいので、このあたりはトレード・オフ。Ethos 17mm では、実視界は6.8°となるが、周辺像の流れは抑えられる。M57 は都会でも とても良くみえるが、この双眼鏡でも淡く存在が確認できた。使用している星図はポケット版で、左手で持って視野に合わせて回転させて見れるので、実に具合が良い。


Roger W. Sinnott  Sky & Telescope's Pocket Sky Atlas

 続いて、隣のはくちょう座へ。毎年見ていても、幾度見ても、やっぱりアルビレオ*は美しい。小型屈折望遠鏡ならではだ。さて、笠井Super Nebula Filter HT を装着して近辺を流してみた。北アメリカ星雲や網状星雲を一網打尽にしたかったのだが、流石にこの空では無理であった。夏に暗い空で是非楽しみたい。

  *130cmの口径を誇る、とある地方の天文台を 新幹線+宿泊 で見学に行った事がある。観望会を大変楽しみにしていたが、「今日の観望会は、アルビレオです。」と言われて、倒れそうになった。遠方からわざわざ見に来たので、せめて何かメシエ天体(球状星団)でも見せて欲しい、とお願いしたら、後で導入して見せてくれたが、それでもM33は痕跡すら見えず、おおいに失望してしまった。 同じ反射望遠鏡だが、これなら横浜の空で Orion 300mm で見た方が、もっとよく見える し、アルビレオなら、3万円以下で売られている、ミニボーグ50天体セットの方が美しい。

  郊外とはいえ、望遠鏡のドームに近隣を走る車のライトが反射するような市内に、どうしてこんな大口径の望遠鏡を設置したのだろうか。何も知らない人は、こんな巨大な望遠鏡で、やっと “アルビレオ” が見える、なんて思ってしまうだろう。天文を身近に普及させるなら、6〜13cmの屈折望遠鏡や大型双眼鏡を沢山購入して自由に見せたほうが、何百倍も価値がある し、市街地なら130cmよりもっと良く見える。大口径望遠鏡の予算があったら、望遠鏡は、せいぜい40cm程度にして、あとは貸し出し用望遠鏡、残りはソフト(夜中まで貸し出しをさせるための人件費等)に当てれば、どんなに良かったであろう。コンサート・ホール乱立しかり、ソフト不在の建物行政の幼稚なコンセプトにはうんざりだ。 維持費の事は考えないのだろうか? 競うのは大きさではなく、中身であり、その意味で、県立ぐんま天文台は立派だと思う。

 次に、ヘルクレス座を訪れた。肉眼では星座の存在すらわからないが、この双眼鏡では、M13が一緒に見える。これが理想だ。星座がしっかり追え、その中に、星雲・星団が星図のように見える、というのがこの双眼鏡の真骨頂であろう。暗い空では、いったいどう見える のだろうか? 梅雨明けが待ち遠しい。

 傾きかけたアークトゥールスはきれいだ。銀ミラーなので、赤色が減色しない。他にもいくつか星座を訪れたが、所用のため、この日は0時で時間切れとなった。

 ちなみに、木星。拡大すると、縞模様が認識できるが、焦点距離の短い この双眼鏡 は、超広角双眼鏡としての使用が主、と割り切っているので、このような使い方は考えていない。対物レンズは、BORG の57mm規格なので、45ED でも60ED でも装着できる。そうすれば、小型のEMS望遠鏡として、惑星や地上風景も、さらに素晴らしくなるだろう。Baader からMulti Purpose Vario-Finder 10x60 というのも出ているので、これを流用したら、どんなものなるのか、興味は尽きない。でも、BORG さん、口径50〜60mm、焦点距離250mm以下のアポクロマート・レンズを出してください!

 池田さんの超広角双眼鏡とも比較して見た。やはりシンプルなので像のヌケが良 く、実視界12°なので、さらに広大な像で、しかも周辺の像の乱れが少ない。流石である。ただし、この原形モデルは、少々重いのと、上下逆転像なので、私には使いにくい。EWV 32mm を使って超広角双眼鏡を作るのを最初に考えたのは池田さんで、その柔軟でユニークは発想に敬意を表したい。

  

像面歪曲は改善できるか? (2010年9月)

  今年(2010年)の夏は、天文と縁が薄い。ほとんどが音楽関係で予定がビッチリ。少ないチャンスは、ことごとく天候に潰されている。自分で忙しくしているので自業自得なのだけれど、やはり1ヶ月以上も星と遠ざかると、焦ってくる。という訳で、この双眼鏡も活躍していない。

 しかし、周辺像の乱れはどうも気になる。超広角、と自慢してはみたものの、このままでは、実質、実視界9°ではないか、等と叱責されてしまいそうだ。ピント操作で周辺像は改善するので(広角・低倍率ゆえ、中心と周辺では焦点距離が異なってくる)、主な原因は像面歪曲のようだ。

 Vixen から、コマ・コレクター3が出ていて、これをEWV 32mm に装着したら、改善するかな?と漠然と考え、試してみた。EWV 32mm の2"バレルにはレンズが入っておらず、簡単に外せる。そして、コマ・コレクター3のネジ径が同じで、そのままピッタリ入る。ただし、外径は若干太くなるので、このままではアイピース・ホルダーには入らない。

  

 さて、覗いてみると...? 若干改善が見られるが、像面歪曲は消失しない。地上風景では、像の平面性が保たれなくなっている。残念だが、もう1つ購入して双眼で使う程ではなかった。まあ、当然といえば当然の結果なのだけれど、どうしても実際に試してみたかったので、仕方が無いところだ。超広角で周辺像もキッチリ、となると、やはり対物・接眼ともに専用の光学設計が必要なのだろうか。このままでは、普通の小型EMS望遠鏡になってしまうので(これでも十分だけど)、さらにチャレンジしたい。

  

アイピースをEWO 40mmへ! (2010年10月)

 像面歪曲をどうするか考えていたら、手持ちのEWO 40mm の存在を忘れているのに気づいた。このアイピースだと、有効最低倍率以下になってしまうし、見掛け視界も、EWV 32mm の85°に対し69°と狭く、実視界も11°と大差無いので、眼中に無かった。しかし、無理に見掛け視界を広くしていないので、像面歪曲は改善されるはずである。

 さっそく覗いてみた。今まで何をやっていたのだろう! 随分改善されているではないか!! Ethos なんかに慣れていて、すっかり広角ボケになってしまった自分を反省した。再度、アイピースとの関係をまとめてみた。

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径
 

50mm

5

250mm          
EWO     40mm 6.3 11° 69° 20mm 8mm*
EWV     32mm 7.8 10.9° 85° 20mm 6.4mm
Ethos     17mm 14.7 6.8° 100° 15mm 3.4mm
Ethos     13mm 19.2 5.2° 100° 15mm 2.6mm
Ethos     8mm 31.3 3.2° 100° 15mm 1.6mm
Ethos     3.7mm 69 1.44° 110° 15mm 0.7mm
Nagler Zoom     4mm 62.5 0.8° 50° 10mm 0.8mm
    2mm 125 0.4° 50° 10mm 0.4mm

EWOで超広角双眼鏡。それ以上で、小型EMS-Bino!

 *EWO 40mm で倍率は、6.3倍、実視界11°だが、冒頭に記した通り、有効最低倍率は7.1倍なので、口径は射出瞳径(7mm)×倍率 = 43.8mmとなる。しかし、覗いてみると、実に良い! ただし重心が随分上ずるので、アイピース・ホルダーをカットしてもらうことにした。 

  

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