条約採択を握手で喜び合う日本被団協の藤森俊希事務局次長(左)とカナダ在住の被爆者サーロー節子さん
条約を採択した会議場
藤森次長に折り鶴を送られ微笑むホワイト議長
投票一覧
投票結果
被爆から72年、2017年7月7日、国連の条約交渉会議が核兵器禁止条約を採択しま した。9月20日に条約賛同国が署名を開始します。50カ国が批准したところで実効あ
る条約になり、核兵器のない世界へ、大きな一歩をふみだします。
条約は「核兵器の全面的廃絶に向けた措置」も明記しており、「ふたたび被爆者をつ くるな」の訴えが、実りあるものになろうとしています。
※
条約の前文には、「hibakusha(ヒバクシャ)」の言葉が2カ所出てきます。一つは「 ヒバクシャ及び核兵器の実験により影響を受ける者にもたらされる容認しがたい苦し
みと害に留意し」と、被害者の耐え難い犠牲への思いを述べています。
もう一つは核兵器の全面的な廃絶について強調した部分に、国連、国際赤十字・赤 新月社、非政府組織、宗教指導者、議員、学術研究者と並んで「ヒバクシャ」を記して
います。「核兵器のない世界」の実現へ欠かせない力として明記しました。
※
72年前の8月6日、9日、米軍が投下した原子爆弾で命を絶たれ、生き延びてなお原 爆の後遺に苛まれ命を失った全ての人々に、核兵器禁止条約が採択されたこと、核兵 器のない世界の実現へ力を尽くすことを報告します。
日本被団協は7月11日〜12日、東京で代表理事会を開き、新役員のもとで今後の活動などについて議論しました。そのなかで、7月7日に国連で採択された核兵器禁止条約に日本政府は賛同するよう要請することを確認しました。
政府は、条約交渉会議に参加せず、採択された条約についても国連大使が賛同しない旨発言しています。唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界をめざし、核兵器保有国と非核兵器国の橋渡し役を果たすとしてきた発言にも反するとして、国連で採択された核兵器禁止条約に賛同し、批准することを政府に求めることを確認しました。
広島では8日、広島市の原爆ドーム前で核兵器禁止条約の歓迎集会を開きました。県被団協をはじめ市民組織など23団体約100人が参加。県被団協の箕牧智之副理事長は「地球規模の出来事。被爆者にとって大きな喜び」と語りました。
長崎では8日、長崎被災協地下講堂で「核兵器禁止条約歓迎のつどい」を150人の参加で開催しました。国際署名をすすめる県民の会主催。入院中の谷口稜曄被災協会長がビデオメッセージで「核兵器を持っていない国が持っている国を包囲し、1日も早く核兵器廃絶を」と訴えました。つどいのあと「おりづるパレード」を行ない、爆心地公園へ移動。正午から30分間「おりづるのつどい」を開催して原爆犠牲者たちのもとで核兵器廃絶を誓い合いました。
核兵器禁止条約の採択を受け日本被団協は7月8日、都内で記者会見し声明を発表しました。岩佐幹三顧問、田中熙巳代表委員、和田征子、大下克典、濱住治郎の各事務局次長が出席しました。
インターネットで交渉会議を見ていた田中代表は「昨年、核兵器廃絶国際署名を始めた時、こんなに早く条約が採択されるとは思いませんでした。とても嬉しく思います。核保有国と同盟国はオランダを除いて参加していません。日本政府が条約決定に参加しなかったのはとても悔しいです。『核兵器はいらない』との声を核保有国と同盟国の市民に伝え条約への参加を求めたい」と述べました。
岩佐顧問は「核兵器禁止条約が採択され、被爆者の思いが受け止められたことを嬉しく思います。亡くなった人たちの名誉が回復されるのは、核兵器の脅威から脱脚したとき。ふたたび被爆者をつくらないために国の政策転換を求めていきたい」と述べました。
6月15日からの交渉会議に出席し、ホワイト議長に署名を渡した和田さんは「インターネットで条約採択の瞬間を見て涙がでました。ホワイト議長に『国連総会には、被爆者や市民社会の声を目に見える署名としてもっとたくさんお持ちします』と伝えました。核兵器のない世界実現へ『公共の良心』の役割を担います」と述べました。
三重県では7月12日、県教育文化会館で、約50人が参加して「ヒバクシャ国際署名をすすめる三重県民の会」設立総会を開きました。県原爆被災者の会の山口詔利会長が「核兵器のない世界に向けて、力をかしてほしい」とあいさつし、坂巻幸子事務局長が体験を語りました。
また、「ヒバクシャ国際署名をすすめる愛知県民の会」の横江英樹さんに記念講演をお願いし、大変有意義な会になりました。(山口詔利)
この条約の締約国は、
国際連合憲章の目的及び原則の実現に貢献することを決意し、
核兵器のいかなる使用もそれもたらす壊滅的な人道上の帰結を深く憂慮し、その結果として核兵器が完全に廃絶されることが必要であり、このことがいかなる場合にも核兵器が決して再び使用されないことを保証する唯一の方法であり続けていることを認識し、
核兵器が継続的に存在することによりもたらされる危険(事故による、誤算による又は意図的な核兵器の爆発によりもたらされるものを含む。)に留意し、これらの危険はすべての人類の安全に関わり、すべての国が核兵器のあらゆる使用を防止する責任を共有していること強調し、
核兵器の壊滅的な帰結は、適切に対処できないものであること、国境を越えること、人類の生存、環境、社会経済的な発展、世界経済、食料の安全及び現在と将来の世代の健康に重大な影響を与えること、並びに女性及び少女に不均衡な影響(電離放射線の結果としての影響を含む。)を及ぼすことを認識し
核軍縮を求める倫理上の要請があること及び核兵器のない世界を達成しかつ維持する緊急性があることを認め、このことが、世界の最上位にある公共善であり、国および集団双方にとっての安全保障上の利益に資することを認め、
核兵器の使用の被害者(ヒバクシャ)及び核兵器の実験により影響を受ける者にもたらされる容認し難い苦しみと害に留意し、
先住民に対する核兵器活動の不均衡な影響を認識し、
すべての国がいかなる時も適用可能な国際法(国際人道法及び国際人権法を含む。)を遵守する必要があることを再確認し、
国際人道法の諸原則及び諸規則、特に武力紛争の当事者が戦闘の方法及び手段を選ぶ権利は無制限ではないという原則、区別の規則、無差別攻撃の禁止、攻撃の際の均衡性及び予防措置の規則、その性質上過度の傷害又は無用の苦痛を与える兵器を用いることは禁止されているという規則並びに自然環境を保護する規則に立脚し、
核兵器のいかなる使用も武力紛争に適用される国際法の規則、特に国際人道法の原則及び規則に違反するであろうことを考慮し、
また、核兵器のいかなる使用も人道の諸原則及び公共の良心に反するであろうことを再確認し、
国は、国際連合憲章に従い、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならないこと、並びに国際の平和及び安全の確立及び維持は、世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少なくして促進されるべきことを想起し、
また、1946年1月24日に採択された国際連合総会の最初の決議及び核兵器の廃絶を求めるその後の決議を想起し、
核軍縮の進展が緩慢であること、軍事上及び安全保障上の概念、教義及び政策において継続的に核兵器に依存していること、並びに核兵器システムの生産、維持及び近代化の計画のために経済的及び人的資源を浪費していることを憂慮し、
核兵器の法的拘束力のある禁止は、核兵器の不可逆的で、検証が可能であり、かつ透明性を有する廃絶を含む、核兵器のない世界の達成及び維持に向けた重要な貢献となることを認識し、この目的に向けて行動することを決意し、
厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍縮に向けての効果的な前進を達成する目的をもって行動することを決意し、
厳重かつ効果的な国際管理の下におけるあらゆる点での核軍縮に至る交渉を誠実に追求しかつ完結させる義務が存在することを再確認し、
また、核兵器の不拡散に関する条約は核軍縮及び不拡散体制の礎石として機能しており、その十分かつ効果的な実施は、国際の平和及び安全の促進において不可欠な役割を果たしていることを再確認し、
核軍縮及び不拡散体制の中核的要素としての包括的核実験禁止条約及びその検証体制の不可欠な重要性を認識し、
当該地域の諸国間で自由に締結される取極めを基礎として、国際的に承認された非核兵器地帯を創設することは、世界及び地域の平和及び安全を強固にし、核不拡散体制を強化し、並びに核軍縮の目標を実現することに対して貢献する、という確信を再確認し、
この条約のいかなる規定も、無差別に平和的目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させることについてのすべての締約国の奪い得ない権利に影響を及ぼすものと解してはならないことを強調し、
女性及び男性の双方による平等、十分かつ効果的な参加は、持続可能な平和及び安全を促進し及び達成することにとり不可欠な要素であることを認識し、女性の核軍縮への効果的な参加を支援しかつ強化することを約束し、
また、あらゆる点での平和及び軍縮教育の重要性並びに核兵器が現在及び将来の世代にもたらす危険及び帰結についての意識を高めることの重要性を認識し、この条約の原則及び規範の周知を図ることを約束し、
核兵器の全面的な廃絶の要請に示された人道の諸原則の推進における公共の良心の役割を強調し、また、このために国際連合、国際赤十字・赤新月運動、その他の国際機関及び地域的機関、非政府機関、宗教指導者、議員、学術研究者、及びヒバクシャが行っている努力を認識し、
次のとおり協定した。
第1条(禁止)
締約国は、いかなる場合にも、次のことを行わないことを約束する。
(a)核兵器その他の核爆発装置を開発し、実験し、生産し、製造し、その他の方法によって取得し、保有し又は貯蔵すること。
(b)核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいずれかの者に対して直接又は間接に移譲すること。
(c)核兵器その他の核爆発装置又はその管理を直接又は間接に受領すること。
(d)核兵器その他の核爆発装置を使用すること又は使用するとの威嚇を行うこと。
(e)この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、いかなる様態によるかを問わず、援助し、奨励し又は勧誘すること。
(f)この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者から、いかなる様態によるかを問わず、いずれかの援助を求めること又は援助を受けること。
(g)自国の領域又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所において、核兵器その他の核爆発装置を配置し、設置し又は配備することを許可すること。
第2条(申告)
1 締約国は、この条約が自国について効力を生じた後30日以内に、国際連合事務総長に対して申告を行うものとし、当該申告において、
(a)この条約が自国について効力を生じる前に、核兵器その他の核爆発装置を所有していたか否か、占有していたか否か又は管理していたか否か、及び核兵器に関連するすべての施設の除去若しくは転換を含む自国の核兵器計画の除去を行っていたか否かを申告する。
(b)前条(a)にかかわらず、核兵器その他の核爆発装置を所有しているか否か、占有しているか否か又は管理しているか否かを申告する。
(c)前条(g)にかかわらず、自国の領域又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に、他の国が所有し、占有し又は管理する核兵器その他の核爆発装置が存在するか否かを申告する。
2 国際連合事務総長は、前項の規定に基づき受領したすべての申告を全締約国に対して送付する。
第3条(保障措置)
1 次条1又は2が適用されない締約国は、将来において自国が採択する追加の関連する文書に影響を及ぼすことなく、少なくとも、この条約が効力を生じた時点において自国について効力を有する国際原子力機関の保障措置に関する義務を維持する。
2 次条1又は2が適用されない締約国であって、国際原子力機関と包括的な保障措置協定(INFCIRC/153)を締結していないか、又は同協定の効力が生じていない締約国は、同機関と同協定を締結しかつ発効させる。その協定の交渉は、この条約が当該当事国につき効力を生じた時から180日以内に開始しなければならない。その協定は、この条約が当該締約国につき効力を生じた時から18箇月以内に効力を生ずるものとする。締約国は、その後は、将来において自国が採択する追加の関連する文書に影響を及ぼすことなく、この義務を維持する。
第4条(核兵器の全面的な廃絶に向けた措置)
1 2017年7月7日の後に、核兵器その他の核爆発装置を所有し、占有し又は管理しており、かつこの条約が自国につき効力を有する前に、核兵器に関連するすべての施設の除去若しくは不可逆的な転換を含む自国の核兵器計画の除去を行った締約国は、自国の核兵器計画を不可逆的に除去したことを確認することを目的として、この条の6に従って指定された権限のある国際当局と協力する。この当局は、全締約国に対して報告する。当該締約国は、申告された核物質が平和的な核活動から転用されていないこと及び当該締約国全体において申告されていない核物質又は活動が存在しないことにつき信頼できる保証を供与するに十分な保証措置協定を国際原子力機関と締結する。その協定の交渉は、当該締約国につきこの条約が効力を生じた時から180日以内に開始しなければならない。その協定は、この条約が当該締約国につき効力を生じた時から18カ月以内に効力を生ずるものとする。締約国は、その後は、将来において自国が採択する追加の関連する文書に影響を及ぼすことなく、この義務を維持する。
2 第1条(a)にかかわらず、核兵器その他の核爆発装置を所有し、占有し又は管理している締約国は、直ちにその核兵器その他の核爆発装置を運用上の地位から撤去し、可及的速やかにかつ最初の締約国会合により決定される期日までに、当該締約国の核兵器計画についての検証を伴いかつ不可逆的に除去を行うための法的な拘束力を有しかつ期限を伴う計画(核兵器に関連するすべての施設の除去又は不可逆的な転換を含む。)に従い、その核兵器その他の核爆発装置を廃棄する。当該締約国は、この条約が自国につき効力を生じた後60日以内にこの計画を全締約国又は全締約国が指定する権限のある国際当局に提出する。その後に、この計画はこの権限のある国際当局と交渉され、同当局は、後に最も早く開催される締約国会合又は検討会合のいずれかに対して、これら会合の手続規則に基づく承認のために、この計画を提出する。
3 前項が適用される締約国は、申告された核物質が平和的な核活動から転用されていないこと及び当該締約国全体において申告されていない核物質又は活動が存在しないことにつき信頼できる保証を供与するに十分な保証措置協定を国際原子力機関と締結する。その協定の交渉は、前項に定める計画の実施が完了する期日までに開始しなければならない。その協定は、交渉開始の日の後18カ月以内に効力を生ずるものとする。締約国は、その後は、将来において自国が採択する追加の関連する文書に影響を及ぼすことなく、この保障措置に関する義務を維持する。この項に定める協定の効力が生じた後、締約国は、この条に基づく自国の義務の履行につき国際連合事務総長に対して最終申告を提出する。
4 第1条(b)及び(g)にかかわらず、自国の領域又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に、他の国が所有し、占有し又は管理する核兵器その他の核爆発装置が存在する締約国は、可及的速やかにかつ最初の締約国会合により決定される期日までに、その核兵器その他の核爆発装置の速やかな撤去を確保する。その核兵器その他の核爆発装置の撤去に際して、この条に基づく自国の義務の履行につき国際連合事務総長に対して申告を提出する。
5 この条が適用される締約国は、この条に基づく自国の義務の履行が完了するまで、この義務の実施の進捗状況につき締約国会合及び検討会合に報告する。
6 全締約国は、この条の1、2及び3に従い、核兵器計画の不可逆的な除去(核兵器に関連するすべての施設の除去又は不可逆的な転換を含む。)につき交渉し及びこの除去を確認する権限のある国際当局を指定する。この条の1又は2の規定が適用される締約国につきこの条約の効力が生じる前に、この指定が行われない場合は、国際連合事務総長は、必要な決定を行うために締約国による特別の会合を招集する。
第5条(国内の実施措置)
1 締約国は、この条約に基づく自国の義務を履行するために必要な措置をとる。
2 締約国は、この条約によって締約国に対して禁止されている活動であって、自国の管轄若しくは管理の下にある者による活動又は自国の管轄若しくは管理の下にある領域における活動を防止し、及び抑止するため、立法上、行政上その他の措置(罰則を設けることを含む。)をとる。
第6条(被害者に対する援助及び環境の回復)
1 締約国は、核兵器の使用又は実験により影響を受けた自国の管轄の下にある個人について、適用可能な国際人道法及び国際人権法に従い、年齢及び性別に配慮した援助(医療、リハビリテーション及び心理的な支援を含む。)を適切に提供し、並びにこれらの者が社会的及び経済的に包容されるようにする。
2 締約国は、核兵器その他の核爆発装置の実験又は使用に関係する活動の結果として汚染された自国の管轄又は管理の下にある地域に関して、汚染された地域の環境上の回復に向けた必要かつ適切な措置をとる。
3 この条の1及び2に基づく義務は、国際法又は2国間の協定に基づく他の国の義務に影響を及ぼさない。
第7条(国際協力および援助)
1 締約国は、この条約の実施を促進するために他の締約国と協力する。
2 締約国は、この条約に基づく義務を履行するに当たり、可能な場合には他の締約国からの援助を求め及び受ける権利を有する。
3 援助を提供することのできる締約国は、この条約の実施を促進するために、核兵器の使用又は実験により影響を受けた締約国に対して技術的、物的及び財政的援助を提供する。
4 援助を提供することのできる締約国は、核兵器その他の核爆発装置の使用又は実験の被害者のための援助を提供する。
5 この条に基づく援助は、特に、国際連合及びその関連機関、国際的な、地域的な若しくは国の機関、非政府機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟若しくは各国赤十字・赤新月社を通じて又は2国間で提供することができる。
6 締約国が国際法に基づき負う他の義務に影響を与えることなく、核兵器その他の核爆発装置を使用し又は実験した締約国は、被害者の援助及び環境の回復を目的として、影響を受けた締約国に対して適切な援助を提供する責任を有する。
第8条(締約国会合)
1 締約国は、関連する規定に従いこの条約の適用又は実施に関する問題について、並びに核軍縮のための更なる措置について検討するため及び必要な場合には決定を行うために定期的に会合する。これには次の事項を含む。
(a)この条約の実施及び締結状況
(b)核兵器計画の検証及び期限を伴いかつ不可逆的な除去のための措置(この条約に対する追加の議定書を含む。)
(c)この条約の規定に従いかつ適合する他の事項
2 最初の締約国会合については、この条約が効力を生じた後1年以内に国際連合事務総長が招集する。更なる締約国による会合は、締約国による別段の合意がある場合を除き、2年毎に、同事務総長が招集する。締約国会合は最初の会期において手続規則を採択する。その採択に至るまでの間、核兵器の全面的な廃絶に向けた核兵器を禁止する法的拘束力のある条約を交渉する国際連合会議の手続規則を適用する。
3 締約国の特別の会合は、必要と認められる場合、締約国からの書面による要請に基づき、かつ締約国の少なくとも3分の1がその要請を支持するとき、国際連合事務総長により、招集される。
4 この条約が効力を生じてから5年の期間の後、国際連合事務総長は、この条約の運用及びこの条約の目的の達成についての進展を検討するために会合を招集する。締約国による別段の合意がある場合を除き、国際連合事務総長は、同一の目的で6年毎に更なる検討会合を招集する。
5 締約国会合及び検討会合には、この条約の締約国でない国並びに国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟及び関連する非政府機関を、オブザーバーとして出席するよう招請する。
第9条(費用)
1 締約国会合、検討会合及び締約国の特別の会合の費用については、適切に調整された国際連合の分担率に従い、締約国及びこれらの会合にオブザーバーとして参加するこの条約の締約国でない国が負担する。
2 この条約の第2条に基づく申告、第4条に基づく報告及び第10条に基づく提案された改正の送付につき国際連合事務総長が要する費用は、適切に調整された国際連合の分担率に従って締約国が負担する。
3 第4条に基づき必要とされる検証措置の実施に関する費用並びに核兵器その他の核爆発装置の廃棄及び核兵器計画の除去(核兵器に関連するすべての施設の除去又は転換を含む。)に関する費用は、これらが適用される締約国が負担する。
第10条(改正)
1 いずれの締約国も、この条約が効力を生じた後いつでもこの条約の改正を提案することができる。提案された改正の条文については、国際連合事務総長に通報するものとし、同事務総長は、当該条文をすべての締約国に送付し、当該提案を検討するべきか否かについての締約国の見解を求める。締約国の過半数が当該提案を更に検討することを支持する旨を当該提案の送付の後90日以内に同事務総長に通報する場合には、当該提案は、次回の締約国会合又は検討会合のいずれか最も早く開催される会合において検討される。
2 締約国会合又は検討会合は、締約国の3分の2の多数による賛成投票により採択される改正につき合意することができる。寄託者は採択された改正をすべての締約国に通報する。
3 改正は、改正の時点における締約国の過半数により改正の批准書又は受諾書が寄託された90日の後、改正の批准書又は受諾書を寄託した締約国について効力を生ずる。その後、この改正は、改正の批准書又は受諾書を寄託した他の締約国につき、その批准書又は受諾書が寄託された90日の後効力を生ずる。
第11条(紛争の解決)
1 この条約の解釈又は適用に関して2以上の締約国間で紛争が生ずる場合には、関係締約国は、交渉によって又は国際連合憲章第33条に従い当該関係締約国が選択するその他の平和的手段によって紛争を解決するために協議する。
2 締約国会合は、この条約及び国際連合憲章の関係規定に従って、あっせんを提供し、関係締約国に対して当該関係締約国が選択する解決のための手続を開始するよう要請し及び合意された手続に従って解決するための期限を勧告することによる貢献を含み、紛争の解決に貢献することができる。
第12条(普遍性)
締約国は、すべての国によるこの条約への普遍的な参加を得ることを目標として、この条約の締約国でない国に対し、この条約を署名し、批准し、受諾し、承認し、又はこれに加入するよう奨励する。
第13条(署名)
この条約は、2017年9月20日からニューヨークにある国際連合本部においてすべての国に署名のために開放しておく。
第14条(批准、受諾、承認又は加入)
この条約は、署名国によって批准され、受諾され又は承認されなければならない。この条約は加入のために開放しておく。
第15条(効力発生)
1 この条約は、50番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された後90日で効力を生ずる。
2 50番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後に批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する国については、この条約は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後90日で効力を生ずる。
第16条(留保)
この条約の各条の規定については、留保を付することができない。
第17条(有効期間及び脱退)
1 この条約の有効期間は、無期限とする。
2 締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。当該締約国は、寄託者に対しその脱退を通知する。その通知には、自国の至高の利益を危うくしていると認める異常な事態についても記載しなければならない。
3 脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日の後12カ月で効力を生ずる。ただし、脱退する締約国が当該12カ月の期間の満了の時において、武力紛争の当事者である場合には、当該締約国は、武力紛争の当事者でなくなる時まで、この条約の義務及び追加される議定書の義務に引き続き拘束される。
第18条(他の協定との関係)
この条約の実施は、締約国が当事国である既存の国際協定との関係で当該締約国が負う義務に影響を及ぼすものではない。但し、当該義務がこの条約と両立する場合に限る。
第19条(寄託者)
国際連合事務総長は、ここに、この条約の寄託者として指名される。
第20条(正文)
この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とする。
ドイツで7月8日、240の都市が平和首長会議の旗を掲げて、核兵器を廃絶し平和な世界をと訴えました(写真上)。
今年のフラッグデー(注)は、国連会議で核兵器禁止条約が成立した7月7日に始まりました。
ハノーファー市長は、「私たちは、主要な国の軍縮の取り組みが進まないことを憂慮します。今こそ核兵器を禁止し世界の核兵器廃絶を求めるより多くの声が必要です」と述べています。
私たちは首長や市民にヒバクシャ国際署名への賛同を訴え(写真下)、これからも活動を続けます。(ハノーファー市長室・エヴェリン・カミセック)
*
フラッグデー=核兵器の使用の威嚇も国際法に違反するとした1996年7月8日の国際司法裁判所の勧告的意見を記念し、ドイツ、オーストリアの平和首長会議加盟都市が毎年この日に「平和首長の旗」を掲揚する。
ヒバクシャ国際署名をすすめる岩手の会の二本松富代さん(釜石市)が、ネパールのカトマンズで6日間署名に取り組み、1072筆を集めました(写真)。
二本松さんは「3メートルの英語の横断幕を用意し、それを指さすと快く応じてくれます。平和の願いは世界共通だと思いました。イスラムの信者も、チベット仏教の尼僧さんも署名してくれました。制服のお巡りさんも。国際連帯のすごさに驚いています」と感想を語っています。(「岩手の会」ニュースより)
6月6日〜14日、甲府駅北口コンコースで原爆と人間展(実行委員会主催、山梨県原水爆被爆者の会後援)が開催され、1660人の来場者を数えました。
この原爆展は、国連での核兵器禁止条約交渉会議に呼応して開催したもので、県内被爆者の描いた絵も展示されました。来場者は口々に、核兵器のない世界を求める声を届けてくれました。寄せられた核兵器廃絶ヒバクシャ国際署名は410筆でした。(中島辰和)
日本被団協が取り組んだ全国被爆二世アンケート。北海道では56人分を独自に集約し、5月25日に結果を公表しました。
被爆二世としての不安や悩みについて回答者の半数が「ある」と答え、その中身は自分の健康と放射線の影響、自分の子ども(三世)への放射線の影響の二つに集中しています。
健康状態については、ほぼ健康とするものと一時的または慢性的な病気で通院しているものとが半々です。ところが、国が年1回実施する健康診断は8割以上が受けたことがなく、その内約6割が制度があることを知りませんでした。他方、国・自治体への要望は、がん検診導入をトップにいずれも健康問題に集中しています。厚労省は昨年から多発性骨髄腫を検査項目に加えましたが、全体としては被爆二世の不安・悩みに応えるものになっていません。
被爆二世は大きな不安と悩みを抱えて生活しています。アンケート結果をもとに行政に対する要望をまとめ、二世の交流を深めていきたいと考えています。(北明邦雄)
【問】地域の被爆者から老老介護で大変だという相談がきました。特別手当を受給しており、ベッド上の生活で「要介護3」の介護認定を受けています。週2回デイサービスは利用していますが身の周りの世話は80歳近い夫がしています。本人の思いもありヘルパーは頼んでいないようです。夫は体が続く限り世話はしてあげたいとの事。なにか支援できることがありますか。
(県被爆者の会相談員)
* * *
【答】高齢で世話をして貰いたい年齢なのに妻の介護に頑張られているとのこと、心からお世話様と伝えたいですね。家族介護手当の申請をされたらいかがでしょうか。
家族介護手当は介護を受けている被爆者が身体障害者手帳1級又は2級程度に該当する場合(原子爆弾の傷害作用の影響によるものでないことが明らかな場合は除く)月額2万1870円支給されます。傷害の程度は精神的・身体的状況で判断されます。
手続きは、@申請書 A介護手当継続支給申請書 B介護手当用診断書C世話をしている方の申立書 を住所地の保健所に提出します。
家族介護手当が振り込まれたら、ご本人から介護に頑張っている夫さんにわたしてあげるようにしてください。
ヒバクシャ国際署名連絡会が5月に取り組んだクラウドファンディング(インターネットでの募金)は、29日間という短期間で目標を大きく上回る157万7千円を集めました。募金者は220人を超えています。
この募金から、6〜7月国連本部での核兵器禁止条約交渉会議に参加した被爆者4人(和田征子さん、箕牧智之さん、川副忠子さん、藤森俊希さん)の渡航費が補助されました。
寄付とともに寄せられたメッージの一部を抜粋して紹介します。
★被爆者の方が訴え続けて来た、核兵器のない世界が現実になろうとし、諦めず、声を上げ続けてこられた事が社会を動かしています。
★アメリカの大学で核の歴史を教える際にビデオを通じて被爆者の生の証言を紹介していますが、こちらの学生はいつも皆さんから深い感銘を受けています。ニューヨークに来て是非核なき世界に向けて各国代表の心を動かしてください。
★私はアメリカで学生生活をしています。日本に比べて、被爆地の悲惨な現実や核兵器の非人道性が知られていないのが現状です。核兵器のない世界を目指して私もできることを始めていきます。
★私も皆さんと共にあります。一緒に行けるものなら行きたいです。自分も一緒に会場に行っているつもりで応援します。
★私は長崎で生まれ育ちました。社会に出て歳を重ねるほど、広島と長崎は世界で最も特別な存在であることを確信しています。ポジティブな展開で世界中の人に伝わることを応援しています。
★8月6日生まれのため、子供の頃、誕生日にいつもTVでお葬式のようなものをしているのに気づき、そこから原爆や戦争とは何なのかに関心を持ってきました。体だけでなく精神も深く傷つけられ、ほんとうに痛ましく、二度と同じ経験をする人が生まれないようにと心から思います。
★被爆者の方々の長く苦しい歩みが拓いてきたステージに実際に立ち会える機会を祝福し、核なき世界の実現の一助になれば嬉しい。
★私も生活の中で、出来ることをしたいです。見ないふりをするんじゃなくて、私も、今も、これからも、社会をつくる一人なんだと思って、生きていきたいです。
★世界中の人間にとって大事なことです。なんでもいいから応援したかった。頑張りましょう。
2016年度(17年3月末)の被爆者健康手帳所持者数などが、厚労省から発表されました。手帳所持者は全国で16万4621人となり、前年度と比べ9459人の減。平均年齢は81・41歳で、前年度から0・55歳上昇しました。健康管理手当などの諸手当受給者は合計15万1678人。そのうち医療特別手当受給者は8169人で、手帳所持者の5%です。