(左から)中満泉上級代表、アルルーム議長、木戸季市事務局長
第72回総会が開かれている国連を訪問した木戸季市日本被団協事務局長は10月5日、515万4866人(累計)のヒバクシャ国際署名を国連第1委員会アルルーム議長(イラク大使)に手渡しました。アルルーム議長と中満泉軍縮担当上級代表は、署名数515万余と聞き、驚き感嘆しました。
署名とともに田中煕巳ヒバクシャ国際署名推進連絡会代表のメッセージを渡しました。メッセージは、「核兵器のない世界の達成は、すべての国が取り組むべき課題」と訴えています。
アルルーム議長は「長年の被爆者の英雄的努力に感謝し称賛を惜しまない。次世代は被爆者の努力を忘れないだろう」と述べ、中満上級代表は「これからも平和と軍縮のためにと力添えを」とのグテーレス国連事務総長の言葉を伝え、「国連と市民・被爆者の皆さんが手を取り合って核兵器のない世界に向けて前進しましょう」と応えました。日本被団協結成60年記念バッジを議長に渡すと、中満さんもニッコリ微笑みました。
これに先立って木戸事務局長は3日、日本政府国連代表部を訪問し赤堀公使に、日本政府として条約に署名するよう要請しました。
このほか、コロンビア大学とラガーディアコミュニティーカレッジでの証言活動を行ない、ICANのノーベル平和賞受賞に関する取材など受けました。
今回も通訳、案内などニューヨーク在住の多くの方のお世話になりました。
日本被団協全国都道府県代表者会議
日本被団協は10月11〜12日、2017年度全国都道府県代表者会議を東京・お茶の水のホテルジュラクで開きました。全国から80人が参加、議長は広島の箕牧智之さんと静岡の大和忠雄さんが務めました。
開会の挨拶で田中熙巳代表委員は、核兵器禁止条約が採択された今年は歴史的な会議になると述べました。安井正和日本原水協事務局長は被爆者援護の寄付金100万円を田中代表委員に手渡し、条約採択は被爆者の長年の闘いが正当に評価されたと述べました。
ICANの国際運営委員川崎哲さんは、ノーベル平和賞について被爆者、日本被団協に集まる皆さんに向けられたものと確信している、喜びを分かち合いたいと表明。木戸季市事務局長は、515万余のヒバクシャ国際署名を国連総会第一委員会議長に提出したことを報告。ノーモアヒバクシャ訴訟弁護団の中川重徳弁護士が訴訟について訴えました。
会議では、木戸事務局長が次の4つの課題を示しました。@核兵器禁止から廃絶へA戦争被害者と共闘し国の償いを求めるB組織・財政の維持C原爆症認定問題。
藤森俊希事務局次長は、パワーポイントを使い被爆者運動を説明し理解を共有しました。二世調査・交流について濱住事務局次長が説明。大下事務局次長が証言集のインターネット公開の基本姿勢案を説明しました。
二日目は、組織と財政の課題で意見を交換。組織・情宣では、被爆者の高齢化で二世、三世のサポートが必要で、学習会やブロックでの協力対策など議論しました。
財政では、会計の三宅信雄さんが現状を説明。活動維持募金は目標未達成であることを踏まえ、年間一万円の募金者を二千人組織化する必要性が語られました。ICANの加盟団体にも募金を呼びかけることなど多くの意見が出ました。
ノルウェーのノーベル平和賞委員会は10月6日、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)へのノーベル平和賞授与を発表しました。授賞理由は「核兵器の使用が人道上破壊的な結果をもたらすことへの関心を高め、核兵器禁止条約の制定に向け革新的な努力を尽くした」としています。
ICANのベアトリス・フィン事務局長は「7月の核兵器禁止条約採択に向けた地道な活動が認められたのではないか。条約は次のステップへの基盤になる。広島と長崎の被爆者はたゆみなく経験を語り、重要な役割を果たした。この平和賞は彼らへの賛辞だ」とのべました。
10月7日札幌市内で、札幌被爆者の会秋の学習会を兼ねて中央相談所の講習会が開かれました。参加者は約30人でした。
眞田保会長が開会の挨拶で、前日夜に発表されたICANのノーベル平和賞受賞に触れ、日本政府が核兵器禁止条約に背を向けているのは誠に残念と述べました。
中央相談所の原玲子さんが、午前中「被爆者相談と介護保険の活用」と題し、被爆者援護施策の積極的な活用と、介護保険の具体的な利用方法、また認知症について初期の兆候を見逃さないことや介護手当の支給も受けられることなどを話されました。
午後は「被爆二世の健康問題と運動」について、健康診断の受診や、東京や神奈川の進んだ事例から教訓を学び要求を運動化することが大事である、など話されました。
「具体的で大変わかりやすかった」「介護保険はこれからの自分たちの問題だ」などの感想が出されました。被爆二世からは「ぜひ二世の抱える問題を話し合う機会を」との強い要望が出されました。
(廣田凱則)
日本被団協は全国代表者会議翌日の10月13日、被爆者など約70人が参加して中央行動を行ないました。参議院議員会館の会議室で、厚生労働省と外務省に対し、要請書を手渡して参加者全員で要請しました。
[厚労省]蓑原哲弘被爆者援護対策室長ら5人が対応。会場から、法律を改正して被爆者に寄り添った行政を、被爆二世について厚労省として実態把握を、など活発に要請発言がありました。
[外務省]川崎方啓軍縮不拡散・科学部審議官ほか2人が対応。核兵器禁止条約について、「分断が生じる形でできあがったもの」と評価し、「核兵器国と非核兵器国双方の協力を得て実践的に核軍縮を進める」立場を述べました。
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申込は日本被団協へ
「被爆70年を生きて『被爆者として言い残したいこと』調査」の報告書がこの度完成しました。まずは、今回の調査に回答を寄せていただいた被爆者のみなさま、及び協力してくださった関係者に御礼を申し上げます。
今回の調査のねらいは、被爆者に70年の歳月を振り返り「言い残したいこと」を書き記してもらうことでした。結果的に回答があったのは706人の方からでしたが、調査票に記された言葉や内容には心に迫るものが多々ありました。
特に注目すべきは、約9割が原爆被害は「受忍」できないと回答したことです。自由記述欄にはその「受忍」できない理由が明記され、書き記された言葉の背景には、「受忍」することが国の戦争責任を回避させ、結果的に未来の戦争につながるのではないかという危惧が表れていました。報告書には代表的な被爆者の言葉をいくつか抜粋していますので是非ご覧ください。
この調査の意義は、一つに、このように原爆反対、そして戦争反対の根拠を、被爆者自身の言葉によって改めて明確にすることができたという点にあります。なぜ被爆者が原爆、戦争に反対するのか。その理由を明確にすることは、ヒロシマ、ナガサキとは何かを改めて問うという意味で重要なことです。そして、この問いは単に被爆者だけでなく、自分も含めた戦後生まれの人たちに対しても、現在の社会そして未来を生きていく上で欠かせない問題として、投げかけられています。どのように応答していくか、本調査の結果・考察を活かしながら、考えていくことができればと思っています。
署名した平井伸治知事(中央・5月31日)
鳥取では9月26日、ヒバクシャ国際署名ピースウェーブの最終日に合わせて鳥取県庁で記者会見を開き、県下全首長(県知事と4市11町1村)の署名を得たことを報告しました。全首長の署名を得たのは、香川、長野に次いで3番目です。(石川行弘)
広範な団体(9月末現在118)と個人の賛同のもと「ヒバクシャ国際署名を進める北海道民の会」が結成されました。核兵器廃絶国際デーの9月26日、札幌で開いた結成総会に約70人が参加、道民過半数の「ヒバクシャ国際署名」を集めようと確認しあいました。
北商連長谷聡子さんがニューヨーク行動参加の特別報告、新婦人、北広島原水協が署名の取り組みを報告、コープさっぽろも来年1月から取り組み開始の決意を述べ、連合は様々な取り組みを中央にも提案したいと話しました。(北明邦雄)
全国代表者会議につづき10月12日、全国被爆二世交流会をホテルジュラクで開きました。18都道県から、二世21人、三世1人のほか被爆者が多数参加しました。
各地で二世の会がつくられ二世の運動が広がっている中で、二世の会の運営の工夫や課題、健康問題、被爆体験の継承などについて、活発に意見交流が行なわれました。
北海道二世プラスの会をはじめ、富山、愛知など、全国被爆二世実態調査をきっかけに会が発足したところや準備中のところが紹介されました。
会員をどう増やすか、隣県の二世の会が共同の催しに取り組めないかなどの提案がありました。
県の協力を得て、二世の健康診断の案内通知の中に、受診のすすめ、二世支部の活動紹介と入会のすすめのチラシを入れたら、昨年から今までに30人の入会があったという神奈川の事例が注目されました。
健康診断を受けやすくするために期間や医療機関を増やすなど、自治体と話し合い改善された事例も紹介されました。
被爆体験の継承では、被爆者の高齢化により証言が困難になり、被爆二世が引きつぎたいとの発言もありました。被爆証言者の養成や、養成者への支援のあり方についても意見が出されました。
参加者から「交流会に参加した二世全員が発言し、二世の抱える問題や課題が出され、大変意義深い会でした。出された意見を、具体的要求項目としてまとめ、国や自治体に要求していくことが大切ではないか」と感想が寄せられました。
終了後、懇親会を開き交流を深めました。
兵庫県原爆死没者追悼慰霊祭が10月13日、神戸で催され、約50人参列し、献花しました。
兵庫被団協の岡邊好子理事長、遺族代表の高橋一勇さん、兵庫県疾病対策課長の山下俊夫さん、日本共産党県会議員の喜田結さん、東神戸診療所長の郷地秀夫さん(代理)、兵庫県原水協の梶本修史さんが、それぞれに追悼の気持ちに重ねて、核兵器禁止条約が採択されたことやICANのノーベル賞受賞への思いを語りました。県議会自民党議員団幹事長、同公明党議員団長、黒田一美県議(兵庫被団協相談役)からメッセージが寄せられました。(副島圀義)
【問】私は被爆してから健康状態がよくなくて、仕事を何度か変わり、また仕事ができなかった期間も長くて、老齢年金を貰っていません。この度、「25年の期間」を満たしていなくても受給出来るようになったと聞きました。どういうことでしょうか。
* * *
【答】これまでは、老齢年金を受け取るのに必要な資格期間が、保険料納付済み期間(国民年金・厚生年金・共済組合等の加入期間)と国民年金の保険料免除期間を含めて原則25年でした。今年8月1日から資格期間が10年以上あれば老齢年金が受給できるようになりました。
あなたのように病気のため働くことが出来なかったり、商売をしていても高額な国民年金の保険料を支払うことが出来ないなどの理由により、資格期間が足りなくて老齢年金を受け取れないという問題が、国会でもたびたび問題となり今回やっと資格期間が10年に短縮されました。
該当者には日本年金機構から「短縮」の黄色の封筒が送られています。手続きがよく分からないとか相談したい場合は、手元に基礎年金番号の分かる年金手帳や年金証書を準備して「ねんきんダイヤル」0570−05−1165に電話して予約のうえ、年金事務所に出向いてください。
黄色の封筒が届いてない場合は次の事が考えられます。職場を変わる毎に年金手帳をもらい年金手帳が何冊かある、旧姓や生年月日を間違えて届出された可能性があるなど。この場合は年金事務所で確認して貰ってください。受け取れる年金額は納付した期間によって異なります。
青年劇場が2015年12月に初演した演劇『あの夏の絵』が今年再演され、関東を中心に各地で公演があります。
この作品は、劇作家の福山啓子さんが、日本被団協の「『原爆被害者の基本要求』30周年記念のつどい」に関わる中で触れた、広島市立基町高校の「原爆の絵」の取り組みを題材に書き下ろしたもの。被爆者の体験を聞いて「原爆の絵」を描く高校生3人を中心に、体験を語る被爆者も登場します。
◎公演スケジュール
11月
4日(神奈川)大和芸術文化ホール
7日(広島)広島市立基町高校
15日(東京)タワーホール船堀
18〜23日(東京)青年劇場スタジオ結
25日(東京)なかのZEROホール
27日(東京)府中バルトホール
28日(東京)八王子いちょうホール
12月
1日(埼玉)埼玉会館
3日(神奈川)横浜市教育会館
9日(千葉)市川市八幡市民会館
14日(千葉)千葉市美浜文化ホール
16日(愛知)知多市勤労文化会館
◎問い合わせ=青年劇場 電話03−3352−6922 FAX03−3352−9418